花のない花屋

そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘

〈依頼人プロフィール〉
小林有紀さん 38歳 女性
東京都在住
会社員

    ◇

私には小学校1年生になった娘と、3歳の息子がいます。娘は生まれつき胃腸がつながっていない状態で生まれ、生後3日で手術を受けました。幸い予後は良好で、夫婦ともにフルタイムで働いていることもあり、7カ月から保育園に通わせていました。

私の仕事が忙しいこともあり、お迎えはたいていクラスの最後。午後8時ごろに着くと、1人でぽつんと残っていることが多々ありました。そんな状況にありながらも、先生からは「とても優しい子ですよ」と言ってもらえる人に成長してくれました。

そんな娘の存在にいつも私は救われています。今から3カ月くらい前、夫と大げんかをしたときもそうでした。夫が子どもたちとテレビばかりを見ていて勉強をさせないため、私の怒りが爆発。「もうテレビは捨てる!」と怒鳴ると、テレビが大好きな夫も怒りだし、殴り合いのケンカをしてしまいました。そんな派手なケンカは初めてでした。

そして、私が「実家に帰る!」と深夜に1人で荷物をまとめていると、娘が泣きながら「一緒についていく」と言ってきました。黙って私の手を握りしめた小さな手の感触は、今でも忘れられません。その日の夜はぴったりと私にくっついて、一緒に眠ってくれました。

その数日後、ふだんはあまり話さない彼女が「ああいうケンカは二度とやらないでね」とぽつり……。彼女のその一言を聞いて、あの小さな身体でどれだけ日々葛藤を抱え、困難を乗り越え、忙しい私に精いっぱい気を使ってくれていたのだろう……と思い知りました。

思えば、仕事でつらいことがあって台所の片隅で泣いていたとき、彼女は何も言わず、何も聞かず、そっと抱きしめて見守っていてくれたこともありました。

まだまだ小さな6歳の女の子ですが、母親である私をすべて受け止め、見守ってくれる彼女の存在が、どれほど私の救いになっているかわかりません。

そこで、日頃の感謝をこめて娘に花束を贈りたいです。「いつもママの味方でいてくれてありがとう! 大好きです」という気持ちを込めて。

娘はきれいなものが大好きで、ディズニーのプリンセスの中では「アラジン」に出てくるジャスミンに憧れています。パステルカラーのかわいらしい、6歳の女の子が好きそうなアレンジにしていただけるとうれしいです。

そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘

花束を作った東さんのコメント

今回のテーマは、娘さんがお好きだというディズニーアニメ、アラジンに出てくるプリンセスの「ジャスミン」です。

ジャスミンの色合いを意識してまとめたので、淡いピンクやオレンジ、パープル、ブルーの小花をたくさん使っています。主な花材はバラ、ジニア、カラマツソウ、サンダーソニア、ブルースター、レースフラワー、カーネーション、エキナセアなど。

珍しいのはグロリオサの色でしょう。ふつうは真っ赤なものが多いのですが、今回はピンクのものを見つけました。また、ヒペリカムの実も一般的には赤や緑が多いのですが、きれいなピンク色の実があったので加えています。

こういった色とりどりの小花の裏に、背景のようにあるのが美しいグラデーションのアジサイ。まるで魔法にかけられたような色合いですよね。

いろいろな形、色の花がつまっているので、近づいて見るとまた新しい発見もあるはず。ぜひ親子で楽しんでください。
そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘

そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘

そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘

そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘
(写真・椎木俊介/ライター・宇佐美里圭)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

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「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

そっと握った小さな手。私を受け止め、救ってくれる6歳の娘

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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PROFILE

椎木 俊介(写真)

ボタニカル・フォトグラファー

2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。

色とりどりの物語 「花のない花屋」まとめ読み

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