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栄冠の行方は…… カンヌ国際映画祭コンペの話題作

フランスで開催中の第72回カンヌ国際映画祭もいよいよ大詰め。日本時間5月26日の未明の授賞式を前に、コンペティションの注目作をご紹介します。(文・深津純子)

ジャンル映画に脚光

21作品が最高賞のパルムドールを競うコンペ部門。ジム・ジャームッシュ監督のゾンビコメディー「The Dead Don’t Die」で幕を開けた今回は、ホラーやミステリーといったジャンル性が強い作品が例年以上に目立っています。

移民問題を背景にしたロマンスが超自然的な展開を見せたり、新種の花の開発が思わぬ恐怖を招いたり……と、一筋縄ではいかない作品が並ぶなか、最も注目を集めたのはクエンティン・タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットを主演に、ハリウッドの黄金時代が終わりを迎えた1969年を描いた作品です。

栄冠の行方は…… カンヌ国際映画祭コンペの話題作

クエンティン・タランティーノ監督。開幕直前に作品を完成させた/Reuters

デビュー作「レザボア・ドッグス」でカンヌに登場し、第2作「パルプ・フィクション」でパルムドールを獲得したタランティーノは、映画祭総代表のティエリー・フレモーが「カンヌの子」と呼ぶ特別な存在。今年はパルム受賞から25年目に当たります。しかも、カルト集団チャールズ・マンソン一家による女優シャロン・テート殺害事件が主要なモチーフで、監督が愛する西部劇や永遠のヒーロー、ブルース・リーまで登場するオールスター作品とあって、公式上映は熱狂の渦に包まれました。

栄冠の行方は…… カンヌ国際映画祭コンペの話題作

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で落ち目の俳優を演じたレオナルド・ディカプリオとそのスタントマンを演じたブラッド・ピット、シャロン・テート役のマーゴット・ロビー/Reuter

記者会見でマンソン一家について問われたタランティーノは「ものすごく研究した。だが、調べれば調べるほど、何も解明されていないことがわかった。だから逆に引き付けられた」。時代の目撃者となる俳優を演じたディカプリオは「この作品は監督が映画業界に宛てたラブレターだ」。日本では8月30日に公開されます。

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アルモドバル監督と主演のペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス(右から)/Reuters

0.1点差の大接戦

映画批評家らがコンペ作品を採点する映画業界紙などの星取表は、0.1点差で順位が入れ替わる接戦が続いています。そんななか、序盤で群を抜く人気を集めたのが、スペインのペドロ・アルモドバルの「Pain and Glory」。アントニオ・バンデラスを主演に、スランプに陥った映画監督の葛藤や懐旧の思いを独特の映像表現で綴りました。「オール・アバウト・マイ・マザー」で監督賞を得たものの、パルムドールはまだ手にしていない名匠だけに、「今度こそ」の期待も高まっています。

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「Parasite」のポン・ジュノ監督(中央)と出演者/Reuters

しかし、後半に強力なライバルが出現しました。「オクジャ」に続き2回目のコンペ参加となったポン・ジュノ監督の「Parasite」です。海外作品が続いた監督にとって「母なる証明」以来10年ぶりとなる韓国映画で、失業者揃いの貧乏家族が裕福な企業経営者の家に”寄生”を企てます。「グエムル」のソン・ガンホを主人公一家の父親役に、抜群のアンサンブル演技で予想もつかない世界を構築。コメディ、ホラー、スペクタクル……と多彩な要素を詰め込んだ家族のドラマは、ジャンル映画が脚光を浴びた今年を象徴する存在といえるかもしれません。

栄冠の行方は…… カンヌ国際映画祭コンペの話題作

「Portrait of a Lady on Fire」の公式上映。右から3人目がセリーヌ・シアマ監督/Reuters

コンペ初参加組では、地元フランスの女性監督セリーヌ・シアマの「Portrait of a Lady on Fire」が好評。18世紀の貴族の屋敷を舞台に、女性画家と絵のモデルになる一家の娘の関係を描いた恋愛劇。デビュー作「水の中のつぼみ」が日本でも公開されたシアマ監督の繊細な心理描写や、アデル・エネルとノエミ・メルランの演技が高く評価されています。

栄冠の行方は…… カンヌ国際映画祭コンペの話題作

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督率いるコンペティションの審査員。目利きぞろいのメンバーが下す結論は……/Reuters

↓↓コンペ作品の詳細や映画祭の話題はギャラリーをご覧ください。

カンヌ国際映画祭 コンペはベテランvs俊英

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韓国映画がパルムドール初受賞 カンヌ国際映画祭

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