パリの外国ごはん

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

室田さんのサバのサモサ

パリ在住のフードライター・川村明子さんと、料理人の室田万央里さんが気になるレストランを食べ歩く連載「パリの外国ごはん」。訪れたお店の「あの一品」を事前の打ち合わせなしで再現する「パリの外国ごはん そのあとで。」! 第6回は、前回のレユニオン島料理「オ・プティ・シャンドリエ」 の”カリ”=トマト煮込みと、サバのサモサを、それぞれ2人でアレンジしたお話です。暑ければ暑いほど、はまりそうな予感が……!

フレッシュなターメリックがポイント。川村さんのトマトカレー

7月の終わり、パリでは記録的な猛暑となった。ほんの数日だったがその最中に、私はAux Petits Chandeliersを再訪した。ランチに出かけ、帰ってきただけで胸元から背中にかけ一面にあせもができてしまったほどの暑さだったのだが、レユニオン島の料理は、扇風機しかない店内で、驚くほどするすると食べられた。

それからは30度前後の気持ちの良い夏日に落ち着いたのだが、日本人の私たちには“カレー”とはあまり思えなかった、どちらかというとスパイス入りのトマト煮込みといった体の、cariと名付けられた料理を何度も思い出した。あれは、暑くても食べられる。

店主におおまかな作り方を聞いていたから、作ることにした。タコが具のcariをお店では食べたけれど、家ではエビで試すことにする。すでにほとんどの店がバカンスで閉めている時期に、タコを売っている魚屋がそう簡単に見つかるとは思えなかったし、だいたいフランスでは、茹(ゆ)でダコが売っていない。だから、たとえ見つかっても、塩でもんで洗って茹でるところから用意する必要がある。その作業はもう少し涼しくなってからでよいだろう。

レシピを聞いて、これが要だな、と思ったのはフレッシュなターメリックを加えることだった。インド食品店で売られているから、買いに行った。売っているのは知っていたものの買うのは初めてだ。そう、料理に使うのも初めてである。

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

左がショウガで右がターメリック

店主は干してから砕く、と言っていた。そして、最後の最後に加える、とも。干す前に、フレッシュな状態で使ってみたかった私は、その工程を割愛することにした。最後に加えて食べやすいように、と考えたら、おろすのが良いかもしれない。

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ターメリックを剥いたらこんな色

そう思い、まず皮を剥(む)くと、身は橙(だいだい)色をしていた。あらぁきれい~と思いながら剥き終えて、ターメリックをまな板に置いたところで、自分の指先が見事に染まっていることに気づいた。

大きめの玉ねぎをひとつ、薄くスライスし、ショウガは25g分をかなり細かいみじん切りにした。厚手の鍋にオイルをたっぷりめに引き、まずショウガを投入。香りが出てきたら、玉ねぎを加え透明になるまで炒める。

その間に、エビの殻をむきオーブンでカラカラになるまで焼く。それで出汁(だし)をとるのだ。グリーンカレーを作るときにもこうすると、風味が出るのでいつも用意する。レユニオン島風カレーにも加えることにした。

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

緑色のレンズ豆

同時進行でレンズ豆を茹でる。店では小豆が添えられていたけれど、うちは小豆を常備していないので、代わりにレンズ豆を。レンズ豆なら水に浸けて戻さなくても茹でればOKだ。これはローリエを加えて塩茹でする。

玉ねぎが透明になったら、トマトを加える。店主は、湯むきしてから手で潰すようにして入れるそうだが、熟れに熟れたトマトで、湯むきができる状態ではなかったので、さっと洗ってそのまま鍋の上で手でつぶしながら加えた。中位の大きさのもの三つでは少し足りなそうだったから、最終的に四つ入れた。

エビ出汁は取れたら殻を取り除き、レンズ豆も火が通ったら湯を切っておく。
最後にターメリックと一緒に投入するスパイスはクミン。ターメリックとクミン。まさにカレーである。私が、クミンでいつも使うのはシード。それを細かく刻むことにした。刻んだだけで、ぷわーんと香りが立ち、食欲を刺激する。

トマトから汁が出て全体がくたっとしたら、目分量でエビ出汁を加えて少し煮込む。
その間にエビを焼く。フライパンにたっぷりのオイルをひき、焼き色がついたら取り出す。そのまま今度はクミンを炒めた。油と合わさりさらに香りよくなったクミンとターメリックを鍋に加え、味を見る。塩と、ちょうど少しだけ残っているコリアンダーパウダーがあったので、それで味を調え、最後にエビを入れて、全体がなじむ程度に煮込んで出来上がり。
スパイスを加えたタイミングで、レンズ豆にもエビ出汁を少し加えて温めた。

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

ごはんは、前回の「そのあとで。」でも登場した、カルダモン入り玄米ごはん。我が家には炊飯器がなくお鍋で炊くので、カレーを用意し始める時に炊き始めて、出来上がりのタイミングで蒸らしも終わりちょうどよかった。

さて、肝心のお味は……。ショウガでこんなにも辛味が出るのだ、ということに驚いた。乳製品を加えているわけではないのにピリッとしながらも柔らかい味で、すごく食べやすい。具は、エビでも、他の魚介でも、鶏肉でもなんでもアリだろう。それに、レンズ豆も相性がよかった。きっとゆで卵も合うだろうし、夏の間にこの料理は活躍しそうだ。

(川村明子)

レユニオン島のサバのサモサ 室田さん流レシピ

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

サモサは自分の中で食べたくなったら居ても立っても居られなくなる食べ物12位くらいです。まあまあ順位低め。でも食べたい欲が満たされると、ああやっぱいいなーサモサってしみじみ思う。

でもですよ、なかなか揚げ物だし中身だって炒めたりなんだり自分で作るにはめんどくさいしじゃあレストランで食べるとなったらサモサはどうしても前菜枠で、10個も20個も食べるわけにはいかないじゃないですか。他に食べたいもんあるし。

Aux Petits Chandeliers で食べた牛肉のサモサもうまかった。実においしかった。
なんだろうあの香り。

で、レユニオン島のサモサを調べてみると。いわく、中身は肉でも魚でもいいらしい。いわく、本来は北インドからやってきた料理なのでバッチリスパイスを効かせるのが本当。いわく、そのスパイスにターメリックとショウガは欠かせない。これだ、あの香り。
いわく、コリアンダーなどフレッシュなハーブも入れる。
ではではわたしも作ってみようではないですか。簡単で大好きなあの素材、そう、サバの水煮缶で。

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

■サバのサモサ(小さいもの18個分)
1人で4-5個パクパクいけます。
サモサ欲を満たすためになんだったら一皿に積み上げて1人で全部食べたって良い。

■材料
サバ水煮缶 水気を切って200g位
コリアンダー 4-5本 茎までみじん切り+食べる時に添える用 好きなだけ
ミント 4-5本 茎までみじん切り+食べる時に添える用好きなだけ

A :
ショウガ 約3センチ分をすりおろす
ターメリック(パウダー)小さじ1
クミン(ホール)小さじ1
シナモン(パウダー)小さじ1/2
青トウガラシ(生)好きなだけ *私は1本種を抜いて入れました
わけぎ 3本みじん切り
ピーナツオイル、ヒマワリ油など植物油 大さじ2

塩 小さじ1/2
コショウ
春巻きの皮 中くらいのサイズ(25cmx25cm) 6枚
小麦粉 大さじ2
ライム又はレモン

シナモン塩
シナモン(パウダー)小さじ1
塩 小さじ1/2

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

■作り方
1. 小さめのフライパンに油大さじ2を入れて中弱火にかける。油が熱くなる前にAを入れ、香りを引き出すように温める。スパイスとショウガの良い香りがしてきたら、ネギみじん切りを加えしんなりするまで炒める。

2. ボウルに水気を切ったサバの水煮缶をフォークなどでよくほぐしておく。

3. そこに1を投入。よく混ぜたらコリアンダー、ミントのみじん切り、塩二つまみ、コショウをひいて加え、混ぜる。

4. 春巻きの皮を3等分(大きければ4等分)にする。

5. 小麦粉を水(分量外)で、ヨーグルトくらいの硬さにとき、糊とする。

《パリの外国ごはん そのあとで。》猛暑だから! レユニオン島のトマトカレーとサバのサモサ

6. 切った春巻きの皮をまな板などに乗せて、手前にこんもりと具を乗せて三角形に包んで行く。YouTubeで見つけたレユニオン島のおじさんはここで皮の包み終わりの部分にフォークで小麦粉の糊をつけていて、そのアバウトなやり方に憧れて私もやってみましたが、断念。指でくっつけたいところにビシッと均等に塗りたくなる日本人のDNA。

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7. フライパンに高さ2センチほどの油を入れ何度かひっくり返しながら170度くらいの温度でキツネ色になるまで揚げる。サバには火が通っているので時間はそうかからない。はしでサモサをつまみジュワジュワとサモサの中身が振動していたら中まで熱い証拠。

8. 油を切ったら間髪を容れずビールの栓を開け(個人的意見です)、熱々にライムを絞り、シナモン塩をパラパラ振りながら添えたハーブを千切りサモサを挟むように食べる。

(室田万央里)

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PROFILE

  • 川村明子

    東京生まれ。大学卒業後、1998年よりフランス在住。ル・コルドン・ブルー・パリにて製菓・料理課程を修了後、フランスおよびパリの食にまつわる活動を開始。現在は執筆のほか、パリで活躍する日本人シェフのドキュメンタリー番組『お皿にのっていない時間』を手掛けている。著書に『パリのビストロ手帖』『パリのパン屋さん』(新潮社)、『パリ発 サラダでごはん』(ポプラ社)、昨年末に『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)を出版。
    日々の活動は、Instagram: @mlleakiko、朝ごはんブログ「mes petits-déjeuners」で随時更新中。

    https://www.instagram.com/mlleakiko/
    http://mespetitsdejeuners.blogspot.com/

  • 室田万央里(イラスト)

    無類の食べ物好きの両親の元、東京に生まれる。
    17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て14年前に渡仏。
    モード界で働いた後に“食べてもらう事の喜び”への興味が押さえきれずケータリング業に転身。
    イベントでのケータリングの他、料理教室、出張料理等をパリで行う。
    野菜中心の家庭料理に妄想気味のアジアンテイストが加わった料理を提供。理想の料理は母の握り飯。未だその味に到達できず。
    Instagram @maorimurota

カリーとトマト煮と小豆とごはんの三位一体。レユニオン島の店「Aux Petits Chandeliers」

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