ほんやのほん

現代における『女子力革命』とは?

現代における『女子力革命』とは?

撮影・馬場磨貴

「女子力」というタイトルから男性からモテるためのノウハウ本かと思ってしまいそうだが、「あの人、女子力高いよね」と言われるようになるための本ではない。平均寿命が男性よりも長い女性の人生に必要となる「女子力」について考察、論議されたものである。現代社会において女性が生きていくためにはどのような力が必要なのか。
2050年には日本人女性の平均寿命は90歳を超えるという。そう考えるとまだまだ自分もその時代に生きている計算だ。

本書は津田塾大学・萱野稔人教授のゼミの学生により、たくさんの文献やメディア情報を引用し、取材を重ね執筆されている。就職活動が始まる3年生、これから社会に出て行こうとする方々の目線から書かれたものとは思えないほどバランスのよい見解に感心させられた。テーマは三つに分かれており、とてもわかりやすい。女性の身体、結婚、仕事と子育て。人によって状況は様々であろうが、人生のどこかで必ず考えるテーマである。

女性の身体においては出産、更年期以降について書かれてある。出産時期としては何歳が理想的なのか。もちろん計画通りにはいかないことだが、知識としてリスクやメリットを把握しておいた方が後悔は少ない。高齢出産増加として不妊治療問題もあげておられるが、年齢に関係なく悩んでいる人は多いように思う。生殖医療を利用したこれからのライフスタイルモデルもあげている。

更年期症状については、そんなことまでかと思うくらい詳しく調べられていたが気にしないようにした。客観的に書かれているが、自分らしく生きることが何よりも更年期以後の「女子力」なのではないだろうか(p.68より)に共感した。

「結婚」の多様化

結婚しようがしまいが90歳まで生きられたら「おひとりさま」になる可能性は大である。その寿命の長さを利用し二度三度と再婚または内縁関係を結び死別を繰り返して遺産を稼ぐ小説やドラマにもなった後妻業。これは将来身近な職業になりかねないというから驚きだ。

欧米諸国では結婚という選択のほかに「パートナーシップ」という法的に保護される制度が続々と増えているという。日本でも近い将来このような制度が認められることがあれば、同姓婚や婚外子問題など偏見や差別が減るだろうと書かれている。
戦後の日本教育で育ってきた人間のどこまでが受け入れられるのか心配ではあるが、意識の多様化はしていくべきと思う。

現代における『女子力革命』とは?

『女子力革命』萱野稔人 編 東京書籍 1512円(税込み)

萱野教授の司会でゼミの討議があった。一つは同姓婚と近親婚について。前者は認識されてきているのに対し、後者はあらゆるところで禁忌とされている。このゆえんについても興味深かった。

もう一つはアファーマティブ・アクション。もちろん私は初めて聞いた言葉だ。社会に存在する格差や差別を是正する措置をさす言葉だという。女性の管理職比率を30%程度にする女性活躍推進法が2015年にできた。男女雇用機会均等法ができたのが34年前だが、今現在の女性管理職比率は7.5%程度にとどまるらしい。現実的にジェンダー格差はまだまだあると萱野教授は書いている。しばしば感じることである。

そして女性は何歳まで仕事ができるのか。60歳代の就業意欲は高く、60~64歳女性の就労率は47.3%(平成29年就業構造基本調査 p.164より)というから驚嘆した。働いていなくとも習い事をしている人が高齢女性全体の半数以上を占めるという。高齢女子たちはアクティブ、幾つになっても人生挑戦していきたい。

(文・岩佐さかえ)

PROFILE

蔦屋書店 コンシェルジュ

12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
そのとき、一番おすすめの本を週替わりで熱くご紹介いただいています。
●代官山 蔦屋書店
間室道子(文学)
●二子玉川 蔦屋家電
岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博允(文学)
嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)/松本泰尭(人文)
●湘南 蔦屋書店
川村啓子(児童書 自然科学)/重野 功(旅行)/羽根志美(アウトドア)
八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

岩佐さかえ(いわさ・さかえ)

女性向けフィットネスジムにて健康・美容相談を受けながら、様々なイベントやフェアを企画。自身がそうであったように、書籍を通して要望にお応えできたらと思い、蔦屋家電のBOOKコンシェルジュに。
「心と体の健康=美」をモットーに勉強の日々。

その違和感を、大切に。『「働きたくない」というあなたへ』

トップへ戻る

絲山秋子の新作を追い続ける理由。『夢も見ずに眠った。』

RECOMMENDおすすめの記事

Recommended by Outbrain