朝日新聞ファッションニュース

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

イタリアで最先端のデザインを集めたミラノ・デザインウィークが14日まで開かれた。テクノロジーをライフスタイルに溶け込ませたり、人間の体や心について改めて考えさせたりする展示が目立った。オフィス家具の提案では、コミュニケーションが重要なテーマとなっていた。

生活を豊かにする提案、作品で体感

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

ソニー

ソニーはロボットと人間の共生をテーマに体験型の展示を見せた。イメージセンサーの技術を応用し、人が空間に入ると球体ロボットが様子をうかがうように遠ざかる。人が座ったことを察知すると、ころころと近寄ってくる。

「生活を豊かにするという意味で、ロボットも家具と変わらないのではないか」と、ソニークリエイティブセンタースタジオ6の前坂大吾シニアアートディレクター。ロボットへの警戒感や恐怖感を和らげ「人に命令されたことだけをやるのではなく、自律した生命感あるロボットなら親しみやすく共生できませんか、という提案」と話す。

AI(人工知能)が発達し、「人間の存在が脅かされる」と懸念する風潮もある中、人の身体性や感覚を重視したり心に訴えたりする展示が多かった。

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

ヤマハ

ヤマハは、楽器を演奏している時の没入感や安心感など複雑な感覚を持つ、人の「心の躍動」に迫ろうとした。オブジェの中でチェロに添い寝すると、体が音や振動に包み込まれる。ヤマハデザイン研究所の川田学所長は「響いてくるものを体ごと感じてほしい。何でも小型化してタブレットに入る時代に、自分の身体と同じサイズで物事が起こっているというのが大事」と言う。

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

グランドセイコー

グランドセイコーは、人間の時間感覚に着目。「楽しい時は早く感じる」など、時計が正確に刻む時間とは違う、主観的な時間をインスタレーションで表現した。精巧な時計のパーツと、水面に光を当てて光の波紋がゆっくりと広がる様子を対比的に見せた。

商品そのものではなく、なぜアート的な作品を見せるのか。ブランドの担当者は「かつては製品の精度が高い、と言ってきたが、今後はそれだけではないことを示さなければ」と話す。技術の発展で機能だけでは違いを示しにくくなっている。作品を手がけたデザインスタジオ「ウィープラス」の安藤北斗は「ブランドの価値は機能だけではない。製品を持つことで、誇らしいなど色々な気持ちになる。人の心にアプローチすることが重要だ」と話した。

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

レクサス

トヨタ自動車のレクサスは、日本のテクノロジーアーティスト集団「ライゾマティクス」が手がけたインスタレーションで「人を中心としたデザイン」という理念を表現。人の動きに呼応するロボットとダンサーが踊った。

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

ネンド

佐藤オオキ率いるデザインオフィスのネンドは偏光フィルムで作った「花畑」を見せた。照明の下に付けた偏光フィルターの角度を変えることで、花の影が消えたり濃くなったり。風が通り抜ける様子を視覚化した。

オフィス家具、対話生む共用部を重視

人と人とのコミュニケーションを促す家具の提案も相次いだ。顕著なのがオフィスだ。ワーク・ライフ・バランスが課題になる中、議論で新しいアイデアを出したり、少しでも心安らぐ時間を生み出すために、共用スペースが重視されるようになっている。

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

エクストレミス

ベルギーのエクストレミスの製品はアウトドア家具だが、オフィス需要も多いという。日本で人気なのは、ミーティング向きの円形ソファ。付属のパラソルの下にいるとリラックスでき、場の一体感もある。「日本での顧客は外資系のIT企業が多かったが、今ではローカルな企業にも浸透している」と担当者は話す。

最新技術、心と体にアプローチ ミラノ・デザインウィーク

カリモクニュースタンダード

日本のカリモクニュースタンダードは、2枚構造の天板の間に収納が可能で、配線にも配慮したテーブルを提案。シンプルなデザインと色で「きちんと感」がありつつ、木製の温かみで会議の場も和みそうだ。
(神宮桃子)

19年秋冬東京コレクション(下) 優雅に丁寧に、新鮮クラシック

トップへ戻る

ポール・スミス、遊び心尽きぬ50年

RECOMMENDおすすめの記事