野村友里×UA 暮らしの音

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、現在カナダで暮らす歌手UAさんの往復書簡「暮らしの音」。有史以来最大の情報社会の今、必要なのは「足るを知ること」。そうつづったUAさんの手紙への、野村友里さんのお返事は――。

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

>>UAさんの手紙から続く

うーこへ

ラララララ。
で締める、あなたの手紙。
あっぱれです。
私の悶々とした気持ちへの答えが、スパーッと軽やかに、的を射て書かれていたわ。
往復書簡ってすごい、、、公開答え合わせになってる。。。

”足るを知る”
いい言葉ね。
世の中が作り出した模範の奴隷にならないということ。
結局のところ、また樹木希林さんの言葉が頭の中に響いたわ。
”奢らず、人とくらべず、平気でおもしろがって生きればいい”
そんな気配をまとう生き方に、知性や美しさを私も感じるわ。
そして、うーこの言うように、少しのことで楽しめ、満足し、各自の花をご機嫌に咲かせて、土に還る。
死を恐れず、感謝の気持ちとともに、自然に。
でも、あなたは同時に、時代というものもまとって表していく立場。
令和という時代を感じ、歌にして、また時代を刻んでいくのでしょうね。
楽しみだわ。

対談の時も話したけれども
今年の冒頭に突然の友人の死を目の当たりにしてね、
魂が抜けていく様の衝撃が、まだ体の中に刻まれているの。

そのうえ、今年は本当にこの世を去る人が多すぎてね、
なんだかずっとどこかでドキドキしているのよ私。
トキメキでなくてね。
その解決法の一つとして、漢方薬局を大船で代々やっている友人の勧めもあり、漢方を飲み始めたくらいなのよ(笑)。

そしたら漢方いいわね。友人の診察もいいの。
顔と顔をあわせて話をよく聞いて、顔色みたり手首の脈をはかったり舌をみたり、
たくさん話をしていくうちに、思わぬ習慣が原因だったり、何かの病がでる警告状態だったり、いろんな自分の気付かなかった訴えを知れたりして。

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

鎌倉・大船にある「杉本薬局」の杉本格朗先生の著書

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

漢方おやつ。生命力を上げ、気が巡り、発散させるお茶などを煎じてゼリーにしたものと、シロップで甘味をつくったりお粥をつくったりして、食べて体感・知ってもらう活動をしている杉本薬局と

いくらネットが発達したり、医学が発達しても、
人と人が日頃から接して、”気”を感じとって、違和感を取り除いていくことが必要なんだな~と。

次から次へと薬局に入ってくるお客さんとのやりとりを見ていて、そう思ったの。
何よりも人の声は安心するものね。

友人のお父様で81歳現役のお医者様も、
先日目を潤ませながら話していたのは、
最近のお医者さんは、患者さんの目を見て話す人が少なくなってきたということ。

画面だけを見ないで、患者さんの気持ちになって、いかに話しやすい状況を作り、不安を取り除き、
治したい症状だけを治療するのではなく、その原因や、予想できる心配事を予防するか。
効率や進歩だけで補えないことはたくさんあると話していた。

目的や答えだけ求めると、見落とすことってある
それは、他のことにも置き換えられるな、と。

私は、よく目的があったとしても
目的そのものが目的でなくて、
結局そこに行き着くまでが知りたかったり大事なことだったりした、なんてことの方が大半だからね!

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

せっかく東京原宿の真ん中で、土や緑がある場所で、お店をやらせて頂いているのだから、もっとそのありがたみを見直そうと。 となりのお花屋さんでは最近、切り花だけでなく鉢物も扱っている

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

庭の木”アカメガシワ”の枝を切る

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

アカメガシワには、苦味質やタンニンが含まれている。胃潰瘍、胃酸過多、十二指腸潰瘍の治療に用いられるという

それにしても、話は戻るけど
この世に生きている人は、いつかは必ず一つの奇跡もなく消えてなくなる。
そのいつかは、明日かもしれないし、だいぶ先かもしれない。
だからこそ今が輝くのねと、常に言われていたこととはいえ、最近より一層ヒシヒシ。

私の命のサイズは、あとどれくらい残っているかわからないけど、
それにはどれだけ自分が無我夢中になれることがあり時間を割けるか?
いとおしく思えることをどれだけかみしめ、大事にできるか?だと思うのよね。
そのバランスのセンスを磨きたいわ~。

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

玉ねぎの皮とアカメガシワで染色!

野村友里さん「不安のドキドキ、トキメキのドキドキ」

不安なドキドキの話をしてしまったけど、
トキメキのドキドキの話も一つ。

うーことハナレグミの崇くんの声、それに BIG YUKI の演奏でオープンした
eatrip city creatures ね。
その後の対談やライブ、ワークショップも、それぞれ毎回新鮮にドキドキ胸高鳴ってしまうぐらい興味深いことばかり刺激的だった!
フリーピアノは、列ができるほどの賑わいだったし。

最後は”未来の銀座の街”について、銀座の老舗の若旦那に集まっていただき話したのね。
100年前の写真を見返したら、まだまだ馬車と車が共存していたことにびっくり。
街行く人が着ている服は、洋服と着物が半々で、楽しげに写っていた。
私たちが生まれた70年代でさえも最近じゃない!と思いきや、
髪形、装いで、今とは確実に違う時代と一目瞭然わかる昭和感。

少し時間が経ってからでないと振り返れないけど、元号で時代を語るとしたら
この平成から令和をまたいで行ったイベントを通して感じたのは“多幸感”。
この先は異常なまでの進化についてこられる人と、こられない人の二極化!になって
私は取り残されるのだろうなという恐れもあったのだけど。

期間中は
毎日のようにピアノを弾きにきたり
おしゃべりと共にお買い物したり
イベントに参加し、泣いたり感動したり意見したり
会社帰りに毎日フラッと立ち寄ってくれる人もいて
とにかく日に日に訪れる人の数が増え
人の生活習慣を少しだけ自然にワクワクするほうに変化をもたらせたのかもなという
感触があったのね。

楽しい原動力には、人は理屈抜きに引き寄せられるということ。
そしてその現象は、お互い触発され相乗効果になるということ。
場を作るのに関わってくれた人達にも感じたけど
人のエネルギーっていいなと思えた5週間だった。

まぁ何よりも私は
あなたの歌声にかなりドキドキしたわ。
何かを呼び込んでいるようにも、
まっすぐに自分に話しかけてくるようにも聞こえてくるその声がね。
体内に入ってきてドッキドキしたわ。

ありがとう。

友里

PROFILE

  • UA

    1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。α-STATION(FM京都)の番組「FLAG RADIO」にレギュラー出演中。

  • 野村友里

    料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』『春夏秋冬 おいしい手帖』(マガジンハウス)、『Tokyo Eatrip』(講談社)、共著に『TASTY OF LIFE』(青幻舎)がある。
    http://www.babajiji.com/

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UAさん「『私』という肉体と思考と精神、そして魂」

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