リノベーション・スタイル

家族がポジティブに暮らすためのバリアフリー。将来に備えてリノベーション

[ゆい]
Oさん(父 90代、長女 60代)
神奈川県横浜市/113.93㎡/総工費2166万円

    ◇

 今回は90代のOさんと60代の長女が同居のために、中古マンションをリノベーションした事例です。

 まず、最初に相談にこられたのは、Oさんのお孫さんでした。

 話を聞いていると、リノベーションをしたいのはお孫さん自身の家ではなく、お父さまが亡くなられて一人暮らしをしているお母さま(長女60代)と、おばあさまが介護施設にいるため一人暮らしをしているおじいさま(Oさん)が、一緒に住むための家とのこと。

 高齢化が進む中で、こういった事例はきっとこれから多くなることでしょう。ポジティブな気持ちで暮らすためには、どういうリノベーションがいいのだろうか、希望のあふれる住まいはどういうものだろうか……私自身もいろいろと考えさせられました。

 打ち合わせする中で、長女から出てきたリクエストは大きく三つです。

1)Oさんが将来車いすになっても介護がしやすいこと
2)キッチンが広いこと
3)収納がたくさんあること

 こちらの物件は100平米以上の広さがあるので、全体的に余裕があります。まずは玄関や廊下、サニタリールームなどは、通常よりも広めのスペースをとり、車いすでも通れるようバリアフリー設計にしました。

家族がポジティブに暮らすためのバリアフリー。将来に備えてリノベーション

トイレは入り口を引き戸にして、段差をなくし、バリアフリーに

 LDKはバルコニーに面した窓の大きさを生かし、すべて自然光の入る空間に。キッチンはゆったりと造り、ステンレスの作業台が広く使えるよう、シンクの上に物が置けるスペースも造りました。

 キッチン裏には、大きなパントリーがあり、ここにはたくさん収納できます。リビングの壁一面につくった大容量の収納には、お仏壇やルンバ専用の収納場所まであるんですよ。いろいろなものをここに収納していますが、扉を閉めるだけですっきりします。

家族がポジティブに暮らすためのバリアフリー。将来に備えてリノベーション

リビングの壁一面に大容量の収納を作った。左下にはルンバのスペースも

 ダイニングテーブルは大小二つあり、来客のときは大きくして使えるようにしました。キッチンから室内窓を通して気配を感じられる場所は、お父さまのベッドスペースです。

 ゆったりした洗面所のシンクは、実は実験用の大きなもの。シンク台のゴミ箱は飲食店やホテルのトイレにあるような、埋め込み式のダストボックスです。洗面台でよくゴミ箱を使う場合は便利なんですよ。

家族がポジティブに暮らすためのバリアフリー。将来に備えてリノベーション

シンプルだが広々した洗面スペース

 
 住まいは、住まい手の年代に合わせて変わっていくものです。年老いてから家族がふたたび同居するとき、ストレスなく、楽しく日々を過ごせるにはどうしたらいいのか、ポジティブに生きられる空間とはどういうものなのか……そんなことを考えながら設計し、ゆったりと余裕のある、明るい空間が生まれました。

(構成・宇佐美里圭)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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