パリの外国ごはん

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

室田万央里さん特製、白いソースを使ったサバサンド

パリ在住のフードライター・川村明子さんと、料理人の室田万央里さんが気になるレストランを食べ歩く連載「パリの外国ごはん」。その後日談として、訪れたお店の「あの一品」を再現する「パリの外国ごはん そのあとで。」、第2回は、前回の謎の白いソースを、2人でそれぞれアレンジしたお話です。このソースをたっぷり使った室田さんのサバサンドレシピも! みんなで食べれば大丈夫、どっぷりニンニクにひたりましょう。
    ◇

これは、卵メインで食べてみたい!

 前回のル・クール・デュ・リバンで出合った謎の白いソースのようなムースのような、ニンニククリームは衝撃だった。
 ドカンと一撃があった感じではなく、食べたその日から静かにひたひたとずっと心の一部をとらえていた。もう一度食べたい、より正確に言うなら、もう一度食べて確かめたい、そう思った。そして自分で作りたい。
 でも、何と合わせて食べようか。
 自分の中でしっくり来る組み合わせが思い浮かばないまま、数日が過ぎた。
 
 後日、ル・クール・デュ・リバンに行った。ニンニククリームもテイクアウトできるか尋ねると、できる、という。それで、やはりもう一度食べたかった白いんげん豆のサラダと、ニンニククリームを買って帰った。

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

「Le Coeur du Liban」で買ってきた「白いソース」と白インゲン豆(写真/川村明子 以下同)

 翌朝、朝ごはんにソーセージをゆでた。
 マスタードをつけて食べていたのだが、ちょっとあのクリームを試してみようか、と思った(朝なのに!)。
 いざ食べようとして、ゆで卵にも合いそうだなぁとふと思い、ソーセージよりも先に、ゆで卵につけて食べてみたのだ。
「これ、ベストでしょ」。そう心の中でつぶやくくらいに、相性抜群だった。

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

まずはソーセージと、ゆで卵から合わせてみる

 これは、卵メインで食べてみたい。
 自分でクリームも作ってみるべく、ニンニクを買いに行った。
「生のニンニクと生のじゃがいもにひまわり油、それだけよ」と店のマダムは言っていた。
 でも我が家はひまわり油を常備していない。
 ネットで「ニンニククリーム レバノン」と検索(フランス語で)してみると、どのレシピもオリーブオイルを使っていた。それに、ニンニクを少しゆでるようだ。
 そうすれば匂いが和らぐらしい。生クリームを加えることも多いみたいで、代わりにジャガイモを入れるレシピもある。いずれもニンニクの強さを丸くするために加える模様。

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左が買ってきたニンニククリームと、ジャガイモが多めの自家製ニンニククリーム

 ニンニクは芯をとってさっと湯通しし、多いかなぁと思いながら、ニンニクとほぼ同量のジャガイモとミキサーにかけた。そこにオリーブオイルを加えていく。
 ジャガイモの身が黄色みの強いもので、オリーブオイルも気に入っているものは黄色だったからか、クリームが白ではなく黄色みがかったものになった。
 味見をして、買ったものと食べ比べ、おそらくレモン汁をかなり入れるのだ、と感じて、1/2個分絞り入れた。
 それでも白くはならず、油の量もおそらく買ったものよりだいぶ少なかったのだろう、だいぶトロトロのものが出来上がった。少し味は柔らかくて質感もふわっとしているけれど、それでも十分、ちゃんとニンニククリームだ。

 気に入りのパン屋で買ってきたパン・オ・ルヴァンをトーストし、バターの代わりにオリーブオイルを軽く垂らす。
 ゆで卵1/2個とクリームをパンに乗せ、フォークで潰した。こうして食べたかったのだ。
 2ひねり分くらいコショウをひき、かじりついた。

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卵をパンに乗せて

 あぁ。これは完璧だ……。
 自分が思い描いた通りの味で、でもおいしさは想像以上で、うっとりした。
 私はもう一つ用意していた。
 ホワイトアスパラも一緒にバージョン。
 半熟卵とホワイトアスパラは黄金コンビだ。
 だから半熟卵に合うならば、このコンビとも相性良しな気がした。

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さらにホワイトアスパラを乗せる!

 ただ、もしかしたらアスパラの風味をニンニククリームが消してしまうかも、という懸念はあった。
 ところが、だ。
 春のえぐみは、私の想像よりもはるかに逞(たくま)しいものだった。全くニンニクに負けていなかった。その春らしいジューシーな苦みを口中で感じていたら、あぁこのニンニククリームはたけのこステーキにも絶対合うわぁ、と思った。
 その横に、牛ヒレ肉のステーキもちょびっとあったらそれもおいしいだろうなぁ。

 いまは、たけのこステーキ・ニンニククリーム添えを夢想している。

(川村明子) 
 

室田さんのレシピ「ニンニククリーム、Toumが主役のサバサンド」

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

室田さんのレシピメモ、白いニンニクソース編!(写真/室田万央里 以下同)

Le Coeur du Liban で明子ちゃんが頼んだプレートに乗っていた衝撃のフワフワ白いソース。
調べてみたらToumという名前。レバノン語でズバリ、“ニンニク”の意味。
マルシェでぴかぴか光っていたサバにスパイスを効かせてソテーし、熱々のうちにピタパンに挟みコテーっとこれを塗ってかぶりついたらうまかろう、とやってみたらドンピシャリ。大変うまかったということです。
ただニンニク臭はかなりの物で、誰かを道連れにワイワイ食べるのがおすすめ。具やソース、パンをお皿に並べて、好きなように挟んで食べてみんなで臭くなるのはいかがでしょうか。

Toumが主役のサバサンド(4人分)
■材料(4人分)
ピタパン大きいもの4枚
サバ2匹(300gぐらいのもの×2匹)
コリアンダーシードパウダー小さじ1/2
クミンパウダー小さじ1/2
チリパウダー好きなだけ
レタス4枚
トマト1-2個
イタリアンパセリ、コリアンダーなど好きなハーブ(シソだってミントだっていい)
レモン1/2個 四つ切り

赤タマネギとショウガのピクルス(作りやすい量)
赤タマネギ1/2個 繊維に沿って3mmの薄切り
ショウガ(新ショウガであればなお良い)3センチほどを3ミリの薄切り
米酢大さじ3
きび砂糖大さじ1と1/2
塩小さじ1/3
全ての材料を小さいタッパーか瓶に入れ半日置く。冷蔵庫で一週間ほど保存可能。このピクルスはカレーにもしめサバにも合いますのでお試しを。

ヨーグルトソース
ヨーグルト大さじ6
クミンパウダー小さじ1/3
塩小さじ1/2
コリアンダー、ミントなど好きなハーブを刻んで入れても良い

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私は今が季節のAil des ours (クマのニンニクと言われるニンニクとニラの中間のような香りがする葉物。日本では行者ニンニク)を刻んで入れました。どこまでも臭くなる所存であります。

ニンニクソース Toum(作りやすい量)
ニンニクの皮をむき芯を取ったもの1個分
レモン汁1/4カップ
植物油(キャノーラ油、ひまわり油など軽いもの)1と1/2カップ
塩小さじ1

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

■作り方
1.ニンニク、塩と1/3量のレモン汁をフードプロセッサーにいれ側面についたものも落とし込みながらペースト状にする

2.そこに1/2カップの油を糸のように垂らしいれ、レモン汁1/3量を少しずつ加え、1/2カップの油→1/3量レモン汁→1/2カップの油と繰り返す。ゆっくり気長に、がコツです。

3.どうしてもシャバシャバになってフワフワにならん!という場合卵の白身1個分、シャバシャバのソースを計量カップにいれ、ハンドミキサーでゆっくり引き抜くように撹拌(かくはん)するとあっという間にふわふわのクリームができます。じゃあ最初からそうすりゃいいじゃねえか、と思うそこのあなた、白身入りは冷蔵庫で1週間。無しは1カ月ほど持ちます。まずは白身無しで挑戦を。というかシャバシャバのままだって味はうまいです。このソース、肉をマリネしたり、炒め物に使ったり、パスタに入れたりなかなかの活躍ぶりを見せてくれます。

《パリの外国ごはん そのあとで。》衝撃の白いソースで卵&サバサンド「Le Coeur du Liban」

■サンドイッチの準備
1. サバを三枚におろし、身に3つまみ程度の多めの塩(分量外)を振り1時間ほど置き、出た水気を拭いたらその身を四つに切り分ける(合計8枚の切り身となる)
クミン、コリアンダーシードパウダーを両面に振る

2. ピタパンは軽くオーブンで温めておくと、なおおいしい。具を挟みやすい大きさに切っておく

3. レタスは7mm位の細切り、ハーブは荒くみじん切り、トマトは1センチの薄切りにしておく

4. フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱しサバを両面火が通るまで焼く。焼けたらチリパウダーを好きなだけかける

5. ピクルス、二種のソース、 具を好きなようにピタパンに挟みワシワシ食べる。酸っぱいのが好きな私はサバにぎゅーっとレモンを。Toumだけよりも、ヨーグルトソースと合わせて食べた方が味が何倍にも膨らんでおいしいです。

(室田万央里)

PROFILE

  • 川村明子

    東京生まれ。大学卒業後、1998年よりフランス在住。ル・コルドン・ブルー・パリにて製菓・料理課程を修了後、フランスおよびパリの食にまつわる活動を開始。現在は執筆のほか、パリで活躍する日本人シェフのドキュメンタリー番組『お皿にのっていない時間』を手掛けている。著書に『パリのビストロ手帖』『パリのパン屋さん』(新潮社)、『パリ発 サラダでごはん』(ポプラ社)、昨年末に『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)を出版。
    noteで定期講読マガジン「パリの風と鐘の音と。」始めました!

  • 室田万央里

    無類の食べ物好きの両親の元、東京に生まれる。
    17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て14年前に渡仏。
    モード界で働いた後に“食べてもらう事の喜び”への興味が押さえきれずケータリング業に転身。
    イベントでのケータリングの他、料理教室、出張料理等をパリで行う。
    野菜中心の家庭料理に妄想気味のアジアンテイストが加わった料理を提供。理想の料理は母の握り飯。未だその味に到達できず。
    Instagram @maorimurota

謎の白いソースが絶品。レバノン料理「Le Coeur du Liban」

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