朝日新聞ファッションニュース

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

より詩的でドラマチックに――。1月から4月までフランスや日本で開かれた高級ジュエリーの新作展では、創造的で自由なデザインが目立った。拡大している富裕層の個々の好みを意識するかのように、希少な大粒の貴石を大胆かつ趣向を凝らして配している。資産価値としても高い品を提案する傾向が続いている。

流れる隕石やオーロラ表現―多様な好みを意識

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

左から[1]、[2]

1月のパリ・オートクチュールコレクションの会期中、カルティエは宇宙の光や星の軌道など、天体現象を幻想的に表した。隕石(いんせき)が、他の隕石のかけらを巻き込んで流れてゆくイメージを表現したリング(420万円、価格は全て参考で税抜き)=[1]=は、ダイヤモンドや不ぞろいの乳白色のムーンストーン、ミルキークオーツで構成されている。
ピアジェのテーマは「太陽の輝き」。オーロラをヒントにしたネックレス(9800万円)=[2]=は10・76カラットの大粒と、計20・44カラットにのぼる60個のエメラルドを非対称に配して神秘性を強調した。

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

左から[3]、[4]

ショーメは1919年に制作したティアラを発想源に、15個のルビーが連なるネックレス(2億8600万円)=[3]=などを並べた。
地金の爪を見せず、大粒の貴石をさらに大きく感じさせたのはショパール。中央の5・04カラットの石を含め、計11・77カラットのサファイアをこんもりと盛ったリング(1233万円)=[4]=が印象的。

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

[5]

多様なシーンに合わせて工夫を凝らすブランドが増えている。シャネルはカメリア(ツバキ)をモチーフに、何通りもの装いを楽しめる作品をそろえた。ホワイトゴールドに7・61カラットのルビーを用いたネックレス(3億6960万円)=[5]=は、花の部分がブローチになり、取ると下から別のカメリア飾りが現れる。
高価で凝った宝飾品の一方、シンプルで求めやすい価格の品を薦めるブランドもあった。

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

左から[6]、[7]

ブシュロンが3月に発売した、オーディオなどのケーブルジャックのようなシリーズは、首や手に巻き付けて装う。ゴールドと1・04カラットのダイヤのタイプ=[6]=で133万円。
ディオールは2月のパリ・コレ期間中、創始者が大事にしたお守りから着想し、風配図をモチーフにしたブレスレット(81万円)=[7]=などを発表した。

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

[8]

日本でもハイジュエリーへの関心は高まっている。ルイ・ヴィトンは4月、神奈川県小田原市の江之浦測候所で国内初の大規模な展示会を開いた。現代美術家の杉本博司が手がけるモダンな空間で、「V」をデザインした、イエローサファイアと真珠のブレスレット(1779万円)=[8]=などをそろえた。

欧米や中国などを中心に、高級ジュエリー市場は近年特に活況だ。鉱物資源に限りがあるなか、より品質の高い宝石の争奪戦が起きているという。

レアなアンティークも人気 サザビーズのタッド・スミスCEO

こぼれる輝き、秘めた物語―宝飾ハイブランド新作、より大粒に大胆に

米国出身、2015年から現職

国際的オークションを手がけるサザビーズは、4月に香港で開催した競売のため、宝石や宝飾品の下見会を3月に東京で開いた。目玉の88・22カラットの高品質ダイヤは、日本人が15億3000万円で落札。下見会に合わせて来日したタッド・スミスCEOに聞いた。

    ◇

――近年の競売での宝飾品の売り上げ動向は?

「ここ20年ほど堅調に伸びている。特にレア物で保存状態のいいアンティークジュエリーはよく売れる。ダイヤなどの宝石は投資目的でも買われる。日本市場も過去数年、成長が続いている」

――好調の理由は。

「サザビーズは宝石や美術品など高額な落札が話題になるが、実は落札品の6割は1万ドル(約110万円)以下。店舗コストがかからないので、その分安価だ。アプリを導入すればスマホで入札できる。昨年の新規顧客の6割以上はオンラインでの参加。消費者にとって競売は買い方の一つの選択肢になってきた」

――顧客層に変化は。

「世界中で新しい富裕層が生まれている。中国や米シリコンバレー、投資家やミレニアル世代の若者たちだ。彼らはフランクでフレンドリーでデジタル好き。特定の事柄に精通していて、カルチャーをミックスすることに意義を感じている。そんな新顧客層に合わせて、我々も変化する努力を続けたい」

(編集委員・高橋牧子)

美智子さま、思いにじむ装い

トップへ戻る

高級ブランド、レンタルで「お試し」 使い心地を体験、購入前のヒントに

RECOMMENDおすすめの記事