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人生どん底でも慌てず腐らずブレずに生きる! 映画『僕たちのラストステージ』

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今回ご紹介するのはこの映画! 『僕たちのラストステージ』

昨年「U.S.A.」の大ヒットで再ブレークを果たしたDA PUMP。初期メンバーとは異なる顔ぶれながら、その復活までの道のりを聞いた時、人間、苦境の時ほど真価が問われるんだよなぁ、としみじみしてしまった。DA PUMPがまさかショッピングモールのツアーを行っていたとは。

でも、彼らはそれで腐るどころか、最初はそう思っていたメンバーでさえ、「客が楽しんでくれればフィールドはどこでもいいと思えるようになった」というからすごい。苦境に陥っても変わらず腐らず、なすべきことをなす。それがどれほど難しいか、私たちは知っている。

映画「僕たちのラストステージ」もハリウッドで栄華を極めながらも低迷期を経験した芸人の物語。主人公は無声映画時代に頂点を極め、今も世界中にファンがいる伝説のコメディアンコンビ「ローレル&ハーディ」。彼らがすでに過去の人になっていた時代に焦点を当て、真の相棒となっていく2人の姿を描く。

人生どん底でも慌てず腐らずブレずに生きる! 映画『僕たちのラストステージ』

© eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018

「ローレル&ハーディ」としてハリウッドのコメディー界に君臨したスタン・ローレル(スティーヴ・クーガン)とオリバー・ハーディ(ジョン・C・ライリー)。時は流れ1953年、2人は英国ツアーのため小さなホテルの前に立っていた。

エージェント(ルーファス・ジョーンズ)が用意したホテルは、小さい上に薄汚れ、当然、荷物を運んでくれるポーターもいなかった。

ツアーが始まったものの、今やすっかり過去の人となった2人。彼らを知っているのは高齢者ばかりで、小さな会場もガラガラ。だが、ローレルとハーディはめげずにイギリス中を巡って人々を笑わせ、積極的にプロモーションを展開していく。

次第に2人の評判は高まり、ついにロンドンのライシアム劇場での2週間公演が決定。2人はアメリカに置いてきた妻たちをロンドンに呼び寄せる……。

人生どん底でも慌てず腐らずブレずに生きる! 映画『僕たちのラストステージ』

© eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018

ハリウッドで栄華を極めたスターが売れないことを実感することほど辛い経験はないだろう。鉄道で移動するため荷物を階段の下から上までやっとのことで運んだと思ったら、コントさながら下まで滑り落ちてしまう。

映画会社に名前を告げても電話を取り次いでもらえない。2人は売れているときとは手のひら返しのような扱いを受けながら、日々のアクシデントを乗り越えて舞台に立つ。決してブレない、芸に対する2人の姿勢から、いかに2人が仕事に誇りを持っているかがよくわかる。

苦労を共にし、決定的なケンカをしながらも、互いがどれほど大切な存在であったかに気づいていく2人。ハーディの引退を受け入れ、新たな若手とコンビを組んだものの舞台に立つことをしなかったローレル。ドクターストップがかけられていてもローレルの元へ向かったハーディ。2人の芸は長年相棒としてすべてを理解してきた彼らだからこそ可能だった。

決して仲良しとは言えなかった互いの妻たちが、手を取り合って夫たちを見つめるラストの舞台シーン。芸にすべてを注ぐ2人の姿をずっと目に焼き付けていたいと思った。(文・坂口さゆり)

人生どん底でも慌てず腐らずブレずに生きる! 映画『僕たちのラストステージ』

© eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018

ストーリー
1920年代後半から50年代のハリウッドで一世を風靡(ふうび)し、世界中のファンから愛されたお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」。晩年に彼らが気づくことになった2人の関係上でもっとも大事な時期を描いたヒューマンドラマ。 監督:ジョン・S・ベアード  出演:スティーヴ・クーガン、ジョン・C・ライリー、シャーリー・ヘンダーソン、ニナ・アリアンダ、ルーファス・ジョーンズ、ダニー・ヒューストンほか。
新宿ピカデリーほか全国公開中
配給:HIGH BROW CINEMA
© eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018

PROFILE

坂口さゆり

生命保険会社のOLから編集者を経て、1995年からフリーランスライターに。映画評や人物インタビューを中心に、金融関連や女性のライフスタイルなど幅広く執筆活動を行う。ミーハー視点で俳優記事を執筆することも多い。主な紙媒体に、「朝日新聞」(朝日新聞社)「AERA」「週刊朝日」(以上、朝日新聞出版)「Precious」「女性セブン」(以上、小学館)「プレジデント」(プレジデント社)など。著書に『バラバの妻として』(NHK出版)『佐川萌え』(ジュリアン)ほか。

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