料理家・冷水希三子の何食べたい?

手軽なのに食卓華やぐ、カツオのてこね寿司

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は今が旬の戻りカツオを使って、おもてなしにもぴったりなてこね寿司(ずし)を教えていただきます。

    ◇

―― 冷水先生、こんにちは。暑さがやわらいで、朝夕には涼やかな風を感じるようになりましたね~。

冷水 秋が始まる予感が漂うこの季節、本当に気持ちがいいですね。

―― 夏の盛りには「暑い、もう夏終われ!」と思うんですけど、秋風を感じると無性に寂しくなっちゃうんですよね。

冷水 ふふふ、季節の移ろいに心が動かされますね(笑)。

―― 食いしん坊な読者さんたちは、すでに「食欲の秋」の予感をひしひしと感じているようで、秋の食材を使ったお料理を教えて欲しい! というリクエストです。

手軽なのに食卓華やぐ、カツオのてこね寿司

寿司酢(すしず)はご飯が熱いうちに混ぜるのがポイント。おひつや木桶(おけ)はご飯の水分をほどよく吸ってくれるので寿司飯づくりにおすすめですが、なければボウルでも大丈夫です。

冷水 そうですね、私も秋の食材が並び始めるとワクワクします。今日は今がおいしいカツオを使ったお料理なんてどうですか?

―― なんと! ちょうど昨日、スーパーで脂ののった生のカツオを見て、「食べたい!」と思っていたところでした。お刺し身で新鮮なものが手に入るのは旬の時期だからこそですもんね。

冷水 カツオはタタキで売られていることが多いですが、旬の時期はお刺し身をサクで売るお店も増えますから、ぜひ生のおいしさを感じてほしいですね。

―― でも、普段はもっぱらお刺し身にしょうゆをつけて食べています。何かアレンジしてみたいと思うんですけど、変に手を加えるとおいしいお刺し身を台無しにしてしまいそうで……。

冷水 あら、弱気ですね(笑)。じゃあ今日は失敗知らずで、さらにひとりでも、おもてなしでもおいしく食べられる、てこね寿司を作りましょう。

手軽なのに食卓華やぐ、カツオのてこね寿司

みじん切りにした薬味は、半分は酢飯に混ぜて、残りは仕上げのトッピングに使います。

―― す、寿司~!? なんだかハードル高そうなんですけど……。

冷水 お寿司といっても「てこね寿司」ですから、寿司飯さえ作れば、あとは混ぜるだけで簡単ですよ。

―― ホッ。っとしたのもつかの間、ワタクシ、寿司飯って作ったことないかもしれません。市販の寿司飯の素を混ぜて作ったことはあるのですが(涙)。

冷水 あら、じゃあ今日はぜひ覚えていってくださいね。手順さえ覚えれば簡単ですよ。それに手作りの方が味を調節できますし、何よりおいしいですから。

―― は、はい! 大人の階段ですね、ドキドキ。

冷水 まずはご飯を炊きましょう。今日はお酒と昆布を加えて炊きますよ。水分量はレシピを参考にしてくださいね。次に新ショウガをみじん切りにしていきます。

手軽なのに食卓華やぐ、カツオのてこね寿司

カツオには塩と砂糖をひとつまみずつ振ってなじませます。砂糖を使うと魚の臭みが抑えられておすすめです。

―― 出た~! 冷水先生の高速みじん切り(笑)。あれ、この新ショウガは何に使うんですか?

冷水 これは寿司酢に混ぜて使うんです。さっぱりした風味になるんですよ。

―― なるほど、ひと手間ですね~。

冷水 ご飯が炊けたら、熱々のうちに寿司酢を混ぜて粗熱をとっておきましょうね。

―― 熱々のうちがポイントですか?

冷水 炊きたての方が調味料が溶けやすくてまんべんなくご飯になじみますし、酢も染み込みやすいんです。それに、熱気で余計な水分と強すぎる酸が飛ぶので、ベタつかずちょうど良くなりますよ!

―― うちわであおぐのはマストじゃないんですね(ホッ)。

冷水 その間に次はカツオの準備です。カツオはお刺し身用がなければカツオのタタキでもおいしいですよ。さて、食べやすい大きさに切ったカツオに塩と砂糖をひとつまみずつ振って、しばらくなじませます。

―― 砂糖ですか!?

手軽なのに食卓華やぐ、カツオのてこね寿司

てこね寿司はもともと漁師さんたちが船上で手早く作っていたという漁師料理。手で混ぜると具材がまんべんなく混ざって、カツオの身も崩れません。

冷水 そう、お砂糖です。砂糖を少し振るとお魚の臭みが取れるんです。

―― へ~、それはメモですね!

冷水 あとはカツオを合わせ調味料に20分ほど漬ければ準備は完了です。

―― 寿司飯もいい感じになってきました!

冷水 カツオに味がなじんだら寿司飯に混ぜます。てこね寿司ですから、ここは手で混ぜましょうね。その方がカツオも崩れず、きれいに仕上がります。

―― あの~、カツオを漬けていたタレが超おいしそうなんですけど、これはもう用無しですか?

冷水 いえいえ、お好みでご飯に混ぜていただいても結構ですよ。あとは食べるときにお好みで加えてもおいしいです。

―― それ、いいですね! 追いダレ。

冷水 さあ、仕上げに薬味をたっぷりのせたら完成です。簡単だったでしょう?

―― うわ~、大きなカツオと、これでもかというほどの薬味がのって、すごく豪華ですね! 大きな鉢に盛って食卓に出すと華やぎますね。

冷水 簡単なものでも、やっぱりお寿司はハレの雰囲気も、テーブルがパッと明るくなるからいいですね。

―― う~ん、脂ののったカツオ、最高です! お刺し身だけだと飽きちゃってたくさんは食べられないんですけど、酢飯と一緒だとすごくさっぱりしているので、いくらでも食べられそうです。

冷水 香味野菜の新ショウガや大葉が味わいを引き立ててくれるので、食が進むと思います。

―― 追いダレをするとまた風味が変わって、これは無限ループですね(笑)。

今日のレシピ

戻りカツオのてこね寿司

■材料(4人分)

カツオの刺し身用(なければタタキ) 300g
大葉 20枚
新ショウガ 1片
ミョウガ 1個
万能ネギ 適量
白ごま 大さじ1
塩 ひとつまみ
砂糖 ひとつまみ


濃い口しょうゆ 大さじ3
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
ショウガ汁 大さじ1/2

米 2合
水 360ml
酒 大さじ1
昆布 5cm角1枚


酢 60ml
砂糖 大さじ1
塩 小さじ1

作り方

 米は研いでザルにあげ、水と酒、昆布を入れて炊く。

 新ショウガはみじん切りにして、混ぜ合わせたに漬ける。

 炊き上がって蒸らし終わったご飯にを混ぜ合わせる。そのまま冷ます。

 一口大に切ったカツオに塩と砂糖をひとつまみずつ混ぜ合わせ、少しおいたら混ぜ合わせたに15~20分漬ける。

 みじん切りにした大葉、小口切りにした万能ネギ、みじん切りのミョウガの半分量と白ごまを粗熱をとったの寿司飯に混ぜ合わせる。

 軽くタレを切ったカツオをに混ぜる。好みの味加減でタレを加えてもよい。

 器に盛り、残りの薬味を散らす。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)


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PROFILE

手軽なのに食卓華やぐ、カツオのてこね寿司

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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