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ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

夏の甘味というと、無性に食べたくなるのが冷た~いアイスにかき氷。コンビニやスーパーマーケットでいつでも楽しめる身近なアイスもいいけれど、夏にしか味わえないこだわりの涼のスイーツを存分に堪能したい。そこで、旅先で出合った10年分ものアイスを一冊にまとめあげた本『アイスの旅』の著者、甲斐みのりさんに東京にある行きつけのアイスとかき氷の名店を教えてもらいました。

アイスの味とともに心に残る思い出

東京だけでなく、旅先でも、その土地に根付いたお菓子、パン、ローカルフードを数えきれないほど食べ歩いてきたという文筆家の甲斐さん。そのなかで、アイスはその場でしか食べられない分、地域性やお店の個性がより出るという。

「一年中、アイスは食べられるけれど、夏の暑い中、溶けそうなアイスに向き合って食べるのがいちばんのだいご味。アイスとは、空間や環境を含めて楽しむもの。

また、私にとって、子供の頃の記憶と結びついているだけでなく、大人になってからも仕事を始めたばかりの頃、失敗の連続で落ち込んだ時、ヘトヘトに疲れた時、帰り道にアイスを食べることで、その日のつらい出来事を忘れることができたし、気持ちを切り替えることができました。

そうやってアイスの存在に助けられ、励まされてきました。だから、東京で食べるアイスには、旅先とはまた違う思い出と連動する、自分へのご褒美のような特別なものです」

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

食べて元気をもらえる、誰かを誘ってわざわざ行きたい、少しリッチに大人の味わいを楽しめる、さらに空間の雰囲気もすてき、そんな視点で選ばれた店とそこで楽しめるアイスとかき氷とは?

歴史や文化に思いを馳(は)せていただく老舗の王道かき氷
TORAYA TOKYO

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

東京駅の当時の赤れんがをそのまま残す建築空間としても貴重な場所

「虎屋のカフェでいただく夏季限定かき氷は格別。宇治金時は、抹茶とあんを両方堪能できる上品な大人の味。その上、TORAYA TOKYOは、東京ステーションホテルという由緒ある建築の特別な空間を楽しめるのも魅力の一つ。

かき氷をほおばりながら、小説や映画の中で描かれた光景、かつて文豪が滞在したエピソードを思い起こし、気分に浸る。文化や歴史に繋(つな)がり、さらに世界が広がっていくような場所に、わざわざかき氷を食べに来ること自体がイベントとして成り立つ。帰りにステーションギャラリーをのぞいたり、街歩きをしたり、かき氷をスタートにお出かけできます」

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

「宇治金時」小豆の風味を生かした小倉あんと、和三盆糖で作った抹茶蜜のハーモニー。1296円(税込み)※9月30日まで

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

もう一つのおすすめのメニュー「日向夏と温州みかんの氷」日向夏と温州みかんをブレンドした蜜をかけ、みかんの寒天を添えて。氷の下の白あんもさわやかな味わい。1404円(税込み)※9月30日まで

TORAYA TOKYO

住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京ステーションホテル2階
TEL:03-5220-2345
営業時間:10:00~20:00 無休
https://www.toraya-group.co.jp/

古き良き東京の趣を残す甘味処の“白熊くん”で童心に帰る
梅家

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

白玉の耳に、その時々で違うフルーツで顔が作られ、氷の中にもフルーツや練乳が隠れている。口の部分の缶詰のみかんやてっぺんのさくらんぼにノスタルジーを感じる。「白熊くん」 750円(税込み)

「中野のにぎやかな商店街にひっそりたたずむ、昭和の日本映画に出てきそうな昔ながらの甘味処。夏が来ると無性に梅家の白熊くんが食べたくなります。鹿児島名物の氷なので、旅気分も味わえると同時に、子供の頃に好きだったかき氷のワクワクするような感覚が蘇(よみがえ)る、童心に帰らせてくれる存在。

また、常連のおじいさんやおばあさんが買いもの帰りにふらりと立ち寄るような雰囲気も落ち着きます。こういった街独特の人情や風情を感じさせるお店はどんどん減ってきているので大事にしたい」

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

梅家 うめや

住所:東京都中野区中野5-58-6
TEL:03ー3387ー2390
営業時間:9:30~19:00
不定休

レストランで提供される作りたての本格アイスを身近に味わえる
アトリエうかい

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

コロンビア産・ベネズエラ産のカカオをブレンドした、フルーティーなカカオ感を存分に味わえるショコラアイスは絶品。一緒に添えられた自家製オレンジマーマレードがさらにチョコレートの味を引き立てる。「ショコラアイス」450円(税込み)

「もともとアトリエうかいの焼き菓子が大好きで、本当においしいものを知っている方への特別な手土産に利用していましたが、アイスが食べられるのはトリエ京王調布店だけ。2018年の夏、新登場したと聞きつけ食べに行きました。その価値は十分あるほど、大人も満足のリッチな味を楽しめます。

注文が入ってからパティシエが作り始めるというぜいたくなアイスは、口溶け滑らかできめ細か、素材にも作り方にもこだわった、鉄板料理店うかい亭のデザートとしていただくのと変わらないクオリティー。しかもお手頃な価格でふらっと立ち寄ってさっと食べて帰るという気軽さもいい」

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

大きくカットしたジューシーな生メロンに、ココナツとメロンのソルベ、ホイップとバニラアイスを重ね満足感たっぷりのパフェは、手頃なサイズなので、自分へのご褒美感覚で味わいたい。「メロンパフェ」850円(税込み)

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

アトリエうかい アトリエ京王調布

住所:東京都調布市布田4-4-22 トリエ京王調布 A館1F
TEL:042ー444ー7367
営業時間:10:00~21:00 不定休
https://www.ukai.co.jp/atelier/chofu.html

地元で働く会社員にも愛される、独自レシピの手作りアイス
アイスクリームSOWA

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

毎日食べても飽きない「日替わりソフトクリーム」 290円(税込み)こちらはピスタチオ

「昭和30年の創業以来、アイス専門店として東京のど真ん中で営業し続けている歴史を感じる、東京のアイス需要を支えてきた名店。場所柄、昼時には近所で働く会社員が店先でアイスを食べている光景はのどかで平和に感じます。毎日訪れる方のため、定食屋のようにソフトクリームは日替わり。

店のすぐ近くの自社工場で作っているアイスクリームは、フルーツからゴマといった和の味覚まで、バリエーション豊富で、どれも素材の持つ自然な優しい味わい。ミルクは濃厚だけど、さっぱりしているので飽きがこず、フレーバー違いで何個でもペロリと食べられそう」

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

(左)アイスクリームの季節限定フレーバー「すいか」と「マンゴー」各200円(税込み)、(右)コーヒーアイスクリームとバニラソフトクリームに手作りコーヒーゼリーをたっぷりのせた「モカゼリーサンデー」400円(税込み)

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

アイスクリーム SOWA

住所:東京都港区虎ノ門3-18-20
TEL:03ー3434ー5425
営業時間:10:00~19:00(4~9月)10:00~18:30(10~3月)
定休日:土・日・祝日・年末年始
http://sowaice.jp

一口で、アイスといっても、コンビニで買えるものもあれば、喫茶店でしか食べられないものもある。昔ながらの製法を守りながら作っているものもあれば、流行を反映しつつこだわって作っているものもある。日本の文化に根付いたローカルなアイスには、背景にある物語、空間、時間、人とが一体となって存在する。わざわざ食べに行く理由はそこにある。アイスの数だけ楽しみ方があり、思い出としてどんどん蓄積されていく。

「アイスとは、あの時食べたあの味、場所や人を思い出す装置でもある」

あそこに行くと、あのアイスがある、そんな記憶をもとに、アイスを目指して街へ繰り出してみませんか。

ひんやりアイス&かき氷で涼を楽しむ。大人の甘味のたしなみ方

甲斐みのり
文筆家。旅、散歩、お菓子、手土産、クラシックホテルや建築などをテーマに書籍や雑誌などに執筆。主な著書に『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』『全国かわいいおみやげ』『地元パン手帖』『お菓子の包み紙』などがある。最新刊『アイスの旅』を出版したばかり。http://www.loule.net/

(企画構成・文 佐々木真純 写真 増永彩子)

都心から3時間以内で行ける。自然に涼を求めて、グランピングに出かけよう

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