Woman’s Talk

「できることは全部やり切った! と言える自分でいたい」 永作博美 さん(女優)

「できることは全部やり切った! と言える自分でいたい」 永作博美 さん(女優)

(撮影:宮本直孝/スタイリスト:鈴木えりこ/ヘアメイク:光倉カオル(dynamic)/取材・文:宮本恵理子)

近代古典演劇の名作『人形の家』の〝続編〟『人形の家 PART2』が、全国7都市で上演される。主役のノラを演じる永作博美さんは、「Woman’s Talk」に6年ぶり2度目の登場。「常に〝今〟をめいっぱい生きたい」という永作さんに10の質問。

Q1 『人形の家 PART2』の見所は?

ノルウェーの劇作家、イプセンが『人形の家』を書いたのは140年前。女性の社会的役割は「家」と強要された時代に、ヒロインのノラが自由を求め、家族を残して家を出るラストシーンは、当時は「衝撃作」と言われたそうです。永遠に余韻を残すと思っていた名作の“続編”が書かれたと聞いて、まず驚きました。それも「家を出たノラが15年ぶりに帰ってきた」という設定!脚本を読んでみると、ノラが夫や娘と交わす言葉には、気持ちをぶつけ合う爽快感が感じられて演じるのが楽しみになりました。Part2は現代的な感覚で描かれているので、自然に入り込めると思います。

Q2 演じる役、ノラの魅力は?

自由で無垢なところ。その純粋さが、夫も可愛くて仕方なかったと思います。ただ、そこに確かな意思疎通があったのかというとそれは別で、ノラはおとなしい人形としての生き方を投げ出したくなったんでしょうね。今回の舞台は人物を替えながらの二人芝居で展開されて、私は100分くらい出っぱなしになるかも(笑)。かなりタフな役に挑むことになります。

Q3 3年ぶりとなる舞台。やりがいは?

毎日同じように演じているつもりでも、まったく同じにはならない。そのライブ感が面白いですね。繰り返すことで解釈が深まるのか、稽古ですべてを完全消化しているつもりでも、公演中にストンと腑に落ちることもあって。外から見て気づかれるほどの変化はなくても、私の中で変化を日々感じられるのも面白い。

Q4 タフな演技を支える生活習慣は?

今は仕事のほか、2人の子育てで大忙し。体力づくりのために特別な習慣を取り入れる時間はないので、できることは「ちゃんと食べる」「ちゃんと寝る」くらい。あまりゆっくり座る時間がない生活が、体力キープにつながっているのかも(笑)。

ストレスを感じた時におすすめなのは「書き出すこと」。モヤモヤを溜めて人に当たっちゃうと、余計にストレスを感じるから早めに発散するのが大事。いつでもどこでもできる気軽さもいいんです。ノラももっとこまめに書いていたら、家を飛び出さずに済んだんじゃない? なんて思いますね(笑)。

Q5 自分の性格を一言で表すと?

「切り替えが早い」タイプだと思います。過去は過去として終わったことは引きずらないで、目の前のことに集中して進みます。出し惜しみせずに「できることは全部やり切った!」と自分の中を空っぽにすると、新鮮な空気をめいっぱい吸えて、前進するエネルギーが満たされます。

Q6 1週間お休みがとれたら何がしたい?

片っ端から掃除をするでしょうね。掃除は、頭のリセットにもなるから好きです。時間がある時は、旬の食材を買い込んで“作り置き料理”をするのも楽しみの一つ。最近は、じゃこ山椒をたくさん作りました。食べたい時にパッと出して食べられるおかずが冷蔵庫にあれば安心ですよね。今はなかなか1週間のお休みを取るのは難しいけれど、「食べたいものを作れた」「大の字に背伸びしてぐっすり眠れた」という瞬間を持てるだけで満足。日常の中に小さな幸せを見つけられるほうが、毎日が豊かになる気がします。

Q7 バッグの中身の定番は?

手帳とペンかな。買い物リストから演技の疑問点まで、思いついたことを忘れずに書き留められるように。6年前に「Woman’sTalk」で同じ質問を受けた時には「子どものオモチャが入っています」と答えたみたい(笑)。時が経てば、ライフスタイルって変わるんですね。面白いな。

Q8 永作さんはどんなママ?

最近はよく“ダメ出し”されています(笑)。「ダメだなぁ、すぐ忘れるんだから。(アニメの妖怪キャラの)“わすれん帽”が入っているんじゃないの?」なんて。

Q9 10代の頃の自分にアドバイスするとしたら。

「そのままでいいと思うよ」と伝えます。その時に必要な経験として、その場に立っていると思うから。

Q10 10年後の自分へ約束したいことは?

楽しんで生きててくれたらいいですね。「こういう女性になりたい」という具体的なイメージは描いていません。自分自身で考えることを諦めず、日々動ける自分でありたいと思います。

ながさく・ひろみ

 
1970年茨城県生まれ。88年、アイドルグループ「ribbon」メンバーとしてデビュー。「劇団☆新感線」を経て、94年に『陽のあたる場所』でドラマ初出演。日本アカデミー賞最優秀助演女優賞(2011年『八日目の蝉』)など受賞歴多数。09年に結婚し、9歳と6歳の2児の母。8月9日より、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで主演舞台『人形の家PART2』上演予定(以後、北九州、富山など全国6都市で巡演)。

インタビュー後記

6年前に登場した紙面をご覧になって、「この頃は下の子を産んだばかりで」と懐かしそうに振り返る表情は母の顔。カメラの前で微笑む横顔は、ふわりと、ピュア。エイジレスな空気感をまとったまま、女優として確固たる信頼と、成熟した精神を手にした女性。不思議なギャップを内包した、新しいオトナの姿がここにある。

■この記事は、2019年7月9日付朝日新聞朝刊「ボンマルシェ」特集のコーナーの転載です。

「愛情を注ぐあてがあることは、すごく幸せなこと」瀬尾まいこさん(作家)

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