パリの外国ごはん

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

パリ在住のフードライター・川村明子さんと、料理人の室田万央里さんが気になるレストランを食べ歩く連載「パリの外国ごはん」。訪れたお店の「あの一品」を事前の打ち合わせなしで再現する「パリの外国ごはん そのあとで。」! 第5回は、前回のチュニジア料理「トゥンシア」の、赤ピーマンとトマトソースに卵を割って焼いたシャクシューカと、ニンジンのサラダを、それぞれ2人でアレンジしたお話です。憧れのハリッサも、手作りするとさらに辛くておいしそう!

私はこのシャクシューカを、朝ごはんに食べたかった

>>「トゥンシア」の記事はこちら

チュニジア食堂で食事をしてから、家で作ろう!と思ったものに迷いはなかった。シャクシューカ。あれはなんとも親しみの湧く一品だ。タコのクスクスもうなるおいしさだったし、タコの代わりに、エビ・イカ・アサリなどを入れてクスクスを作りたくなるかなぁと自分では予想していたのだが、意外にもならなかった。クスクスはどちらかというと、海の近くで、その土地で食べたいと旅気分を誘った。

さっそくシャクシューカを作ろうと、レシピを検索。

材料はだいたい分かっていたけれど、分量の割合を知りたかった。すると面白いことに、「レシピ シャクシューカ」と入力しただけで、「チュニジアの」とついた候補も表示された。私は、イスラエル料理店でしか食べたことがなかったが、検索していくうちに見つけた説明によれば、もともとはチュニジアの料理で、チュニジアからイスラエルに移住した人たちによってイスラエルでも定着した、そうである。

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

主な材料は、トマト、タマネギ、ピーマン、ニンニク、オリーブオイル。それにスパイスで「tébél」なるものが大半のレシピに書かれていた。tébélとはチュニジア語でコリアンダーを意味し、さらに、伝統的なチュニジアのミックススパイスのことも指すそうだ。成分は、コリアンダーを中心にキャラウェイ、ニンニク、唐辛子の四つ。

私はこのシャクシューカを、朝ごはんに食べたかった。
なのでニンニクは無しで、キャラウェイはシードしか家に無いから今回は割愛することにして、唐辛子は適量、コリアンダーはふんだんに入れてみよう。

だいたい、ピーマンの量に対し、トマトは3倍くらいのようだ。要は、トマトの果汁で煮込めればいいってことだな、と大雑把に考えることにした。ピーマンも、緑・赤・黄と3色混ぜるものもあれば、緑だけ、赤だけのレシピもあった。マルシェでいつも買っている農家さんのスタンドには緑しかなかったので、今回は緑ピーマンで作ってみることに(フランスのピーマンは肉厚で火を通すことでとろけるようになるので、日本だったら赤か黄のパプリカを使うと良いかもしれない)。

予想外だったのは、オーブンで焼いて仕上げるものと思っていたら、フライパンで作るものらしいこと。お店では最後、オーブンに入れた形跡が見て取れたが、家庭ではフライパンだけで作るみたいだ。

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

家でやってみたかったのは、ドリアのように下にお米を敷いたバージョンだ。昨年の夏、玄米にグリーンカルダモンを数粒とバターを加えて炊いたら、暑くても食欲が湧いた。そのごはんと、シャクシューカは合う気がした。

まず玄米2合にグリーンカルダモンを5粒くらいとバターを大さじ1ほど加えて炊く(私はフランスのカマルグ米を使いましたが、日本米でも、バスマティ米でもおいしいです)。その間に、タマネギ1/2個をスライスしてたっぷりのオリーブオイルで炒め、しんなりしてきたら、1cm幅に切ったピーマンを投入。ピーマンが少し透き通ってきたら、角切りにしたトマトも加え、ふたをする。

今回はピーマンが大きかったので、1/2個を使い、トマトは2個半使った。ここまでわりとずっと強火。トマトのジュースがでてきたらスパイスを振り、火を弱める。ふたをしてから18分。ピーマンもとろとろになって、全体にくたっと一体感が出たところでふたを外し、塩コショウで味付け、卵を落として、火が通ったら出来上がり。

ふたをしたところから、オーブンで(オーブントースターで良いと思います)メルゲーズ・ソーセージを同時進行で焼いた。メルゲーズとは、羊肉か牛肉で作る北アフリカのソーセージ。パプリカ、クミン、キャラウェイ、フェンネル、コリアンダーなど数種のスパイスが入り、赤くて軽くスパイシー。食欲を刺激する味だ。

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

さて、ごはんを器に盛り、その上にシャクシューカをのせました。なぜかとても懐かしい味だった。そして気づいた。これは、ナポリタン・スパゲティのごはん版じゃないか! 甘みの強いタマネギを使ったからかもしれない。それに、ごはんに絡んだバターの風味の効果も考えられる。

いずれにしても、考えずに食べられる懐かしいおいしさだった。なーんだ、このくたっとしたピーマン入りトマトソースを作っておけば、速攻でナポリタンもできる! と大発見をした気分になって、1/2個ずつ使って余ったタマネギとピーマンがあったから、お皿を洗っている間に、次回分も煮込んだ。

(川村明子)

室田さんのニンジンサラダ「Omek Houria」とハリッサ

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

Tounsiaでニンジンのおいしさにびっくりした、サラダ Omek Houria。
いやホント、良いニンジンが手に入ったらこのサラダをぜひ作ってほしい。ニンジンってこんなにおいしいの!と驚いてもらえる一皿です。
そしてこの料理に欠かせない唐辛子ペースト・ハリッサも出来れば手作りして欲しいのです。むしろ今回はそっちがメインか、というくらい出来上がりに大興奮でした。

■材料(4人分)
ニンジン 3本(約500g)
ゆで湯用塩 ひとつまみ
ニンニク すりおろし一欠片
レモン汁 小さじ2
コリアンダー 茎までみじん切り4-5本
クミンパウダー 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ2
ハリッサ(レシピ後述。もちろん市販のものでもいいですが、ぜひ挑戦してください) 小さじ1/2~好きなだけ
塩(ハリッサに塩気があるので量は味を見て)

トッピング
オリーブ
ツナ缶 小(オイルにつかったもの。これもちょっと奮発してぜひおいしいのを!)
赤玉ねぎ スライス少々
塩漬けレモン スライス(作り方後述。赤玉ねぎもそうですが、オリジナルのOmek Houriaには無いものなので、これ無しでも、もちろんおいしいです) 少々

■Omek Houriaの作り方

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ニンジンは皮をむき、7ミリ程度の輪切りにする。鍋に入れ、塩ひとつまみと水をひたひたに注ぎ、ふたをして蒸し煮にする。柔らかくなるまで水を足しつつ火を通す。ゆで汁がほぼなくなった状態でニンジンが柔らかくなっているのが理想。最後はふたを開けて水分を飛ばすと良い。この火の通し方だと水に溶け出したニンジンのうまみ、甘みをニンジンがもう一度身にまとい、一段と味が濃くなる。

柔らかくなったニンジンは少し粗めのテクスチュアのピュレ状にするためマッシャーやフォークでつぶす。荒すぎてもニンジンの甘みが堪能できないので丁寧に。

すり下ろしたニンニク、レモン汁、コリアンダー、クミンパウダー、オリーブオイル、ハリッサを入れ味を見て塩を入れる。

皿にニンジンをしいたら崩したツナ、塩漬けレモンスライス、赤玉ねぎスライス、コリアンダー、オリーブを乗せる。
上からさらにオリーブオイルをかけ回しても良い。

■ハリッサの作り方

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

赤唐辛子(粗挽き、乾燥。ミャンマーで買ったスモーキーな香りのする粗挽きのものを今回使いました) 大さじ2
生の唐辛子(タイの小ぶりの物なら2-3本。私はハバネロの生が手に入ったので一個を刻んだもの)
乾燥した唐辛子のひなびた味わいと、生の唐辛子のフレッシュ感両方欲しかったので混ぜました。結果大満足。
ニンニク 一欠片 おろし金でおろしたもの
クミンシード 小さじ1
コリアンダーシード 小さじ1
フェンネルシード 2つまみ
オリーブオイル 大さじ2
塩 小さじ1

スパイスは小さなフライパンなどで炒(い)って香りを出す。
全ての材料をすり鉢に入れゴリゴリとペースト状になるまでよくする。
小さな瓶などに入れて上からコーティングするようにオリーブオイルを大さじ1ほど(分量外)注ぐ。
本来はフェンネルシードではなく、キャラウェイシードを使うのですが、後に炒飯や麺に乗せる気満々なのでアジア飯により合う(と私は思っている)フェンネルシードを。

■塩漬けレモンスライスの作り方

《パリの外国ごはん そのあとで。》チュニジア食堂「Tounsia」のシャクシューカとサラダを再現!

本来この料理には乗ってないものです。一度試作でクラシックにオリーブとツナだけのトッピングで食べた時、ここにシトロンコンフィ(タジンや煮込みに使われるレモンの塩漬け)なんか入れたらおいしそうだなと思ったんですが、漬けて何週間も待てないし買ってくるのも何だし、じゃあスライスした生のレモンを塩とニンニクと即席に漬けてみたらどうだろう、とやって見たらなんとも苦味がさわやかな付け合わせになったわけです。で、赤玉ねぎも乗せたらますます私好みになりました。
レモンが少し余ったら、作ってみてください。素敵な箸休めになりますし、お肉などと煮込んでも。

レモン(無農薬、ノーワックス)四つ割りにし、種を除き皮のまま薄切りにする
ニンニク(レモン1個につき1/2かけら)皮をむき薄切り
塩 レモンの重量の5パーセント

全てをよく混ぜ瓶などに入れて保存。次の日からこなれておいしい。数日の間に食べきる。

このサラダ、パンなどにつけて食べるほかに、実はそば粉でガレットを焼いてちぎりながらつけて食べてもおいしいです。後日ほぼ全ての料理にハリッサをついついのせてしまう私。ハバネロで暴力的に辛い。でもそれがまたうまい。でも次回はもっと辛みの柔らかい唐辛子でたっぷりと作ってみたいと思います。日が経つに連れこなれてうまさもアップする、と聞きましたが、こなれる前に全部食べてしまいそう……。

(室田万央里)

PROFILE

  • 川村明子

    東京生まれ。大学卒業後、1998年よりフランス在住。ル・コルドン・ブルー・パリにて製菓・料理課程を修了後、フランスおよびパリの食にまつわる活動を開始。現在は執筆のほか、パリで活躍する日本人シェフのドキュメンタリー番組『お皿にのっていない時間』を手掛けている。著書に『パリのビストロ手帖』『パリのパン屋さん』(新潮社)、『パリ発 サラダでごはん』(ポプラ社)、昨年末に『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)を出版。
    日々の活動は、Instagram: @mlleakiko、朝ごはんブログ「mes petits-déjeuners」で随時更新中。

  • 室田万央里(イラスト)

    無類の食べ物好きの両親の元、東京に生まれる。
    17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て14年前に渡仏。
    モード界で働いた後に“食べてもらう事の喜び”への興味が押さえきれずケータリング業に転身。
    イベントでのケータリングの他、料理教室、出張料理等をパリで行う。
    野菜中心の家庭料理に妄想気味のアジアンテイストが加わった料理を提供。理想の料理は母の握り飯。未だその味に到達できず。
    Instagram @maorimurota

スープもタコのクスクスも濃厚。太陽のようなチュニジア食堂「Tounsia」

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カリーとトマト煮と小豆とごはんの三位一体。レユニオン島の店「Aux Petits Chandeliers」

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