花のない花屋

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

〈依頼人プロフィール〉
川邊紅美子さん 42歳 女性
千葉県在住
会社員

    ◇

私の友人家族はいつ会っても3人仲が良く、かわいい雰囲気のほんわかした一家です。彼女は芸術学部の油絵科だった友人で、彼は私が入部したアーチェリー部の1歳年上の先輩。2人とも付き合い始める前から友人で、ひそかに「あの2人は合うんじゃないかな」と思っていたら、別のサークルで出会ってつきあい始め、卒業して2、3年後に結婚しました。

しばらくしてかわいい男の子が生まれ、2016年に彼の故郷である長野県松本市に引っ越していきました。自然豊かな環境で男の子もすぐに順応し、楽しく暮らしているとの便りが届きうれしく思っていましたが、翌年、久しぶりに連絡をすると、「実はいま入院していて……」との返事。

なんと、彼女に白血病が発覚し、抗がん剤で治療をしているところでした。体調はそれほど悪くなく、「とりあえずは抗がん剤で寛解を目指すつもり」と、明るく前向きに話してくれましたが、突然の知らせに私は大きなショックを受けました。

その後、ちょうど私が松本へ行くときに、友人の一時帰宅が重なり、久しぶりに一家と再会することに。お母さんっ子で、お母さんにべったりだった息子さんは、どんなに心細く寂しい思いをしているだろう……と心配しながらの再会でしたが、そんな心配は必要ありませんでした。

小学3年生になっていた息子さんは、私が思っていたよりもたくましい少年になっており、お父さんのお手伝いをして、お母さんのいない家をしっかり守っているようでした。お父さんも転職先がとても理解のある会社だったようで、まわりの協力を得ながら、学生時代と同様、何事にも動じずに淡々と入院中の彼女と家庭を支えているようでした。

髪の毛が抜ける等の抗がん剤の副作用はありましたが、明るくニコニコしていて、食欲もモリモリ。大変な中にいるのに、3人は相変わらずステキな家族でした。

寛解後、3カ月で再発してしまいましたが、幸い骨髄移植が成功し、今はすっかり元気になったようです。

2年近く入退院を繰り返している間、つらいことがたくさんあったでしょう。特に無菌病棟には小学生以下は入れなかったようで、長い間会えなかった母子のことを思うと、胸がいたみます。

そこで、力を合わせて困難を乗り越えた3人へ、快気祝いの花束を作っていただけないでしょうか。3人とも小さくて丸くて、とてもかわいらしい家族です。豪華で華やかなお花よりも、小さくて丸っこい暖色系のお花でアレンジしていただけないでしょうか。また、小学校高学年の男の子がよろこびそうな遊び心のある植物や、これから長く育てられる植物も加えてもらえるとうれしいです。
白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

花束を作った東さんのコメント

僕も同世代なので自分のことのように思いながら作りました。花材はラナンキュラスをはじめ、アルストロメリア、カーネーション、パンジー、ルピナス、ドラセナ。赤・黄色はエネルギーあふれる色です。私のエネルギーもこの花束に乗せていますので、これからも元気でいられますように。

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」まとめ読み

    ◇

「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

白血病発覚で抗がん剤治療。力を合わせて困難に立ち向かう家族へ花束を

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

facebook

instagram

http://azumamakoto.com/

PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。

「仕事は辞めていいんじゃないの」 結婚か退職かに悩む私にアドバイスをくれた恩師へ

トップへ戻る

【東信さんの『花のない花屋』】親に贈りたい花束と物語

RECOMMENDおすすめの記事