料理家・冷水希三子の何食べたい?

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

写真 関めぐみ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は定番のおかずながら、「なかなか上手に作れない」という声が多い鶏のから揚げ。手軽に作れて失敗しないコツを教えていただきます。

―― 冷水先生、こんにちは。ポカポカした日が増えてきて、気分はめっきり春ですね~。

冷水 少し前まで凍えていたのがウソみたいに気持ちがいい毎日ですね!

―― 本当に! こう気持ちがいいと、お弁当を持ってピクニックに行きたくなります。

冷水 すてきですね。お弁当作りって最初は面倒なんですけど、慣れると楽しくなってくるものです。

―― 読者のみなさんにもそんなムードが漂っているのか、今回は毎日のおかずのみならず、お弁当にも大人気の「鶏のから揚げ」を教えて欲しいというリクエストが多かったです。定番の料理ですが、「なかなか思うように作れない」という声が多くて。

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

はみ出している余分な皮や、肉の間にこびりついている白い脂肪部分を包丁でカット。この工程を丁寧にすると、臭みのないおいしいから揚げになります。

冷水 揚げ物に苦手意識を持っている方は多いかもしれませんね。でもコツをつかめばとっても簡単なんですよ。じゃあ今日は基本に立ち戻って、失敗しない鶏のから揚げの作り方を学びましょう。

―― お願いします!

冷水 みなさん「揚げる」ことに注力しているかもしれませんが、から揚げ作りで大切なのは、まず下ごしらえです。

―― 冒頭からポイントが!?

冷水 鶏もも肉をよく見ると、余分な皮や肉の間についている脂肪があるのがわかりますよね。この部分を取り除かずに揚げると、この脂が衣の中で溶け出して臭みの原因になるんです。だから丁寧に取り除きましょう。

―― たしかに、から揚げを頰張ったとき、たまにじゅわ~っと嫌な脂が口の中に広がることがあります……。

冷水 そうそう、それです。

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

衣は溶き卵→薄力粉→片栗粉の順番で。それぞれの工程でしっかりと肉にもみ込むのが大切です。

―― まさか下ごしらえに原因があったなんて!

冷水 次は下味です。ニンニクたっぷりのパンチが効いた風味が好みの方もいるかもしれませんが、私はお肉の味や旨味(うまみ)を感じたいので薬味はしょうがだけ。日本酒と薄口しょう油、ごま油を合わせて、2~3時間ほどマリネします。

―― ごま油が入るんですね!

冷水 風味づけもありますが、オイルが入ることで肉に染み込んだ下味がしっかりとコーティングされるんです。

―― へ~、それは初耳です! マリネ時間はそこまで長くなくていいんですね。

冷水 しっかり目に味付けしたい場合は冷蔵庫で一晩漬けてもいいですよ。お酒のおつまみやお弁当のおかずにするときはマリネ時間を少し長めにするといいかもしれませんね。

―― マリネ時間で味付けの具合を調節するんですね。

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

一度にたくさん揚げようとせず、鍋に少しスペースが余るくらいの感覚でお肉を投入するのがカリッと仕上げるポイントです。

冷水 肉に下味がついたら、あとは揚げるだけです。簡単でしょう?

―― いえいえ、ここからが問題なんです! 普通に揚げているつもりなんですけど、カリッとならなかったり、逆にお肉が硬くなったりして、なんだか毎回仕上がりにムラがあるんですよね(涙)。

冷水 じゃあ少し丁寧に説明しましょうね。まずはじめに溶き卵を入れたボウルにお肉を加えてしっかりともみ込みます。そして次に薄力粉を加えてさらにもみ込みます。さらにそこに片栗粉を加えてまたもみ込む。これで衣はOKです。

―― えっ……、なんですかその三段階もみ込みは!? 卵はさておき、薄力粉と片栗粉はあらかじめ混ぜて加えちゃダメなんですか?

冷水 あれ、ちょっと面倒臭いなと思いました(笑)? でも、ここを端折ってしまったらダメなんです。こうするにはちゃんと理由があって、まず最初に卵をもみ込むことで肉の水分を閉じ込めます。さらに薄力粉をもみ込むとしっかりと膜ができて、揚げている間に肉汁が逃げないんです。

―― 卵と薄力粉のダブルウォールで肉汁をがっちりガードするんですね!

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

揚げ始めはお肉をいじらず、静かに火を通しましょう。油の気泡がだんだん大きくなってくると仕上がりのサインです。

冷水 そうそう。最後にもみ込む片栗粉は衣をカリッと仕上げるためです。

―― すべての食材にそれぞれの役割がちゃんとあるんですね~。

冷水 お料理は科学ですから(笑)。あとは170度くらいの油で揚げるだけです。一度にたくさん揚げようとすると油の温度が急に下がってカリッと仕上がらないので、お肉がゆらゆらと泳げるくらいのゆとりある感覚で揚げましょうね。あと、油に入れたらあんまりいじらないように。

―― あ~、私は我慢できなくて菜箸でツンツンしてました(涙)。

冷水 それはいけません。せっかくの衣が剝がれてしまいますから、ある程度熱が入るまではそっとしておいてくださいね。

―― 揚げ始めはジュワジュワと細かかった油の気泡が、時間が経つにつれて大きくなってきました!

冷水 だんだん水分が抜けてきたサインですね。表面がこんがりとしてきたら完成です。熱々のうちに、どうぞ召し上がれ。

―― う~ん、肉汁がじゅわ~っとあふれて、これぞ理想のから揚げです! しょうががほんのりと香って、お肉の旨味を引き立てて、なんていうか上品な風味です。

冷水 レモンもいいですけど、お塩で食べてもさっぱりとしておいしいですよ。

今日のレシピ

鶏のから揚げ

■材料(4人分)

・鶏もも肉:500g

[A]
・酒:大さじ2
・薄口しょうゆ:大さじ1
・しょうがすりおろし:大さじ1
・ごま油:小さじ1

・溶き卵:1/2個分
・薄力粉:大さじ1と1/2
・片栗粉:大さじ1と1/2
・揚げ油:適量
・レモン:適量

作り方

  1.  鶏もも肉の余分な皮や脂を丁寧に取り除く。
  2.  鶏もも肉を5cm大に切り、[A]をもみ込んで1時間ほどおく。
  3.  の汁気を切り、溶き卵をもみ込んで、次に薄力粉をもみ込む。続いて片栗粉をもみ込んで170度くらいの温度で揚げる。皿に盛りレモンを添える。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)

陶芸家 竹村良訓と料理家 冷水希三子がつくる器「4 Seasons dish」 ‘Spring – Summer’展示販売会のお知らせ

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

陶芸家竹村良訓さん、料理家冷水希三子さんと共同で器をつくる”4 Seasons dish”。2018年9月に発売した’Autumn – Winter’に続き、’Spring – Summer’が完成しました。『四季』をテーマに、旬の素材や料理、季節や自然の色合いから想像し生まれた、使うほどに愛着が増す、生活を彩る器です。発表を記念し、2019年4月6日(土)よりイデーショップ 自由が丘店にて展示販売会を開催します。

会期:2019年4月6日(土)~22日(月)
場所:イデーショップ 自由が丘店 3F GALLERY AND BOOKS
■作家在店日・・・4月6日(土)、7日(日)

【オープニングレセプション】
日時:2019年4月6日(土)18:00~19:30
場所:イデーショップ 自由が丘店 3F GALLERY AND BOOKS
※お酒とともに冷水希三子さんが作るおつまみをご用意してお待ちしています。


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PROFILE

コツをつかめば失敗知らず。“一生もの”の鶏のから揚げ

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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