花のない花屋

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

〈依頼人プロフィール〉
アンベルグ幸子さん 59歳 女性
スイス在住
販売員

3月にめい(妹の長女)が結婚式を挙げました。私の下の娘と同い年で、生まれた頃から見てきたので、感慨もひとしおです。

彼女の兄と弟には自閉症で、言葉でコミュニケーションができません。兄弟2人は養護学校を卒業後、実家から作業所へ通っています。めいはそんな環境で育ったからでしょうか、幼い頃からとてもしっかりしており、中学生くらいの時にはすでに「将来は看護師になる」と決め、ちゃんと夢を実現しました。今は病院の小児科で看護師として働いています。

よく覚えているのは、彼女が小学校低学年のときのこと。スイスに家族で遊びにきてくれたのですが、食事中にごはんを上手に食べられない弟を見て、「私が食べさせてあげる」と、あまりに自然に食事の介助をしていました。まるで親の代わりにように弟の面倒をみていて、その優しさと面倒みのよさに「すごい!」と心から感心しました。

私や妹は、そんな彼女を少し心配し、「まりちゃんにも自分の人生があるんだから、縛られることはないんだよ」とことあるごとに言っていましたが、彼女は自分が兄弟の面倒をみると心に決めていたようです。「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる」と当たり前のように口にしていました。

そんな心優しく、芯の強いめいを育てたのは妹夫婦です。2人の障がい児を抱えての育児は、私が想像している以上に大変だったことと思います。でも、妹は「なるようになる」という前向きな性格で、彼女の家はいつも笑いとあたたかさにあふれていました。

めいがよきパートナーに巡り合い、そんな楽しい家族から離れることをおいたちがどのように理解しているかはわかりません。でも、優しいめいのことを忘れることはないでしょう。

そこで、そんな自慢のめいに、新しい人生の出発をお祝いする花束を作っていただけないでしょうか。

めいのイメージはかわいらしいスイートピーです。あたたかい色が好きなので、ウェディングのイメージに縛られず、暖色系を中心にめいらしい花束をアレンジしていただけるとうれしいです。

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

花束を作った東さんのコメント

自分の将来の職業を早くに決めて、そして、実際に活躍されていて素晴らしいです。今回は、めい御さんらしい花束をとのことで、スイートピーをたくさん使った花束にしました。いろんなタイプのスイートピーが束ねられています。春の雰囲気をだしつつ、結婚のアニバーサリー感を出しました。めい御さんは、かわいくふんわりしているイメージですので、よく似合うのではないかと思います。

花材はスイートピー(5種類)とポリシャスだけです。

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

「将来は自分がお兄ちゃんと弟の後見人になる……」、今は看護師として働くめいへ

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
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PROFILE

  • 宇佐美里圭

    1979年、東京都生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒。在学中、ペルー・クスコにて旅行会社勤務、バルセロナ・ポンペウファブラ大学写真専攻修了。ワールドミュージック誌、スペイン語通訳、女性誌、『週刊朝日』編集部を経て、『アサヒカメラ』編集部。料理研究家・行正り香さんの書籍を多数手がける。ラテン音楽、山、ワインが好き。

  • 椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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http://azumamakoto.com/

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