野村友里×UA 暮らしの音

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

UA

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、現在カナダで暮らしている歌手UAさんの往復書簡「暮らしの音」。今回は、平成が終わり新しい時代へと向かういま、何を思うのか、お二人がつづります。まずは、野村さんのお手紙です。

   ◇

>>UAさんの手紙から続く

うーこへ

3月31日
大好きな3月が終わってしまった。

そして、元号も発表され、一つの時代が終わり、新しい時代へ。

昭和生まれの私は、
時間を経て、近頃やっと昭和を輪郭をもって見られるようになったなと思っていただけに、
平成が自分の中で見えてくるのは、あとどれくらいかかるのかしらとつい思ってしまう。

昭和が終わったとき、
陛下の崩御ということで、皇室にゆかりがある母校では、
学校の先生方もみな喪服で幕開けを迎えたのだけど、
今回は意志をもったバトンの受け渡しになりそうね。
一人ひとりが意思をもって今日を明日を作っていけたらなと
なんだかとても思うの。

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

築地市場も昭和生まれ

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

銀座「煉瓦亭」のグリルドチキンと赤い公衆電話@銀座「煉瓦亭」(創業明治)。Suicaや携帯電話の時代に変わり、10円の価値が実感できなくなってきたなぁ。。。

こうして考えると
私が料理を生業(なりわい)とするようになって20年と少し。
一人の人として、「”食”ってなぁに?」という問いかけが定期的にやってくる。

10年前 (!!) となる映画『eatrip』のときも、
映画作りにあたり、うーこは欠かせない大事なキーパーソン。

今の食を考えることが次の世代へつながると考えていたのだけど、
見事に予知していたかのように、撮影中に新しい命を授かったあなた!
その妊婦姿を映像に撮り収めて終わったのよね。

あの姿を見ると、次につながる未来を今でももちろん感じるけど、
同時に、私たちも含め、今生きている人誰もが、お母さんのお腹から生まれたんだなぁ。
改めてすごいことだと思うのよね。

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

映画『eatrip』で、妊婦姿のUA

そして、一昨年の暮れに行った「食の鼓動-inner eatrip」というイベント。
内面的にも外面的にも多感な40代(!!)に差しかかった私の身の上に起こった、晴天の霹靂(へきれき)の連続。
それらの体験が、それまでの生き方が一度終了して生まれ変わったような、真っさらな状態にしてしまった。
この体験をきっかけに、縁のあった人に出逢いなおした気がするし、
新しい素敵な縁も生まれ、その重なりで形になったのが、
音と香りで“食べられない食”を体感する食の舞台となったわけなのだけど。。。

心の栄養になる見えない食、、、
どういうこと?!と最初戸惑う人も多いなか、
あなたは誰よりも早くそれを理解して、さらに広げて楽しみ、表現してくれたのよね。

包容力だけでなくて
いつもさらに大きくして投げ返してくれる。
友だけどそれ以上に尊敬してやまない。
本当に。

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

「食の鼓動-inner eatrip」

私ね、
日々の料理は、仕事でも個人的にも尽きることも終わることもないのだから、
死ぬまで探求し続けて、
余計なことをせずに、キッチと日々を整えていけたらいいなと思うし、
そうするべきと思っているのよ。

でもね、
こうして東京にまだ住み続けていたり、社会の一員として生きていると、
時々“えーーっ”とか、
“だったら!”とか
“んん、、、”とか、
疑問がふつふつ湧いてくる。

なので、食の吸引力を軸に、こういった余計ともとれる場作りをしてしまうのよね。

新しい時代の幕開けに思う、料理という生業のこと 野村友里さん

祖父の椅子。中は藁(わら)で修繕してくれてほつれもほんのわずか。。。旧丸ビルに事務所があり使っていたもの

その根底には、
この間、この往復書簡でも紹介した、
ソローの『孤独の愉しみ方』に出てくる一節、
「あなたの仕事は自分の真理につながってますか?」という言葉が、どこかしらにあるのだと思う。

もちろんね、気持ちだけあっても
「よかれ」が仇になりそうになってガッカリしたり、
心地よく進んでいく出会いもあれば、
知っている間柄でもびっくりするような凹むことがあったり、
ほんと様々。

そんなとき、いつだってあなたは背中を押して楽しもうと引き上げ、勇気をくれる。
すごいな。

ほんとは、世の中でいう、
仕事ができるってなあに?
頭がいいってどういうこと?
ってちょっと斜めからみた口調でうーこに聞きたかったのよ、実は。

でも書いているうちに、
あなたがどんなにイカしている素敵な人かっていう文章になってしまった。
 
少し遅れてしまったけどお誕生日心からおめでとう。
そしていつもありがとう。

4月から始まる次回のプロジェクトの開幕も、とってもたのしみ!

友里

>>ヘンリー・ディヴィッド・ソローの著書『孤独の愉しみ方』を紹介した往復書簡はこちら

PROFILE

  • UA

    1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。α-STATION(FM京都)の番組「FLAG RADIO」にレギュラー出演中。

  • 野村友里

    料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』『春夏秋冬 おいしい手帖』(マガジンハウス)、『Tokyo Eatrip』(講談社)、共著に『TASTY OF LIFE』(青幻舎)がある。
    http://www.babajiji.com/

UAさん「夢とテレパシーは、密に関係あるのだと思う」

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