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《対談》劇場版「パタリロ!」魔夜峰央先生×加藤諒さん 「パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない」

 
1978年に連載がスタートした人気漫画「パタリロ!」が映画になった!
初めて2.5次元ミュージカルとなった2015年の舞台をベースに、パタリロが歌って踊って時空を超えて躍動する。演じるのは、舞台に続き加藤諒。主要なスタッフ、キャストもそのままに、映画ならではのVFXが融合して、さらにパワーアップした「パタリロ!」ワールドを楽しめる。
公開を記念して、加藤と原作者の魔夜峰央が対談。加藤にパタリロ役に決まったときの思いから聞いた。

   ◇

加藤 すごくプレッシャーでした。周りには「パタリロ!」への作品愛が強い人が多かったんです。僕はそれまで「パタリロ!」を読んだことがなかったので、お話をいただいてすぐに全巻読みました。最初に僕が想像していたパタちゃんはちょっと糸目のパタちゃん。だから、僕でいいんだろうか? という感じでした。

でも、初期のパタちゃんはもっと顔がしっかりしていたので、これだったらできるかも、と思ったんです。実は僕、舞台版「パタリロ!」まで主演というものをやらせていただいたことがなかったので、頑張ってやらせていただこうと思いました。

魔夜 諒くんは完璧ですよ。パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない(笑)。「男はつらいよ」のフーテンの寅が渥美清さんしかできないように、パタリロは加藤諒しかできないんです。

加藤 そう言っていただけるのは本当にありがたい話です。役者人生で自分に合う役ってなかなか出会えないと思います。その中でパタリロに出会えたことは本当に幸運、運命的だなと思います。

しかも、舞台だけでなく映画にもなるなんて。ミーちゃん先生(=魔夜先生)は映画化の話はご存じだったんですか。

魔夜 私は舞台を始める前から映画になることを何度となく聞いていたんです。

加藤 えー!? そうだったんですか。

《対談》劇場版「パタリロ!」魔夜峰央先生×加藤諒さん 「パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない」

魔夜 具体的には聞いていなかったんですが、場合によってはヒースロー空港までロケに行くという話もあって。一体、何をやるつもりですか!? と。でも、もちろん全然行っていませんけどね。

加藤 予算がなくなっちゃったから(笑)。ヒースロー空港の外には出ないで中で撮るという話もありましたね。それも予算がなくて飛んじゃいましたが(笑)。先生の映画出演はいつごろ決まったんですか。

魔夜 最初から通行人程度でいいからちょっと出してくれって言ってたんです。そうしたら結構がっつり登場することになって。

加藤 ミーちゃん先生役と清掃作業員役ですもんね。舞台版はミーちゃん先生はお人形でしたし、16年の舞台の初演では千秋楽だけ舞台に出てくださったじゃないですか。僕自身、先生が映画でがっつり出演してくださるといいなと思っていたので、今回とてもうれしかったです。実際に出演されていかがでしたか。

魔夜 「翔んで埼玉」「パタリロ!」と出演しましたが、実は以前に、菊池桃子さんがヒロインの「パンツの穴」(84年)という映画に出演したことがあるんです。菊池さんの相手役の男の子が働いているハンバーガーショップの客の役で(笑)。「このハンバーガーおいしいよ」くらいのセリフはありました。

《対談》劇場版「パタリロ!」魔夜峰央先生×加藤諒さん 「パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない」

加藤 じゃあこの2本のご出演は30年以上ぶりなんですね。

魔夜 そうなんです。映画に限りませんが、やはり、普段と違う世界に入り込むのは楽しいですし、興味津々ですね。諒くんは自分がパタリロにどのくらい似たところがあると思っているんですか。小林顕作監督は、「加藤諒は悪いやつだ」と言っているけど(笑)。

加藤 顕作さんからは撮影中に「加藤は腹黒いんだから」とすごく言われていました。その腹黒いところをすごく出したほうがいい、って。そしたら……出ちゃいましたね(笑)。「パタリロ!」の現場では、そういう自分の腹黒い一面を隠せなくなっちゃいました。ミーちゃん先生に「パタリロに自分を寄せるのではなく、自分にパタリロを寄せればいいじゃないか」と言っていただけたのも、本当に心強かったです。

魔夜 舞台版から映画ということで意識したことはあったの?

加藤 映画だから、というのはありませんでした。舞台の初演で築き上げた「パタリロ!」を映画で公開する、という気持ちでやらせていただきました。映画でしかないシーンがいくつもあったので、そういうところは楽しんでやらせていただきました。

《対談》劇場版「パタリロ!」魔夜峰央先生×加藤諒さん 「パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない」

魔夜 諒くん、何役やったんだっけ?

加藤 いろいろやりました(笑)。それで、衣装合わせにすごく時間がかかったんですよ。スクール水着にもなりました。ホント何役やったんだろう?

魔夜 誰も見た後覚えていないというね……(笑)。

加藤 劇場版「パタリロ!」の撮影現場は特殊でした(笑)。

魔夜 予算がないから倉庫を借りて、舞台のセットを組んで撮影したじゃない。冬だったし倉庫だから寒くて。暖房も何もないところでみんな頑張って撮りましたよ。

加藤 ミーちゃん先生も寒い中、かなり待ち時間があったのにありがとうございました。

魔夜 私は(アルコールを飲んで体を)温めながら待っていましたから大丈夫(笑)。でも、隣が倉庫は通常営業だったから、トラックが出たり入ったりえらい音でしたね。ガンガンドンドン音が全部入っていましたもん。

《対談》劇場版「パタリロ!」魔夜峰央先生×加藤諒さん 「パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない」

加藤 だから、ほぼ全アフレコです。

魔夜 撮っちゃって後でなんとかしようという感じだったもんね。

加藤 そうですね。まさにスタッフ皆さんのアイデアを全部取り入れる、という現場でした。一つネタバレになりますが「サイタマラリアン(=埼玉にしかない特殊なマラリア)」のくだりも、最初はゾンビシーンになる予定ではなかったんです。助監督がよくゾンビ映画を撮られている方で、ならゾンビにしちゃおうよって(笑)。

魔夜 成り行きまかせなんだよな。行き当たりばったりなんだよ。私自身がそういう作り方をしているものですから。「パタリロ!」の小林顕作監督も「翔んで埼玉」の武内英樹監督も口をそろえて成り行きまかせ、行き当たりばったり、出たとこ勝負、というか。

だから、先が読めなくて面白いんだろうけど(笑)。私の世界観と共通するお二人だから、面白い映画を撮って頂けるんじゃないかと思います。
《対談》劇場版「パタリロ!」魔夜峰央先生×加藤諒さん 「パタリロを演じられる地球人は諒くんしかいない」

加藤 ミーちゃん先生が常々おっしゃっている通り、「パタリロ!」はぜひ200巻を達成して欲しいですね! 僕は今後も「パタリロ!」の続編をやりたいんですよ。この座組が大好きですし、「パタリロ!」という作品も大好きなんです。パタリロを演じるのは大変ですが、すごく楽しい。それこそ渥美清さんの寅さんみたいに続けていけたらいいなと思います。

魔夜 諒くんは前からもう1回舞台をやりたいって言っているよね。脚本の池田テツヒロさんによると、舞台の話としてはもう後5本くらいできているという話です(笑)。

加藤 僕、映画が公開された後にまた舞台をやったらどうなるのかなと思っていて。

魔夜 舞台の反響はすごかったからなぁ。

加藤 それまで何度か舞台をやらせていただいたんですけど、あんなに野太いオジ様の声で「いいぞー!」みたいな掛け声を掛けられたことはなかったです(笑)。

魔夜 「パタリロ!」の観客はオジサンが多いんだよね(笑)。舞台で最初に立ち上がってスタンディングオベーションをしてくれるのはオジサン。漫画の読者もいらっしゃると思いますが、以前「帝一の國」を描いた古屋兎丸さんとの対談で、彼が言ってたんです。「自分を含め、オジサンの中には美少年の心がある。舞台はそれを満たしてくれるんじゃないか」と。合点がいきました。

加藤 そんな舞台をベースにしたこの映画、ファンの方はもちろん、美少年の心を持つオジ様たちにも女性たちにも、多くの方に楽しんでいただけるのではないでしょうか(笑)。

(文 坂口さゆり 撮影 小原雄輝)

   ◇

魔夜峰央
漫画家。1953年、新潟県出身。73年に「デラックスマーガレット」(集英社)に掲載された「見知らぬ訪問者」で漫画家デビュー。78年に発表した「ラシャーヌ!」からギャグ漫画路線に転向し、同年「パタリロ! 」を「花とゆめ」(白泉社)で連載開始。82年にフジテレビ系列でアニメ化、16年、18年に2.5次元ミュージカル化される。現在も「マンガPark」(白泉社)で連載中。18年11月にコミックス第100巻が刊行された。今年2月に86年作の「翔んで埼玉」が映画化され大ヒット。

加藤諒
俳優。1990年2月13日、静岡県出身。10歳の時に「あっぱれさんま大先生」(CX)で芸能界にデビュー。個性派俳優として映画、ドラマ、舞台、バラエティー番組などで幅広く活躍。主な映画作品に「デトロイト・メタル・シティ」(08)、「火花」(17)、「ギャングース」(18)、「ニセコイ」(18)、「翔んで埼玉」(19)、「PRINCE OF LEGEND」(19)など。

劇場版「パタリロ!」
1978年に連載がスタートし、今なお愛され続ける人気漫画「パタリロ!」。今回、2016年に舞台化された2.5次元ミュージカルをベースに映画化。パタリロが時空を超えて縦横無尽に駆け巡る。物語は常春の国、マリネラ王国の皇太子パタリロ・ド・マリネール8世(加藤諒)がお供のタマネギ部隊を引き連れて王室専用機でヒースロー空港に突っ込むところから始まる。ダイヤモンドの一大産出国であるマリネラ王国は、国王派と大臣派の激しい権力争いによって政情不安を抱えており、皇太子であるパタリロにも暗殺の手が忍び寄る。危機から救ったのは美少年キラー、MI6の諜報部員ジャック・バンコラン少尉(青木玄徳)だった。彼は成り行きでパタリロの警護につくことになるが、そんな二人の前に謎の美少年マライヒ(佐奈宏紀)が現れる……。

原作:魔夜峰央「パタリロ!」(白泉社刊) 監督:小林顕作 出演:加藤諒、青木玄徳、佐奈宏紀、細貝圭、金井成大、石田隼、吉本恒生、三津谷亮、小林亮太他。6月28日から全国順次公開中。

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