按田さんのごはん

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

ペルーのアマゾンのジャングル。雨期が終わって乾期に入りました!

東京・代々木上原と、二子玉川で大人気の餃子(ギョーザ)店、「按田(あんだ)餃子」の店主、按田優子さんの連載「按田さんのごはん」。昨年、著書『たすかる料理』のインタビューで語っていただいた、どこまでも自由な按田さんワールドを、さらにどっぷり、写真と文章で味わえる貴重な機会! 第4回は、ペルーのジャングルにいる按田さんから届いた、「ある日のご飯」のお話です。川魚のおなかにレモンやスパイスやいろいろつめてバナナの葉で包んで炭火で蒸し焼き……だなんて……!

    ◇

私はいま、ペルーアマゾンにおります。せっかくですので皆さんと一緒にジャングルのとある一日のご飯を満喫したいと思います。

ここは、ウカヤリ州のとある小さな森の中。

朝起きて庭を見てみると、先週から熟すのを待っていたウングラウィ(ヤシの一種でアサイーに似た実がつく)が、ようやく緑色から熟して黒くなったので、フアン青年にお願いしてヤシにのぼってマチェーテ(ジャングルで使う刀)で切り落としてもらった。

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

大好きなマカンボ(カカオとは兄弟です)と記念撮影

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まずは、ウングラウィのジュースの仕込み

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

ウングラウィの実。表皮は硬いのでごしごし洗っても潰れたりしません!

私は隣のマンダリーナ(すごく香りのよいミカン)の木から皮がブカブカしていないかわいいやつを選んで食べながら眺めていた。ウングラウィは枝垂れ状になったたくさんの枝から一つ一つもぎ取って、よく洗ったら45度くらいのお湯に浸して太陽にあてて3時間くらい追熟させると、中の果肉が柔らかくなってカチコチの外皮もバリバリ砕けるようになる。

次に、ジャングルパンケーキと、ジュース

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

カピローナと同量くらいのユカ芋のでんぷんを入れる

ウングラウィを太陽に当てている間に、朝ご飯を食べる。まずは、ジャングルパンケーキ。カピローナというバナナをフォークでつぶしてユカ芋のでんぷんを入れて焼く。ムチムチしていて砂糖は入れなくてもバナナだけで十分甘い。バナナの葉になすりつけてパタッと閉じて炭火焼きにするのが本当。そうすると持ち運べるし意外に傷まないで一日食べられる。

焼いている間に手分けしてオレンジやグレープフルーツ、ポマローザ、パパイアなどを収穫しジュースを作る。

わたしの大好物はチャポと呼ばれるバナナのお粥(かゆ)のようなもので、パンケーキに使うバナナをちょっと拝借して鍋に入れて水と一緒にぐちゃぐちゃにして10分くらい煮る。これはカピローナでしか出ない味。

そして、市場へ晩ご飯のための魚と肉の買い出しに

朝食が終わって近くの市場まで食材の買い出しに行った。晩ごはんのための皮付きの豚バラ肉が買い物の目当て。それから、お昼はチリピラという川魚でパタラシュカ(魚の蒸し焼き)にしたいので8尾買った。おなかにレモン果汁、辛くない唐辛子、コリアンダー、ニンニク、玉ねぎ、塩を詰めてバナナの葉で包んで炭火で蒸し焼きにする。

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ドンセイヤの頭とパタラシュカ。炭火でじっくり焼きます

ドンセイヤでブエテンスープも!

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ドンセイヤの頭は市場で見かけたら超ラッキー!

ラッキーなことに、市場でドンセイヤ(ナマズ)の頭がたくさん売っていたので、ついでにブエテンスープも作ろう。ブエテンスープはプラタノというバナナの青いものをすりおろしてとろみをつけるアマゾン版あら汁。パタラシュカを焼くついでに頭をまずじっくり炭火焼きしてから煮込む。くたくたに煮込まれてナマズの頭のゼラチン質が全て溶けたところで炒めておいた玉ねぎ、アマゾンウコン、ニンニク、すりおろしたプラタノを入れて辛くない唐辛子とノコギリコリアンダー、塩で味を調える。

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

以前習ったブエテンスープ、師匠からおいしいと言ってもらえました!

その間に、チチャロン用豚肉の仕込みを

炭火焼きをしながら晩ごはんに食べる豚肉に塩をまぶして常温でおいておいた。

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皮付き骨付きの豚バラ肉

やっと、ウングラウィのジュースづくり

朝のうちに浸しておいたウングラウィがそろそろいい塩梅になってきたので手でぐちゃぐちゃにして果肉を水に出していく。ほとんどは皮と種ばかり。2時間かけて全部ジュースにしたけどみんなで飲めばあっという間に飲み干してしまう。

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ぐちゃぐちゃにしたウングラウィを濾します

ザルで濾(こ)してチャンカカと呼ばれるサトウキビの塊で甘みをつけると、ヤシ独特の油分と何とも言えない果実味でこれは苦労が吹き飛ぶ味。水の中で放置しすぎると酸味が出て香りが薄まる。露店でも滅多にみかけない昔ながらの飲み物。昔は砂糖も入れず、ファリーニャというユカ芋を発酵させた粉と一緒に食べて男は森で仕事をしていたとか。たしかに精がつきそうな味がする。

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ミロにココナツとアサイーと牛乳を混ぜたような何とも言えないおいしい味

そろそろブエテンスープも出来上がるころに、水にさらしてあく抜きをしたユカ芋をゆでてご飯(ちなみに陸稲)も炊いた。

チチャロン用の薪を探しに森へ

晩ごはんには久しぶりに仲間が集まるのでみんなで5年前に作った土窯でチチャロン(南米の焼き豚のようなもの)を焼くので、昼ご飯を食べ終わってから森に薪を探しに行った。

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5年前に仲間と作った土窯

10年前には牧草しかなかったこの土地は仲間たちの愛情によって少しずつ森になっていき、日陰ができて1時間お散歩しても暑くない。オレンジの枝はよく燃えるから枯れている枝は手入れついでに薪にした。散歩から帰るとすぐに土窯に薪をくべて熱くした。

4時間焼いて、2週間ぶりの肉!

十分に窯が温まったところで豚を入れて表面を焼いて、あとは温度を下げてじっくり自ら出てきた脂で焼くこと4時間。

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

焼きあがったチチャロン、大勢で少しずつ頂きました!

皮はバリバリで肉はしっとり、これはたまらない。じつに2週間ぶりの肉はあっという間に自分の血肉になっていった。

明日もたくさんいろいろ拾いたいし見つけたいので早く寝ます。

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【7月の按田優子】
家庭でも楽しめるチチャロンの作り方は『たすかる料理』に、
ブエテンスープの作り方は新刊の『食べつなぐレシピ』に載っていますので
ぜひ挑戦してみてください!

按田優子さんがペルーのジャングルで食べた、ある日のご飯

『漬ける、干す、蒸すで上手に使いきる 食べつなぐレシピ』
按田優子著 家の光協会 1512円(税込み)
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PROFILE

按田優子

保存食研究家。菓子・パンの製造、乾物料理店でのメニュー開発などを経て2011年独立。食品加工専門家として、JICAのプロジェクトに参加し、ペルーのアマゾンを訪れること6回。2012年、写真家の鈴木陽介とともに「按田餃子」をオープン。
著書に『たすかる料理』(リトルモア)、『男前ぼうろとシンデレラビスコッティ』(農文協)、『冷蔵庫いらずのレシピ』(ワニブックス)。雑誌での執筆やレシピ提供など多数。

按田餃子の味を決める衝撃の魚しょうゆと、洗練のお弁当

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