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カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

世界の映画祭の最高峰、第72回カンヌ国際映画祭が5月14日に開幕しました。「万引き家族」のパルムドール受賞から1年、今回はコンペティションに日本作品は残念ながら選ばれませんでしたが、人気監督の話題作が多数集まり、映画ファンにはたまらないラインナップ。レッドカーペットに登場したスターのフォトギャラリーとともに注目点をご紹介します。(文・深津純子)

オープニングはゾンビ映画

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

開幕作品「The Dead Don’t Die」のジム・ジャームッシュ監督夫妻と出演のクロエ・セヴィニー、アダム・ドライヴァー、ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ/Reuters

オープニングを飾ったのはジム・ジャームッシュ監督のコンペ作品「The Dead Don’t Die」。ジャームッシュ初のゾンビ映画で、ビル・マーレイ、アダム・ドライヴァー、クロエ・セヴィニー、ティルダ・スウィントンら豪華キャストが共演。開幕を盛り上げるのにはうってつけの作品でした。

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

パルムドール受賞2回のケン・ローチ監督(右)/Reuters

コンペ部門にはこの作品を含め21本が参加します。ケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟、クエンティン・タランティーノ、テレンス・マリックというパルムドール受賞者や審査員長経験もあるペドロ・アルモドバル、イタリアの名匠マルコ・ベロッキオら大物監督がずらり。タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、1960年代末ハリウッドの暗部をレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットらオールスターキャストで描く大作。カンヌがギリギリまで完成を待ったという今回最大の注目作です。一方で、コンペ初挑戦監督も7人。ビッグネームと俊英が競う展開になりそうです。

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

黒人女性監督で初のコンペ参加を果たしたマティ・ディオップ(中央)/Reuters

女性監督の作品は4本。いずれもコンペ初登場のフレッシュな顔触れです。先陣を切って上映された「ATLANTICS」のマティ・ディオップ監督は、女優としても活動するセネガル系フランス人。黒人女性監督としては初めてのコンペ参加を果たしました。監督の国籍別で見ると、最多がフランスの6人、次が米国の5人。アジア勢は韓国のポン・ジュノ、中国のディアオ・イーナンの2人だけ。作品の多様化を進めてきた近年と比べると、欧米偏重気味のセレクションと言えるでしょう。

最年少の審査員に脚光

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

コンペの審査員。左からカンピヨ、パヴリコフスキ、ランティモス、ロルヴァケル、ビラル。ンジャエ、ライヒャルト、イニャリトゥ委員長、ファニング/Reuters

コンペの審査員もスター揃い。9人中8人が監督経験者です。委員長は「バードマン」「レヴェナント」で米アカデミー作品賞を2度受賞したメキシコのアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。一昨年のグランプリ受賞監督ロバン・カンピヨ(「BPM ビート・パー・ミニット」)、昨年の監督賞のパヴェウ・パヴリコフスキ(「COLD WAR あの歌、2つの心」)、脚本賞のアリーチェ・ロルヴァケル(「幸福なラザロ」)、昨年のベネチアで審査員特別賞に選ばれたヨルゴス・ランティモス(「女王陛下のお気に入り」)という人気監督がそろって「選ぶ側」に回りました。

最年少は先月21歳になったばかりのエル・ファニング。「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」 (2017)、「ネオン・デーモン」(2016)などのコンペ作でも主演を務めた若きカンヌ常連女優は、上映ごとにがらりとイメージを変えるファッションも注目を集めています。ほかに「ウェンディ&ルーシー」の米国人監督ケリー・ライヒャルト、フランスの人気コミック作家エンキ・ビラル、アニメ「キリクと魔女」の声優も務めたブルキナファソの女優・監督マイムーナ・ンジャエが審査員を務めます。

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

イニャリトゥ委員長とエル・ファニング

鬼才が撮る日本の「レンタル家族」

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

日本で新作を撮ったヘルツォーク監督(左)。女優ジュリアン・ムーア、コンペ作監督グザヴィエ・ドランと/Reuters

コンペ外では日本関連の作品も。「フィッツカラルド」「アギーレ/神の怒り」で知られるドイツの鬼才ヴェルナー・ヘルツウォーク監督は、日本で撮影した新作「Family Romance, LLC」を特別上映部門でワールドプレミアを行います。家族や恋人をレンタルする日本の代行サービス業を題材にした作品で、実際の関係者が出演しています。並行企画の監督週間では、三池崇史監督が窪田正孝を主演に迎えた「初恋」と、ダンサーでもある吉開菜央監督の「Grand Bouquet/いま いちばん美しいあなたたちへ」を上映。国際批評家週間では「サウダーヂ」「バンコクナイツ」で知られる映像制作集団「空族」の富田克也監督の最新作「典座 -TENZO-」が特別招待されました。

映画界のワーママを支援

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マーケット会場にオープンした託児施設/Reuters

会期中は映画の権利を取引するマーケットも開催され、1万人以上の映画業界人が分刻みのスケジュールでミーティングや上映に駆け回ります。なかには子連れ出張でベビーシッター探しに苦労する人も。そんな悩みを共有する映画業界のワーママたちが「Le Ballon Rouge(赤い風船)」という子育て支援プロジェクトを始動。各国のパビリオンが並ぶ会場の一角に、小さな託児施設をオープンしました。

業界紙「ザ・ハリウッド・リポーター」によると、会場は映画祭側が無償で提供し、映画会社からも協賛金が寄せられました。フランスのスタートアップ企業から派遣されたシッターが常駐し、1度に11人までの子どもを預かります。現在の利用登録者は約60組。映画界の女性の地位向上が叫ばれるなか、こうした支援活動がどのように広がっていくのかも注目です。

映画祭は5月25日まで。賞レースの行方なども続けてお届けします。お楽しみに!

>>レッドカーペットの模様は画面下のギャラリーへ

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栄冠の行方は…… カンヌ国際映画祭コンペの話題作

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