高山都の日々、うつわ。

#2 雨の日の花しごと。

  
#2 雨の日の花しごと。

しとしとと雨が降り続く休日。
どんよりした気分で目覚めてリビングに座ると、
色とりどりの花たちが迎えてくれる。
そんなときは、ああ、花があってよかったなと思う。

#2 雨の日の花しごと。
#2 雨の日の花しごと。

部屋に花を飾るようになったのは、いつからだろう。
5年ほど前、都心のワンルームマンションに暮らしていたときは
花を飾る生活なんて想像すらできなかった。
30代に入って、モデルの仕事も少し内容が変わってきた頃。
正直、そこまで忙しいというわけじゃなかった。

人は忙しいときより、それが緩やかになったときの方が気が急(せ)く。
それは「焦り」と言い換えることもできると思う。
当時の私も、自由にできる時間が増えるほど、心の余裕を失っていたと思う。

#2 雨の日の花しごと。
#2 雨の日の花しごと。

気分転換も兼ねて、駅から少し離れた古いマンションに引っ越しをした。
以前よりずっと広くて、何だか殺風景。
それで花を飾ってみようと思いついたのだった。

近所の店で買った花を、家にあった空き瓶に生けてみる。
これが意外と難しくて、彩りもバランスもしっくりこない。
人生初の花瓶を買って、生けては離れて観察し、またやり直し。
その作業が楽しくなってきて、上手に生けられたときはすごくうれしかった。

花屋に通うようになると、いつもそわそわしていた気分が落ち着いた。
春には春の花が、夏には夏の花が。当たり前だけれど、
東京の花屋にもきちんと季節が流れていた。
猛スピードで流れていく自分の中の時間と、ゆったり移ろう季節という時間。
花のある生活は、自分の外に流れるもうひとつの時間を感じさせてくれた。

長雨の季節。
どんよりした空の下にも、薄紫色の紫陽花が大きな花を開いている。
どんな季節にも美しさは存在する。
そう思うと、雨の日々も悪くはないなと思えてくる。

#2 雨の日の花しごと。

今日のうつわ

デンマークのリュンビュー ポーセリン社のもの
誕生日に友人が贈ってくれたまん丸いフラワーベース。甘すぎないラベンダー色で、同系色の花を生けるとシックな印象に。丸型の花瓶は生けるのが難しいかなと思っていましたが、実際は束ねた花をラフに生けてもさまになり、存在感も出て、初心者さんにもおすすめです。

(次回は8月7日公開予定です)

    ◇

写真 相馬ミナ 構成 小林百合子

PROFILE

高山都

モデル 1982年、大阪府生まれ。モデルやドラマ、舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広い分野で活躍。フルマラソンを3時間台で完走するなどアクティブな一面も。最近は料理の分野でも注目を集め、2作目となる著書『高山都の美 食 姿2』では、背伸びせずに作る家ごはんレシピを提案。その自然体なライフスタイルが同世代の女性の共感を呼んでいる。

「高山都の日々、うつわ。」

丁寧に自分らしく過ごすのが好きだというモデル・女優の高山都さん。日々のうつわ選びを通して、自分の心地良いと思う暮らし方、日々の忙しさの中で、心豊かに生きるための工夫や発見など、高山さんの何気ない日常を紡ぐ連載コラム。

バックナンバー

#1 青いプレートとジャムトースト。
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#3 夏の麺と沖縄のガラス。

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