パリの外国ごはん

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

パリ在住のフードライター・川村明子さんと、料理人の室田万央里さんが気になるレストランを旅する連載「パリの外国ごはん」。訪れたお店の「あの一品」を事前の打ち合わせなしで再現する「パリの外国ごはん そのあとで。」! 第7回は、アンティル諸島の店「Corossol(コロッソル)」のあとで、川村さんは「ソーセージのルガイユ」を、室田さんは「トマトライス」と「犬のソース」がかかったベジタリアンプレートを再現。えっ、犬のソースって……?

ソーセージが堂々としている料理が好きだ!

>>「コロッソル」の記事はこちら

前回の外国ごはんでも書いたが、私は、ソーセージが大好きだ。今に始まったことではなく、子供の頃からずっとである。だから、豚肉加工品の専門店が食文化の一端を担っているフランスは、私にとって、それだけでものすごいアドバンテージを持っている。

さらにうれしいのは、ソーセージが主役を張る料理が、郷土料理、伝統料理として存在していることだ。ソーセージのポジションは、日本とフランスではだいぶ違うように思う。フランスではソーセージが堂々としている料理がいくつもある。

その影響がフランス領の島々でも見られるのか、私がCorossolで食べた「ソーセージのルガイユ」のレシピを検索したら、いとも簡単にたくさん出てきた。スモークしたタイプのソーセージを使うのが一般的のようだ。確かにCorossolでも、スモーキーだった。

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

材料はシンプルだ。玉ねぎ、トマト、ニンニク、生姜、ソーセージ。それにターメリックと小さな唐辛子、タイム。前回、レユニオン島料理店に教えてもらったカレーではフレッシュなターメリックが登場したけれど、今回はどのレシピでもパウダーになったものが使われていた。

マルシェでいつも卵やヤギ乳のチーズを買っている農家は、精肉も扱っていて、農場産のソーセージも売っている。たまたまそこで買ったスモークしたソーセージが冷蔵庫にあったので、それを使うことにした。

もしフランスの皮が厚めの燻製ソーセージならば、食べるには、茹でる。検索して見つけたルガイユのレシピでも、最初に茹でるか、茹でずにぶつ切りにして、ソースが出来上がった段階で加えて煮込むかのどちらかだった。けれど、私が買っていたソーセージは焼いた方が美味しそうに思えた。それでまず、焼くことにした。

焼いている間に、玉ねぎをスライスする。店で食べたものも、見つけたどのレシピでもみじん切りだった。でも私は、火が通ってトロンとした玉ねぎが好きなのだ。それでほとんどの場合、スライスにする。トマトは小さい角切りに、生姜は細かいみじん切りにした。ニンニクは、迷った末、みじん切りにはせず、粒のまま叩いて入れるにとどめた。

ソーセージに焼き色が付いたら取り出し、同じフライパンに、ニンニク、生姜、玉ねぎを投入して、しんなりするまで炒める。玉ねぎが透明になってきたら、トマトと唐辛子を加える。タイムがなかったので、代わりにローリエを入れ、蓋をする。

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

トマトから汁が出てソースっぽくなってきたら、ターメリックを小さじ2ほどふりかける。ここで私は、スペイン土産の粉唐辛子っぽいものもかけた。箱にhotとマークされているけれど、そんなに辛くなくて、カイエンヌペッパーか、もしくはシシトウの赤いものがあるなら、そんなものじゃないかと勝手に思っているものだ。

Corossolで食べたルガイユには、ほんのり苦味があった。パプリカが入っているのでは?と思っていたのだが、ネットで見つけたレシピのどこにも、パプリカとは書かれていない。もしかしたら、Corossolのオリジナルレシピには入っていただけかもしれないし、はたまた、パプリカは加えられていないのに私が、何かしらにほのかな苦味を感じただけかもしれない。でもその苦味がおいしかった。だから、その味に似せたい気持ちがあった。
混ぜ合わせてから、1.5cmの厚さに切ったソーセージを加え、また少し煮込む。最後に塩で味を調えて、出来上がり。

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

ごはんを添えるのが定番で、タイ米かバスマティ米とほとんどのレシピにあったけれど、家にあったのはカマルグ産(南仏の米の産地)の長粒米、それも玄米。それを炊いた。ソーセージの燻製香がしっかりしているから、玄米は合う気がした。

予想外に辛く出来上がっていて、驚いた。お店のものよりもだいぶトマトの色が濃い。そしてやはり、パプリカの味が欲しいと思った。今度、パウダーを買ってきてもう一度作ってみよう。あと、意外に、タイムの香りもあるとないでは違いが大きく出るのかもしれない。

欠けていると感じた味はあれど、今回のでも十分に食欲を旺盛にする味だった。トマトソースと玄米はおいしいし、豚肉と玄米も好相性だと私は思う。だから、その三つが合わさったら、おいしいに決まっている。そして、レユニオン島風カレーの時と同じように、すぐにお腹が空いた。生姜の効果だろうか。今回も生姜は割とたっぷり入れた。食べ応えはあるのに、消化がいいなんて、最高である。

(川村明子)

室田さんの「犬のソース」が乗った野菜のカレー煮込み+トマトライス

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

唐突ですが、付け合わせのご飯が好きです。
正確に言うと、米でなくともメインについてくる炭水化物が好きなのです。お子様ランチで言うナポリタン的な。メインの後ろにひっそり隠れてるけどそんな控えめな姿がいじらしくおいしい。

Corossolのベジタリアンプレートでも、ボリュームたっぷりのほうれん草のサモサやプランタンバナナの揚げ物を受け止めていたのは優しい味のトマトライスでした。
キッチンをそっと覗き見るとお米の袋にはジャスミンライスの文字が。へー、タイの香り米を使うんだ、と益々なんだか愛を感じ家でも作ってみようと心に決めたのでした。

■トマトライスの作り方(2-3人分)
玉ネギ 小1個 みじん切り
トマト 小1個 ざく切り
植物油(ヒマワリ油や紅花油など癖がないもの) 大さじ1
トマトピュレ 50ml
三温糖 小さじ一杯
塩 小さじ一杯
ジャスミンライス 200ml 研がずに軽く洗いザルに上げておく
水 200ml

鍋に油を引いて熱し玉ネギを透き通るまで炒める
ざく切りトマトを入れ軽く混ぜたら、トマトピュレ、砂糖、塩、水を入れ、沸騰したら米を入れ、ひと混ぜして蓋をして弱火で15分程炊く。(水分がなくなりパチパチと音がし始めたら火から下ろす)
底からひと混ぜしてふたをして、数分蒸らして出来上がり。

うん、このスルスルと軽くお腹に入っていく感じはタイ米だからこそだったのか。おいしい! ピュレを入れたからか、Corossolのよりも実にトマトトマトしたご飯に。
さて、何と食べよう。今日はこのご飯が主役の自分なりのベジタリアンプレートを作ってみたかったのです。

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

まずはCorossolで他のお客さんが食べていた ≪ Colombo Poulet ≫ いわば鶏のカレー煮込みがとてもおいしそうだったので、鶏の代わりにオクラ、玉葱、生姜をタップリ入れた野菜のカレー煮込みを作ってみました。
この料理用にColomboと言うミックススパイスが売っているのです。味はマイルドなカレー粉と言ったところ。生姜と玉葱をトロリとするまで炒めたら残りの野菜とこれを入れて煮込むだけ。あえてソースはシャビシャビに。

そしてもう一つ添えてみたかったのが、アンティル諸島の料理、特にグリルした鶏や魚に欠かせないというSauce Chien すなわち、犬のソースというなんともインパクトのある名前のソース。
Chienと言う犬のマークのナイフメーカーに因んだらしいこのソース、名前からは想像できないハーブと唐辛子が効いたフレッシュで私好みのソースです。

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

■Sauce Chienの作り方
バーベキューなどにどっさり乗っけて4人分

A
万能ネギ 1本
イタリアンパセリ 2本
ライム 1/2個
赤玉ネギ(小)1/2個
ニンニク 1片

植物油(ヒマワリ油や紅花油など癖がないもの) 大さじ2
唐辛子 好きなだけ(私は甘唐辛子1本と、ハバネロをほんの少し)
塩 小さじ1杯

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

ライム以外の全ての材料Aをみじん切りにしてボウルに入れ、ライムを絞り、塩、油を入れたら一混ぜする。そこに沸騰直前まで熱した水を加えてよく混ぜる。お湯が油と混ざり、少し乳化したようになります。玉葱や唐辛子もフレッシュさが残りながらまろやかになるのはきっとこのお湯のおかげなんでしょうね。おもしろい!

《パリの外国ごはん そのあとで。》アンティル諸島風、ソーセージのルガイユと野菜プレートで夏を締める!

私は最後に更にパンチが欲しくてハバネロのピュレを足しました。ハバネロはこちらではアンティルの唐辛子、と呼ばれ勿論アンティル諸島の料理にも使われていますがしかし暴力的に辛い! ほんの少しでこの破壊力。ガツンと来た辛さの後、汗がバッと出てスッと引く清々しさが大好きです。

Corossolで揚げ物についてきていた緑のソースはこれだったのですね。茄子を多めの油で揚げ焼きにしたものに、このソースをかけました。確かにこれはBBQで出したら喜ばれそうです。

実に夏の最後にふさわしい、野菜たっぷりのプレートとなりました。でも、やっぱりプランタンバナナの揚げ物が欲しかったな。次回は絶対に揚げて添えてみよう。

(室田万央里)

PROFILE

  • 川村明子

    東京生まれ。大学卒業後、1998年よりフランス在住。ル・コルドン・ブルー・パリにて製菓・料理課程を修了後、フランスおよびパリの食にまつわる活動を開始。現在は執筆のほか、パリで活躍する日本人シェフのドキュメンタリー番組『お皿にのっていない時間』を手掛けている。著書に『パリのビストロ手帖』『パリのパン屋さん』(新潮社)、『パリ発 サラダでごはん』(ポプラ社)、昨年末に『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)を出版。
    noteで定期講読マガジン「パリの風と鐘の音と。」始めました!

  • 室田万央里

    無類の食べ物好きの両親の元、東京に生まれる。
    17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て14年前に渡仏。
    モード界で働いた後に“食べてもらう事の喜び”への興味が押さえきれずケータリング業に転身。
    イベントでのケータリングの他、料理教室、出張料理等をパリで行う。
    野菜中心の家庭料理に妄想気味のアジアンテイストが加わった料理を提供。理想の料理は母の握り飯。未だその味に到達できず。
    Instagram @maorimurota

バナナのフライにルガイユ、南の風が吹くアンティル諸島料理「Corossol」

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