猫と暮らすニューヨーク

どんな猫も手なずける、元キャットシッター夫婦

[猫&飼い主のプロフィール]

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・タヌ(本名はエドワード)8歳 オス ソマリ(アビシニアンの長毛種)、ビビ 8歳 メス アビシニアン
飼い主・アーティストの今坂庸二朗さんと、パタンナーでありフローラルデザイナーとしても活躍する今坂瑛子さん夫妻。ブルックリンにあるロフトアパートメントに暮らす。(写真:前田直子)

   ◇

夫婦共に猫歴は25年。猫を安心して託すことができるキャットシッターとして、ブルックリン界隈(かいわい)ではちょっと知られた存在だった庸二朗さんと瑛子さん。旅行や仕事で家を留守にする友人知人の猫を、送迎付きで自宅に迎え、面倒をみる。最初のきっかけは、2012年の秋だった。

「ハリケーンのサンディーがやってきて、猫を飼っていた友人のアパートメントが避難区域になったんです。猫を預かってほしいと言われて、1匹預かった。それで完全に味を占めました(笑)」

どんな猫も手なずける、元キャットシッター夫婦

タヌの好物は、出汁パックとヨーグルト。二人がヨーグルトを食べ始めると、欲望を抑えきれず、ご覧のとおり。ギャラリーはこちら

ずっと猫を飼いたいと思っていた2人だけれど、旅も多く、猫が飼えないままでいた。そんな2人に、キャットシッターはちょうどいい猫補給だったのだ。
 
キャットシッターとして数々の猫を預かること、約6年。その中に、事情があり猫を飼えなくなってしまった友人がいた。里親を探していると聞き、譲り受けることに決めたのがタヌとビビの2匹だ。どちらもアビシニアン種で、ベージュとグレーのカラーグラデーションが美しく、ミニマルなロフトアパートメントにその姿が素晴らしく映える。

「マンション育ちなので、家のなかに階段がある住まいが夢。その階段から猫が歩いて降りて来るなんて、もう狂喜乱舞です」と庸二朗さん。今住んでいる部屋は「猫のために選んだようなもの」と笑う。

友人から譲り受けた飼い猫とはいえ、今やすっかり家族の一員となった2匹。オスのタヌは人懐っこく、おっちょこちょいな性格。気まぐれにビビのほうへ寄っていくと、猫パンチをくらわされるという「空気がまったく読めないタイプ」。嫉妬深い面もあって、ビビにばかり注目が集まると、「ぼくもぼくも!ってなります」(庸二朗さん)。

どんな猫も手なずける、元キャットシッター夫婦

動物病院では、どんな猫も重石みたいに動かなくなるか、嫌がって暴れ狂うかしてしまうもの。でも、空気が読めないタヌは病院でものんきに過ごし、スタッフの腕に抱かれ脱力していたらしい。ギャラリーはこちら

前の飼い主が付けた名前はエドワードだったけれど、その性格とタヌキみたいな見た目から、2人によって「タヌ」というあだ名がつけられた。

一方、そんなタヌとは異なり、ビビは「女王様」。控えめな性格で、ちょっとすましたところがありながらも、実は2人にべったりな甘えん坊。ちなみに二匹とも貴族に愛されてきた猫種ゆえか、段ボール箱の中に入ってはしゃぐというような、庶民の遊びには興味を示さない、らしい……。

どんな猫も手なずける、元キャットシッター夫婦

「呼んだ? おまたせ」。満を持して、クールビューティなビビ様の登場です(本当は取材チームを怖がって、隠れていただけです)ギャラリーはこちら

キャットシッターとして数々の猫の面倒をみてきた2人は、猫の扱いがとてもうまい。タヌもビビも2人に撫(な)でられれば、人目も気にせずおなかをあらわにして、一気にくつろぎムードに。

かつての預かり猫のなかには、ちょっと神経質な猫や、気難しい猫もいたそうだけれど、庸二朗さんいわく、「だいたい最後はソファに一緒に座り、撫でればゴロゴロいうところまでもっていった」とのこと。

その技、猫好きとしては、なんとしても体得したい。「猫の個性をきちんと理解して、嫌がることはせずにある程度放っておくこと。猫をゆっくり撫でるのも、ポイントかもしれません」と瑛子さん。

どんな猫も手なずける、元キャットシッター夫婦

猫と暮らすようになって変わったことは、「猫の毛がつきやすい素材の服は買わなくなったこと(笑)」と庸二朗さん。掃除機、クイックルワイパー、コロコロ(粘着クリーナー)を使い分け、部屋も洋服も常にクリーンを心がけています。ギャラリーはこちら

庸二朗さんは「猫と波長を合わせるのがうまいのかもしれませんね」と自己分析。

「人と一緒にいるのも好きだけど、自分の時間も大切にしたいタイプ。猫と似ているから、猫と波長が合うのかもしれません」

そうやって猫とすぐに親しくなったり、自然と猫に慕われたりする才能を持つ人を、アメリカではCat Whisperer(キャット・ウィスパラー)と呼ぶ。庸二朗さんと瑛子さんは、きっとキャット・ウィスパラーに違いない……。猫2匹とたわむれる2人を、憧憬(しょうけい)のまなざしで眺めながら、そう確信したのだった。

>>写真のつづきはフォトギャラリーで
※フォトギャラリーは、プロフィールの下にあります。

今坂庸二朗さんのウェブサイト http://yojiroimasaka.com
今坂庸二朗さんのインスタグラム https://www.instagram.com/yojiroimasaka
今坂瑛子さんのインスタグラム https://www.instagram.com/eeeee

連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

《INFORMATION》
『ニューヨーク おいしいものだけ! 朝・昼・夜 食べ歩きガイド』刊行を記念して、NYの食にまつわるモノを集めた、“おいしい”ポップアップイベントを開催!

どんな猫も手なずける、元キャットシッター夫婦

ニューヨーカー御用達の朝ごはん、夜は大行列な店の穴場ランチ、記憶に残るスイーツ、アメリカンサイズの絶品ステーキ、メキシコ・中東・アジアなど目移りする世界の味、気分のいいバー、助かるTo Goと深夜営業の店、食いしん坊のおみやげまで……。

ニューヨーク・ブルックリンに暮らす編集・ライターの仁平綾が、NYの街を縦横無尽に食べ歩き、“おいしいものだけ”を選りすぐって1冊の本にまとめた『ニューヨーク おいしいものだけ! 朝・昼・夜 食べ歩きガイド』(1800円+税)が、5月11日に筑摩書房より発売。

刊行を記念して、5月1日~6月17日まで、NYの食にまつわるモノを集めた、“おいしい”ポップアップイベントを日本各地で開催します。

詳細はインスタグラムにて @nipeko55

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PROFILE

前田直子

写真家 24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
www.naokomaeda.net

PROFILE

仁平綾

編集者・ライター
ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.bestofbrooklynbook.com

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