料理家・冷水希三子の何食べたい?

リッチなソースでよそゆきに。カジキのレモンバターソース

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回はメカジキを使った洋風のソテーをご紹介します。

    ◇

―― 冷水先生、こんにちは。この連載も25回をすぎて、私も少しずつお料理に慣れてきたような気がします。自炊する機会もぐっと増えました。

冷水 まあ、それはうれしい! 料理は繰り返しが大切ですから、日々の食事を自分で作るのは一番の練習になるんですよ。

―― でも、いつもひとりで作ってひとりで食べているので、そろそろ友人に料理を振る舞ってみたいな〜なんて大それたことを考えているのですが……。

冷水 いいじゃないですか! 

―― そこで今回は私からのリクエストで恐縮なのですが、あまり張り切った感じにならないお料理というか(笑)、日頃からなじみのある食材を使いつつも、少しお客様用にアレンジできるようなお料理があれば教えていただきたいなと。

リッチなソースでよそゆきに。カジキのレモンバターソース

肉厚のカジキはシンプルなソテーでいただくのが一番。塩を振ってしばらく置き、下味をつけます。水分が出るので、拭き取ってから調理しましょう

冷水 なるほど、わかりました。じゃあ、旬のカジキを使ったお魚料理はどうですか? 白ワインが大好きでしたよね。ぴったりのメニューだと思いますよ(笑)。

―― カジキ! 大好きです~。普段からよく使うお魚ですが、いつもは普通に焼いて、しょうゆとバターを絡めるくらいです。

冷水 それもおいしそうですね。じゃあ今日は少しだけよそゆきにソテーを作りましょう。見た目にも奇麗で、おもてなしにもぴったりですよ。

―― ぜひ、お願いします!

冷水 じゃあまずカジキを焼いていきましょう。ここまでは普段やっているのと同じ工程だと思います。塩をふってしばらく置いて、薄く強力粉をはたきます。

―― はい、ここまではいつもやっているので余裕です! ただ、いつも焼き過ぎてパサパサになってしまうんですよね(涙)。

リッチなソースでよそゆきに。カジキのレモンバターソース

塩気のあるケーパーは味のアクセントに欠かせません。大人っぽい風味に仕上がります

冷水 カジキは焼くとどうしてもパサついてしまいがちなのでね。両面に焼き色がついたら大丈夫なので、目を離さず取り出すタイミングを見極めてくださいね。さて、カジキが焼けたら、ここからが肝心のソース作りです。

―― ソース作りと聞いただけで肩に力が入ってしまうのは私だけでしょうか? なんだか難易度がぐっと上がったような気がします……。

冷水 いえいえ、大丈夫ですよ。ソース作りは手順とタイミングさえ間違えなければ絶対においしく作れますから。

―― メモの用意はバッチリです!

冷水 じゃあ先ほどのフライパンを奇麗にして、オリーブオイルで玉ねぎのみじん切りを炒めていきます。玉ねぎが透明になってきたらケーパーを加えてまた炒めます。

―― 1に玉ねぎ、2にケーパー……

リッチなソースでよそゆきに。カジキのレモンバターソース

レモン汁を絞るときはフォークを果肉に刺してぎゅっと絞ります。種が入ったら取り除いてくださいね

冷水 続いて白ワインを注いで、水分量が半分くらいになるまで煮詰めていきましょう。

―― しばし待ちます。一気に作ろうとするからダメなんですね。焦りは禁物、と。

冷水 次にレモン汁とトマトを加えて少し火を入れます。次にバターを加えるので、冷蔵庫から取り出してもらえますか?

―― あら、いつも調理前にすべての材料を手元にそろえている冷水先生ですが、出し忘れですか(笑)?

冷水 いえいえ、今回ばかりはバターは登場寸前まで冷蔵庫でスタンバイしてもらっていたんです。これはソース作りにおける意外と重要なポイントで、バターが常温だとフライパンに入れた瞬間にすぐ溶けてしまって、うまく乳化できないんです。

―― にゅ、乳化……ですか?

リッチなソースでよそゆきに。カジキのレモンバターソース

バターを入れたらヘラで素早くかき混ぜて乳化させます。ソースにとろみがついたら完成です

冷水 例えばペペロンチーノを作るとき、フライパンにパスタとゆで汁を加えてよく混ぜますよね。これはフライパンにある油分と水分を混ぜて乳化させているんです。ここがうまくいかないと、シャバシャバのペペロンチーノになってしまいますよね?

―― まさにワタクシが作るペペロンチーノがそれでございます(泣)。

冷水 今回もフライパンにある水分とバターの油分を乳化させて、とろりとしたソースを作りたいので、バターが一瞬で溶けてしまうと、手で混ぜる速さが追いつかず、うまく乳化できないんです。

―― なるほど~。まさに化学ですね!

冷水 お料理の手順にはすべて理由があるんです。なのでそこをしっかりと押さえておけば失敗は少なくなるんですよ。

―― 本当だ、バターを加えて混ぜ混ぜするとだんだんソースがトロッとしてきました。魔法みたいです。

冷水 さあ、ソースができたらカジキにたっぷりかけていただきましょう。

―― わ~ん、トマトの赤とケーパー、イタリアンパセリの緑がカジキの白に映えて、とっても奇麗です。

冷水 いつものソテーがよそゆきになったでしょう?

―― 深いバターにレモンの爽やかさが加わって、淡泊なカジキがすごくリッチな風味に仕上がっています! お店で食べるお魚料理みたいです。

冷水 ぜひお友達に振る舞ってみてください。また感想を聞かせてくださいね。

今日のレシピ

カジキのソテー レモンバターソース

■材料(2人分)

カジキ:2枚 
強力粉:適量
EXV(エキストラバージン)オリーブオイル:大さじ2 
玉ねぎみじん切り:大さじ2 
ケーパー:10g
トマト角切り(5mm大):大さじ2
白ワイン:50ml 
イタリアンパセリみじん切り:3本分          
レモン汁:小さじ2 
バター:15g
塩:適量

作り方

 カジキに塩を振って15分ほどおく。バターは小さく切って冷蔵庫で冷やしておく。
 のカジキの水分をふき、強力粉を薄くはたく。フライパンにEXVオリーブオイル大さじ1と1/2を入れて、中火で両面を焼いて取り出す。
 のフライパンをきれいにし、EXVオリーブオイル大さじ1/2を入れ、玉ねぎを炒める。続いてケーパーを加え炒め、白ワインを注いで半量になるまで煮詰める。レモン汁とトマトを加えて少し火を入れたら、バターを加え混ぜ、イタリアンパセリのみじん切りを加える。
 皿にカジキを盛り、のソースをかけて好みの野菜を盛る。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)


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PROFILE

リッチなソースでよそゆきに。カジキのレモンバターソース

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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