MUSIC TALK

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

「MUSIC TALK」で何度かインタビューしているハンバート ハンバート。前回の取材で、佐藤良成さん、佐野遊穂さんにとって初の試みとなる「ブルースハープ教室」への意気込みを聞いているうちに、思わず「私もやってみたいなぁ」と呟いてしまった。すると、「一緒にやりましょうよ!」と佐藤さん。え? マジすか? 楽器なんてできないし……とひるんでいたら、佐野さんが満面の笑顔で「大丈夫! 何もできない私でもできるんですから」。
というわけで、潜入体験取材決定! 「ハンバート ハンバートと、ブルースハープを吹こう」の様子を突撃ルポします。(文・中津海麻子)

【動画】ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」ダイジェスト

まずは、豆腐屋のラッパの音から

「こういう教室をするのは初めてなのでドキドキしていますが、よろしくお願いします!」という二人の挨拶で会はスタート。

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

&w編集部主催「ハンバート ハンバートと、ブルースハープを吹こう」(2019年6月19日、東京・築地 浜離宮朝日ホール リハーサル室)

「ブルースハープ」というのは商品名で、正式には「10ホールズ・ハーモニカ」という。その名の通り10の穴があるハーモニカで、どの穴を吹く、吸うと何の音が出るのかを、佐藤さんがプリントを使って解説。それぞれに番号が振られていて、今回は最も基本となる真ん中の4~7番の4つの穴を使う。

「早速、音を出してみませんか? 5番の穴をみんなで一斉に吹いて、それから吸ってみましょう。せーの!」

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佐野さんの掛け声で、5番をフーッ、スゥ~。会場に音が響き渡る。30人が一斉に吹くとちょっと感動的。

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佐藤 合わさるとすごくいい感じに聴こえるね。ところで、なんで5番なの?

佐野 これはね、豆腐屋のラッパの音なんです。

会場から「あ~」「たしかに!」と声が上がる。「じゃあお豆腐屋さんを意識して、もう1回やってみましょう」という佐野さんの言葉に、再度30人でフー、スゥ~。

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佐藤 おー、豆腐屋っぽくなりましたね。間違って隣の穴を吹いちゃっても気にしない。それがポイントです。三つ、四つの穴を一緒に吹くと、なんとハモってる感じに聴こえる。それはそれでいい感じだから。

佐野 そう! そこがこの楽器のいいところなんです。

次は「ドレミファソラシド」に挑戦。

佐藤 4番を吹くとド、吸うとレ、という具合で順番に演奏していきます。ややこしいのが、最後の7番だけ逆で「吸う、吹く」。そこを気をつけてやってみましょう。さん、はい!

ドーレーミーファーソーラーシードー♪

できている人も、アヤしい人も(私は後者です)。一人の参加者が「ハモっちゃいました」と苦笑いすると、佐野さんは「おしゃれなドレミになりましたね」とニッコリ。

ハンバート ハンバート流 ハーモニカの心得

ここで「これさえ守れば音楽になる! ハンバート ハンバート流 ハーモニカの心得」のレクチャーだ。

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ハンバート ハンバート流 ハーモニカの心得。二人で書いた

一、 リズムに合わせて。
二、 間違えても気にしない、止まらない。
三、 最初と最後の音は吹く(吸わない)。

佐藤 音楽は常にリズムがあって進んでいくものなので、それに合わせて吹くこと。たとえ間違っても、止まったりやり直したりしない。聴いている人はどうせ忘れちゃうから、心を乱さず、どんどん演奏していく。それが大切です。

佐野 歌の始まりと終わりは、どの穴でもいいので、吹くこと。吸う音で終わると終わった感じにならないんです。

佐藤 例外的にすごいおしゃれな曲だったりしたら吸って終わってもいいけど、ほとんどの曲は変な感じになっちゃう。

佐野 吹いて終わるとビシッと決まるんです。体操の選手が最後ピタッと着地するみたいにね。

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「体操選手の着地みたいに、吹いてビシっと終えること」と、佐藤さん

佐藤 文章や物語もそうだけど、最初と最後が大事なんだよね。

佐野 短歌の上の句と下の句、みたいなね。

佐藤 うん。ん?……それは違うかもね。

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ハンバート ハンバートのライブでもおなじみの、夫婦漫才的ゆる~いトークに思わず吹き出す。

いざ演奏に挑戦

3か条を頭に叩き込み、いよいよ曲の演奏に挑戦。最初の課題曲は童謡「かえるのうた」。4番と5番のドレミ三つの穴だけで演奏できる。歌詞に合わせて、番号と、吹く・吸うが記された「楽譜」を見ながら、全員で「ドレミファミレド~♪」。佐藤さんがギターを、佐野さんが「かえるのうたが、聞こえてくるよ♪」と歌ってくれるという、ファンにとっては緊張しつつもぜいたくな体験に。

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次は『埴生の宿』。CMで佐野さんが歌ってるあの曲だ! 全員で演奏してみると、ちゃんと曲になっていて感激する。が、 ほぼ基本の4つの穴しか使わないのに、『かえるのうた』に比べると格段に長いため、途中で頭がこんがらがってくる。自分が吹いてるんだか吸ってるんだかわからなくなり、気づけば息継ぎを忘れ酸欠状態に。慌てて演奏を止めてしまうと、どこから始めていいのかわからない。

佐藤 ちょっとぐらい間違っても、気にせず止まらない。遊穂もいつも間違えてるもんね。今も間違えてたし。

佐野 間違えても止まらないというお手本です(笑)。

そうか。間違っても気にしない止まらない。これ、思ってる以上に大切かも。
次に佐野さんがこう声をかけた。
「では、即興演奏に挑戦してみましょう! 思いつくままに吹く即興がブルースハープの醍醐味ですから」

手始めの課題は「毛筆で漢数字の『一』を書くようなイメージで吹く」。まずは佐野さんのお手本。筆を入れて、すーっと引いて、止める。確かに「一」が見えた気がする、なるほどなるほど……と感心していたら、いきなり佐野さんから指名された!

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ちょっと緊張気味な、ライターの中津海麻子さん

「フォェ~~~、フッ!」

おいおい、緊張で音がうわずってるよ(涙)。なのに、「いい『一』ですね」「とめがいいですね!」とお二人にほめてもらい、ちょっといい気分に。なんだか楽しくなってきた!

次は、音に変化をつける練習。

佐野 クトゥクトゥクトゥ、ホヨホヨホヨという感じで吹いてみましょう。穴をいくつか使ってみたり、速さを変えてみたりすることで、音に表情が出てきます。

クトゥクトゥ、ホヨホヨにトライ。実際に「クトゥクトゥ」「ホヨホヨ」と言葉にするつもりで吹くと、ちょっといい感じに。

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

いよいよセッション!

それまでのレッスンを踏まえ、クライマックスはハンバート ハンバートの曲とのセッション! 課題曲は『国語』。まずは佐野さんのお手本。自ら1フレーズを歌ったあとの間奏にブルースハープを演奏する。「かえるのうた」「漢数字の『一』」をアレンジした即興は、はねたり止めたり伸ばしたり。聴いているだけで思わず体が動く。そうか、佐野さんはこんな風に吹いてライブを盛り上げていたんだなぁ。これからライブの楽しみもさらに広がったような。

佐野 皆さんもやってみましょう!

佐藤さんの伴奏のリズムに合わせて全員で挑戦。やっているうちに、歌を歌うように吹くと演奏に動きが出て、その上、めちゃくちゃ楽しいことに気づく。リズムに乗って演奏するのって、すごく気持ちいい!

佐藤 じゃあ、一人ずつやってみましょうか。

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

佐野さんが一人ひとりに声をかけていく

最前列の人から順番に、即興演奏スタート。一番手の人がいきなりすごく上手で、会場から拍手が起きる。「いいですね、はい次の方!」と佐野さんが声をかけ、次々とセッション。短い音でリズムを刻む人、たくさんの穴を使う人、強弱をつける人……。それぞれに個性あふれる演奏に、自然と体がのってくる。

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

さぁ、私の番だ。緊張もほぐれ、心の中で『国語』の歌詞「みんなが普通に使っている そのコトバの意味がわからない♪」を歌うような気持ちでフゥフゥ~~~スースッスッ! うん、なんだかハンバート ハンバート ハンバートになった気分(は図々しいか)。

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

さあ、みんなで一緒に!

楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

佐藤 おうちでCDをかけながら間奏にブルースハープをやってみる、なんていう風に楽しむのもいいよね。

佐野 6月に発売した新しいCD『WORK』に収録されている新曲の『小さな声』も、今回のキーのブルースハープで演奏できます。ぜひ挑戦していただきたいですね。
佐藤 すごくいいタイミングですね。
佐野 ですね(笑)。今日は皆さんに会えてうれしかったです!
佐藤・佐野 ありがとう!

相変わらずの二人のほっこり挨拶に会場からは笑いと大きな拍手が。音楽を通じ、参加者全員とハンバート ハンバートの二人がひとつになったような、そんな一体感を体験できた2時間だった。ああ、音楽って素晴らしい! 聴くのももちろん好きだけど、自分でやってみるとまた違う風景が見えてくる。

みんなでセッション! ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」

参加者からも「楽しかった!」という感想が続々寄せられた。
「今ごろハーモニカの楽しさがわかるなんて思ってもいなかった。ありがとう!」
「生の伴奏で吹けるなんて、すごくリッチな体験でした」
「大好きなハンバート ハンバートと同じ時間が共有できて夢のような時間でした」
「家に帰ったら3歳の双子の娘にも吹かせて楽しもうと思います」
「もうすぐ生まれてくる赤ちゃんに、最高の胎教になりました」
せっかく知った音楽の楽しさ、続けていけたらいいな。カラオケに行くときバッグにブルースハープを忍ばせ、間奏でいきなり吹いてみんなを驚かせてみようか……などと妄想し、一人ニンマリしています。
(写真・山田秀隆、動画・山本哲也)

【動画】ハンバート ハンバートの「ブルースハープ教室」(Long ver.)

PROFILE

中津海麻子

執筆テーマは「酒とワンコと男と女」。日本酒とワイン、それらにまつわる旅や食、ペット、人物インタビューなどを中心に取材する。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、ワイン専門誌「ワイン王国」、朝日新聞のブックサイト「好書好日」、同ペットサイト「sippo」などに寄稿。「&w」では「MUSIC TALK」を連載中。

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