料理家・冷水希三子の何食べたい?

旬のグリーンピースが主役。新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は今が旬のグリーンピースを使ったやさしい卵料理をお届けします。

―― 冷水先生、こんにちは。昨日スーパーに行ったら、春野菜がどんどん出ていて、なんだかワクワクしちゃいました。

冷水 春の野菜はパワーがぎゅっと詰まっている感じがして、本当においしそうですよね~。

―― 読者からも春の野菜を使った料理にまつわるリクエストが届いています。中でも気になったのがグリーンピースに関するお便りで……。

冷水 わ~、グリーンピース! 春になると食べたくなる食材のひとつですね! 私も大好きです。

―― あの、えーとですね、そのグリーンピースがどうにも苦手という人が結構いらっしゃいまして……。じつはワタクシもそのひとりでございます(モジモジ)。

冷水 えーっ! 本当ですか!? あ、もしかしてみなさんが苦手だというグリーンピースはミックスベジタブルとか冷凍されたものじゃないですか?

―― シューマイに乗っているアレですね、まさにそうです。

旬のグリーンピースが主役。新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

グリーンピースはぜひさや付きのものを。ちなみにグリーンピースは熟す前のえんどう豆のこと。さらに未熟なものが、さや付きで食べるさやえんどうです。

冷水 なるほど! 確かに冷凍のものはあまりおいしくないかもしれませんね。でも心配しないでください。今出回っているグリーンピースは新鮮そのもの。甘くてお豆の風味がしっかりしていて、本当においしいんですよ。きっとそれを食べたら印象が180度変わると思います。

―― 本当ですか!? それはもうグリーンピース革命ですね! ぜひお料理を教えてください~。

冷水 ぜひグリーンピースの風味を味わっていただきたいので、今日は卵を使ったやさしい味のお料理を作りましょうね。みんな大好きなあんかけです。

―― トロトロ料理、大好き!

冷水 まずはグリーンピースの下ごしらえです。さやからお豆を出すのを手伝ってもらえますか?

―― えっ!? グリーンピースってこんな状態で売られているんですか!?

冷水 あらまあ、グリーンピースに興味がない証拠ですね(笑)。さやから出した状態のものも売られていますけれど、さや付きの方がフレッシュで、お豆の味も濃いと私は思うんです。だから料理する直前にさやから出して使いましょう。

―― 知らないことだらけです(涙)。

冷水 お豆は昆布と一緒に水から煮て、15分ほどしたらそのまま粗熱を取りましょう。煮汁も捨てずにとっておいてくださいね。

旬のグリーンピースが主役。新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

鶏ひき肉と新玉ねぎを炒めたら、あらかじめ卵を解きほぐしておいたボウルへ。こうすることで卵液の温度が上がり、半熟卵を作りやすくなります。

―― 了解です!

冷水 使う具材は、塩こうじとお酒、しょうがのすりおろしをもみ込んで5分ほど置いておいた鶏ひき肉と新玉ねぎです。

―― ここにも春野菜! 新玉ねぎって本当に甘くておいしいですよね~。

冷水 炒める前にボウルに卵を溶いておきましょうね、料理は段取りが大事ですから。

―― ハイッ!

冷水 じゃあフライパンでひき肉と新玉ねぎを炒めます。火が通ったら、卵をほぐしたボウルに投入します。

―― 溶き卵をフライパンに入れるんじゃなくて、炒めた具材を溶き卵に加えるんですか? なんで、どうして!?

旬のグリーンピースが主役。新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

熱したフライパン(中華鍋ならなおよし)に卵液を一気に流し込み、半熟卵を作ります。油を気持ち多めに引くのが上手に作るポイント。

冷水 冷たい卵をいきなりフライパンで焼くと、卵液の温度が上がるのに時間がかかるので固くなりやすいの。今回はふわふわの卵焼きを作りたいので、炒めた具材を卵に加えて、卵液の温度を上げておくんです。これならフライパンに流し込んだときに一気に熱くなり、ふわふわの半熟を作りやすいんです。

―― なんと! これまた冷水流「科学する料理」ですね~。

冷水 この技はカニ玉とか天津飯を作るときにも使えますから、覚えておいて損はないですよ。

―― 本当だ、卵が徐々に固まって、ふわふわの半熟になっています! この状態ですでにおいしそう~。

冷水 程よい半熟になったら卵はこれで完成です。取り出してお皿にスタンバイしておきましょう。

旬のグリーンピースが主役。新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

グリーンピースのあんをたっぷりかけて完成。やさしい風味の和風だしで、グリーンピースの風味や甘みをしっかりと感じられます。

―― あとはあんかけ作りですね。

冷水 はい、ここでグリーンピースの煮汁の登場です。カツオ昆布だしと合わせて温めて、煮ておいたグリーンピースを加えます。グリーンピースはいいおだしが出ますから、この煮汁が味の決め手なんです。

―― なかなかやりますね、グリーンピースちゃん!

冷水 水溶き片栗粉でとろみをつけたらあんの完成です。卵焼きにたっぷりかけていただきましょう。

―― うわ~、グリーンピースの緑が卵の黄色に映えて、とってもキレイ……。

冷水 見た目にもとっても春らしいお料理でしょう?

―― これまで「グニュグニュしてて気持ち悪いな~」と思ってたグリーンピースが、なんともまあホクホクとした気持ちいい食感に仕上がっています! というか今まで食べていたものはグリーンピースじゃないですね……。甘くてクセになるおいしさです(涙)。

冷水 グリーンピースの名誉挽回ができてよかったです。やっぱり旬のものはおいしいですからね。もし他にも苦手な野菜があったら、ぜひ旬モノを食べてみてください。本当の味がわかるはずですから。

―― お豆のホクホクと卵のふわふわ、あんのトロトロが一緒になって、本当に幸せな食べ心地です。どれも優しく包み込んでくれるような、日だまりみたいなお料理です。

冷水 春には春らしいお料理を、ね。

今日のレシピ

新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

■材料(2~4人分)

・鶏ひき肉:80g
・新玉ねぎ:1/3個
・グリーンピース(正味):80g
・卵:4個
・昆布(5㎝角):1枚
・カツオ昆布だし+グリーンピースのゆで汁:200ml
・水溶き片栗粉:大さじ1
・油:大さじ3
・塩:適量

[A]
・塩こうじ:小さじ1/2
・酒:小さじ1
・しょうがすりおろし:小さじ1

[B]
・みりん:大さじ1/2
・薄口しょうゆ:小さじ1
・塩:少々

作り方

1. ボウルに鶏ひき肉を入れてAをもみこみ、30分ほどおく。新玉ねぎは5ミリ幅のくし切りにする。

2. 鍋にグリーンピースと水400ml(分量外)と昆布を入れて火にかけ、15分ほど煮る。粗熱が取れたら煮汁とグリーンピースは分けておく。

3. フライパンに油大さじ1/2を入れ、1の鶏ひき肉を炒める。肉の色が変わり始めたら新玉ねぎを加えて炒め、塩少々で味を調える。ボウルに卵を割り入れてほぐし、塩少々を加えたところに、炒めた新玉ねぎとひき肉を入れ、混ぜ合わせる。

4. 3のフライパンをきれいにしてから油をしき、3を入れて中火で焼き、取り出す。

5. 別の鍋にだし汁と煮汁を合わせ、グリーンピースとBを入れて火にかける。煮立ったら水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、4の卵焼きにかける。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)


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PROFILE

旬のグリーンピースが主役。新玉ねぎと卵の“トロふわ”あんかけ

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

香草オイルをジュッ、中華風ふわふわ蒸し鰆。

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