このパンがすごい!

改札出て数十秒! 十勝の食材をふんだんに使用するベーカリーが東京に/ムギオト

4月1日、国立駅改札の向かいという好立地に、「十勝ファーマーズベーカリー ムギオト」がオープン。北海道・十勝にある日本一広い(3400坪)といわれる旗艦店「麦音」と同じ名がつけられた。

改札出て数十秒! 十勝の食材をふんだんに使用するベーカリーが東京に/ムギオト

店内風景

都立大学の東京本店より30種類多い約100種類と多彩なパンを用意。十勝産のチーズ5種類を使った名物「とろーりチーズパン」に、「コロッケパン」など、十勝食材を使ったパンが小さい店舗に詰め込まれる。

改札出て数十秒! 十勝の食材をふんだんに使用するベーカリーが東京に/ムギオト

十勝平野のコーンパン

北海道で食べるコーンパンのおいしさを思いださせた「十勝平野のコーンパン」。かりかりの薄い皮。中身は一転してやわらかく、ふにゃーんと溶ける。加水が多めの生地が正体をなくし、キタノカオリの甘さ、この小麦に独特の麻薬的フレーバーが豊かに鼻へと抜ける。コーンのぷちぷちが弾け、ジュースが甘く舌を潤す。

貴重なキタノカオリを100%使用、それを上回る120%も十勝・芽室町産のコーンが入る。キタノカオリの甘さはコーンに似ていて、両者のマリアージュのなんと幸福なこと。

満寿屋商店は、農業王国である十勝の食材を広めることを使命とする。小麦は十勝産100%。1950年に創業、1989年から十勝産小麦を使用し、2012年に100%を達成。その思いを、杉山雅則社長が語る。

「農業のお客様に言われた言葉がきっかけでした。『十勝の小麦は使われているんですか?』。そのとき、はじめて自分の店で使っている小麦が100%外国からきたものだと気付いた。十勝は農家さんがお客様。農家さんに、自分たちの作った小麦のパンを食べてほしい」

改札出て数十秒! 十勝の食材をふんだんに使用するベーカリーが東京に/ムギオト

オ・ドゥ・ブレ

十勝のパン屋が結集し、十勝の小麦を使って人々に親しまれるパンを作ろうという「十勝パンを創る会」の取り組みによって生まれてきたのが「オ・ドゥ・ブレ」(キタノカオリのチャバタ)。前述したコーンパンのベースにもなっている。キタノカオリの吸水性のよさをいかし、115%も加水(通常製法の倍近く)。そのまま食べてよし、サンドイッチでもよし。おにぎりみたいにむしゃむしゃ食べられるパンだ。

改札出て数十秒! 十勝の食材をふんだんに使用するベーカリーが東京に/ムギオト

豊西牛と十勝ごぼうのしぐれ煮サンド

「豊西牛と十勝ごぼうのしぐれ煮サンド」は、オ・ドゥ・ブレに牛肉のしぐれ煮をはさんだもの。帯広トヨニシファームの「豊西牛」、十勝の生産者団体「なまら十勝野」のごぼうを使用している。ばりばりとすばらしい歯応えでゴボウが弾けた。パンは対照的にふにゅうとやわらかく歯を受け入れる。牛肉の香り、しょうゆの香りがふわーりと滲(にじ)む。ごはんをほうふつとさせるキタノカオリのフレーバーは和総菜とも上手になじんでくれる。

改札出て数十秒! 十勝の食材をふんだんに使用するベーカリーが東京に/ムギオト

うまっしゅパン

「うまっしゅパン」は、「とかちマッシュ」を混ぜこんだパン。フランスパン生地の皮はばりばり。なかなか切れないと思った途端ぶちっと快く噛(か)み切れ、かと思えば中身はむにゃっとやわらかく、ふにゃーと溶け、マッシュルームが野の香りを放ち、旨味(うまみ)をちょちょぎれさせる。

「ミキシングのときしっかりと練ってグルテンの引きを一度出してから、デュクセルソース(バターやオニオンソテーをマッシュルームに加えたもの)を混ぜこんでいます。そのためにグルテンがほどよく切れておもしろい食感になる」(天方慎治シェフ)

とかちマッシュのおいしさも十勝ならではの風土による。培地に、帯広「ばんえい競馬」で廃棄される麦わらを使用。ヨーロッパではマッシュルームに麦わらは当たり前だが、日本では麦わらが貴重なためあまり使用されていない。とかちマッシュの風味が他とちがうのはそのせい。小麦栽培が盛んな十勝ならではの、素材を有効活用する取り組みだ。

農作業の合間に甘いものを食べる習慣のある十勝で育まれてきた、十勝産小豆を使った伝統のあんぱんも、枝豆やじゃがいもも北海道産を使ったカレーパンもひと味ちがう。ふわふわな中に、北で育つ小麦ならではの「もちっ」と、ミルキーな「甘さ」が入りまじるのだ。改札を出て数十秒で十勝の豊かさを実感できる場所が誕生した。

十勝ファーマーズベーカリー ムギオト
東京都国立市北1丁目14-1 nonowa国立EAST
042-505-4868
7:00~21:00
https://www.masuyapan.com/news/2019/02/2jr.php

パンのフォトギャラリーは下部にあります↓↓

PROFILE

池田浩明

佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)

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