猫と暮らすニューヨーク

飼い主の半径1m以内で暮らす、家事見習い猫

[猫&飼い主のプロフィール]

猫・Haruki(ハルキ。正式名はHaruki Vincent Green-Reitelman)1歳 オス サイベリアン
飼い主・結婚を間近に控えたLee Reitelman(リー・ライテルメン)さんと、Deeva Green(ディーヴァ・グリーン)さんカップル。モリンガツリー由来の食品やサプリメントNutu、ハーブの炭酸飲料Herbert、環境に配慮したトイレットペーパーPlantPaperなど、さまざまなプロジェクトに携わる二人は、ブルックリンにある一軒家に暮らしている。

「猫って、どこか日本人みたい。心の優しさ、それからシンプルさや清潔さなんかが、日本の精神に通じると思うんです」

きれい好きで、いつも正しい場所に物が置いてあることを好む。礼儀正しく、物腰がやわらかい……。猫と日本人の共通点なんて考えてみたこともなかったけれど、リーさんとディーヴァさんのそんな言葉に、日本人として、そして猫好きとして、気恥ずかしくも、光栄極まりないのだった。ちなみに、日本文化と日本人に対するそうしたイメージは、ディーヴァさんが子どもの頃に体験した、日本でのホームステイと、2人が愛読する村上春樹の作品からきているという。

そんなわけで2人は出会った頃から、いずれ猫を飼うとしたら名前は“ハルキ”と決めていた。ところが2人とも猫アレルギーであることが判明。アレルギーになりにくい猫種を調べたところ、ロシアが発祥の猫、サイベリアンがそのひとつと知り、ブリーダーを1年かけて探し、昨冬にオス猫を家に迎えた。

飼い主の半径1m以内で暮らす、家事見習い猫

美しい長毛が自慢のサイベリアン。こまめなブラッシングが欠かせません。メインクーンのように大きな体に成長すると言われています。ギャラリーはこちら

サイベリアンならアレルギーが絶対におきない、というわけではないし、猫にも人間にも個人差があるけれど、今のところ2人はアレルギー知らず。「これはミラクル!」と声を揃(そろ)える。

人懐っこい性格で、いつも2人から半径1m以内の距離にいるハルキ。キッチンのシンクで食器を洗っていれば、参加する隙をうかがい、2人が料理をしていればカウンターの上から熱心にそれを眺め、レシピの習得に余念がない。「オムレツや照り焼きサーモンの作り方だったら、ハルキが正確に教えられるはず(笑)。ツナサラダにはマスタードとケイパー、コルニッション(小キュウリのピクルス)が欠かせないってこともね」。

飼い主の半径1m以内で暮らす、家事見習い猫

食いしん坊ハルキ。2人の好物でもあるサーディン(いわしのオイル漬け)、アンチョビ、ツナ、それから卵、インド料理、鶏肉、乳製品が好物です。食通猫。ギャラリーはこちら

2階の寝室でシーツが広げられると、脇目もふらず一目散にベッドへやってきて、ベッドメイキングを試みようとすることも。もちろん遊ぶばかりで、うまくいった試しはないけれど……。地下のリビングで2人が映画を見ていると、一緒になって鑑賞し(ちなみにハルキのお気に入りは、トルコ・イスタンブールの猫と人々の生活を描いたドキュメンタリー映画『Kedi/猫が教えてくれたこと』)、2人が外から自宅に戻れば「どこに行ってたの? もう何時間も待ってたんだけど」と言わんばかりに出迎え、抱きかかえられた腕のなかでうれしそうに喉(のど)を鳴らす。その親密で良好な猫との関係から、「ハルキを飼ったことは、私たちのこれまでの人生で最良の決断」と2人は笑顔で断言する。

飼い主の半径1m以内で暮らす、家事見習い猫

緑色の瞳をもつハルキ。「サイベリアンの瞳は、イエローかブラウン。でもハルキは、彼女(ディーヴァさん)の瞳と同じグリーンでうれしい」とリーさん。(写真はいずれも 前田直子撮影)ギャラリーはこちら

「猫って、いくら自分のところに来て欲しいと思っても、そうはいかない。女性と一緒ですね。居心地の良い環境を心がけ、時には少し放っておくこと。これは永遠の真理ですよ」とリーさん。

「猫はネガティブなパワーを吸収してくれると聞きました」と話すのはディーヴァさん。言い換えれば、猫は場のエネルギーを吸収しやすいということ。以前2人がケンカをして大きな声を出したら、ハルキが怖がってしまったことがあり、「いつもピースフルな環境をつくるようにしている」のだという。

「猫の小さな体のなかには尊い魂(たましい)がある。猫をリスペクトすること。猫とのしあわせな暮らしの秘訣は、それに尽きますね」

写真のつづきはフォトギャラリーで
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ハルキのインスタグラム https://www.instagram.com/harukithesiberian/
Nutuのインスタグラム https://www.instagram.com/nutumoringa/
Herbertのインスタグラム https://www.instagram.com/herbertworks/
PlantPaperのインスタグラム https://www.instagram.com/plant_paper/

連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

PROFILE

前田直子

写真家 24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
www.naokomaeda.net

PROFILE

仁平綾

編集者・ライター
ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌やウェブ等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、『ニューヨークおいしいものだけ! 朝・昼・夜 食べ歩きガイド』(筑摩書房)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。

忙しいからこそ、猫は2匹、朝活1時間。

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猫を飼うことは、人生のレッスン

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