野村友里×UA 暮らしの音

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、現在カナダで暮らす歌手UAさんの往復書簡「暮らしの音」。「学校教育についてどう思う?」という問いを受け取ったUAさん、娘さんと息子さんにインタビューをしたら、すてきな答えが返ってきたようです!

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UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

プラムも豊作

>>野村友里さんのお手紙から続く

友里

東京はまだ、残暑も厳しいのかしら?
7月の末には東京にいたのだけど、成田に向かう高速のサービスエリアにて炎天下、吸い込む熱風は体温より高く感じて、昔訪れたモロッコの砂漠を思い出してしまった。

でも東京の真ん中でオアシスを湧かせる友里ちゃんは、心配ご無用ね。最高においしそうなお素麺(そうめん)にスタミナ盛り上がりそうなベンガルカレーな日々なのだから。
それにしてもなんと素敵な素麺写真、、、よだれ。
目の涼もさながら、ピンクの濃淡に横たわる丸裸の蒸しナスがやけにセクシーで、そのお味の予想に刺激され、心まで充電されたのよ。みんみん蝉は恋しいけれど。ありがとね。
それから、ベンガルカレー、これ間違いなく、いただきたいわけです、よろしくユザーン。

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

さてこちらは22時まで薄明るかった真夏はすぎ、ゆっくりと秋に移りながら、畑も充実して、採れたてのトマトとバジルと、ケールや大根葉を混ぜたパスタなんかは、シンプルだけど、最高においしい。
にんにく、玉ねぎ、キュウリも豊作、ちょうど今スクワッシュが採れだして、コーンも順調。
春に植えたよもぎもしっかり根付いたよう。
昨年、森に植えた蕗(ふき)は、おなじみの植物に圧制されたのか、残念ながら見当たらない。でも大きな鉢植えのは健在で、鉢の底よりはみ出た根から、新たな株が傍らの地面から顔を出しているよ。

こちらは、9月が新学期

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

やっぱり夏はボート遊び

そしてこちらは、9月が新学期。
11歳の娘は、もうミドルスクールに上がる歳で、それを機に、8歳の息子も一緒に、学校を移ったの。彼女には二つの選択肢があったのだけど、街にある大きな公立の中学校ではなく、街のちょっと外れにあるマルチレベルクラス(複式学級)制の小さな公立学校を選んだ。そして息子も自動的にそちらへ。
そこは、大きいクラス(4~8年生)と小さいクラス(幼稚園生~3年生)の二つに分かれてるだけの学校。それぞれ20名ほど。

昨年まで通っていた北にある公立小学校では、レギュラークラスとは別に、4年前から新しく試行されているネイチャープログラムと呼ばれるクラスに入っていたのね。

自然学習をベースにしながら、一応全ての科目のノルマもこなしていたようで、テストはない。週4日の登校日のうち(金曜もお休み)、2日は野外学習をする。レギュラークラスのほうは日本の公立と同じく、同学年ごとに分かれるクラス編成だけど、そのプログラムにおいては、マルチレベルクラス(複式学級)制で、大きいクラス(3~5年生)、真ん中のクラス(2~4年生)、小さいクラス(幼稚園生~2年生)の3つに分かれていた。それぞれ25名ほど。

クラスに顔を出す機会が何度もあったけど、勉強してるというよりは遊んでるみたいにしか見えないことが多かった。
だからか、子供たちはその学校が大好きだった。しかし娘は5年生で卒業。

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

息子が撮ったアビュータスの樹肌

そして、新しい学校には、まだ1週目の4日間しか通ってないので、子供たちから取り立てて特徴ある話もないのだが、ただ息子のほうは、「こっちの学校はルールが多いからやだ」と言っている。
とりあえず、「納得いかないことがあるなら、それはなぜそうなのか、直接、先生に聞いたらいい」と言っておいた。

そんな2人に小さなインタビューをしてみたの。

質問  娘の答え(11歳)/息子の答え(8歳)
一番好きな歌は
 Man In The Mirror/M. Jackson /「天空の城ラピュタ」の歌
一番好きな本
 ロバのシルベスターとまほうの小石 / 風の谷のナウシカ
一番好きな動物
 りすと馬 / 全部
一番好きなこと
 何かを作ること / 何かを作ること
作ってて楽しいもの
 布袋と弓矢 / ナイフ
得意料理
 オムライス / オートミール
家で担当の仕事
 鶏の世話 / 犬の餌やりとブラッシング
将来何になりたい
 わからない / 水上飛行機のパイロット
一番面白いこと
 作ること / Ripstickに乗ること
嫌いなこと
 勉強 / 勉強

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

娘の作った弓。矢は飛ばしてなくしている

思ったほど意外性はないのだけれど、2人はこんな風に質問されるのは初めてのことだから、照れくさそうだったけど面白がってた。

ちなみに、「作ってて楽しい」弓は、メープルや竹などの長い枝をしならせて紐(ひも)を張り、矢は、枝の先に重しや羽をつける。
ナイフは、鉄を研いで、持ち手には皮や木を紐で巻いて留める。

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

息子が作ったナイフ

勉強は、ずっと、続くことなのだから

それから、氣になる「勉強が嫌い」については、悲しいかな、家庭で心を鬼にしてやらせる漢字、平仮名、カタカナの書き取りのことを意味しているの。

実は、去年まで、Waldorf Education(シュタイナー教育)の教材を使って、大きな無地のノートいっぱいに、お話や絵を軸にしながら文字を表していくようなことをぼちぼちとやっていたのだけど、今年に入ってからは、島に住む日本人母の有志のおかげで日本語クラスが始まったのもあって、ドリルを使ったりして、どんどん書かせるようにしているの。

娘はまだ小2の漢字、息子はまだ平仮名を書き取り中。
その時間が来る度に上がる文句は受け流し、「継続は力なり」なのだと自分に言い聞かせては、頑としてやり続けねばと思っている。明日からはまず声に出して言ってみようか。

だがしかし、書き取りがこうも嫌がられてることを確認したこのインタビュー。。。
そうね、、もう一人小さいのも居るわけだし、また一緒にクレヨンでシュタイナーの世界をおさらいするのも大事な頃かな。思い立ったが吉日、上二人はリピートすることにもなるけど、きっと幼い頃とは違った知性の混じった新しい印象となるはずね。

遅かれ早かれやってくる反抗期には、漢字練習帳など薪ストーブに突っ込まれやしまいかと、正直不安だけど、その時はいったんお休みするにしても、またいつの日か成長の過程でおのずと日本の書物に興味が持てるくらいには、書き続けさせていたい。

勉強は、学校時代だけのものではなく、社会に出てからもずっと、もしかしたら死ぬまで続くことなのだから、それぞれ成長過程に合った速度や方法を見つけるのをサポートしてあげたいと願うものの、自分自身、睡眠時間を削っても勉強したい欲にあらがえず、親だけで行える教育というものの限界はひしと感じる。

幸いにも、若くてセンスある居候やその友人たちが、それぞれの得意なこと、例えば裁縫や編み物、染め物、畑仕事などを、子供たちに教えてくれるので、それは何よりも助かっていて、子供たちも作るのに忙しそうで、見ていて氣持ちがいい。

多様社会に触れる良い機会と、おおらかに構えておく

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

さあ、パスタにしよう

さて、この島で生まれ、もうすぐ4歳になる息子の方は、幼稚園の前の、プリスクールと呼ばれる保育学校に週に2日だけ通うことになった。まだ初日しか行ってないのだけど、庭の大きなプラムの樹の下に落ちてる熟れ過ぎたプラムをばくばく食べてて、注意され、今度はその樹に登って食べようとしたから、また注意されて、機嫌を損ねている。。。うちとは随分勝手が違うわけなのだけど、多様社会に触れる良い機会なのだからと、こちらはおおらかに構えておくしかないね。

それから今日は、街でプライドパレード(The Pride Parade) が行われ、街中が虹色の旗で染まっていた。小さな横断歩道まで虹色に塗られていたの。
中央の公園では、毎週恒例のマーケットも開催されていたので、大変なにぎわいでね。
ひときわ違ったのは、お尻を見せるいでたちのゲイカップルや、乳首だけ貝のアクセサリーをつけた女性などが練り歩き、ドラッグクイーンたちがガゼボの下で歌い踊るショーが繰り広げられていたこと。けれど、老若男女の誰も、特別驚いた様子もなく、夏の終わりの年間行事の一つとして愉しんでいるようだった。

そこで印象的だったのは、公立学校の校長先生たち全員がパレードに参加されていたこと。他に、太極拳、アングリカン、フェリー会社、アフリカンバンド、グリーンパーティー(緑の党)、消防隊、街でよく見かける人物、特にサインを掲げてないグループなど、皆が「差別はいらない」と謳(うた)っていた。

また明日は、近所のファームのオープンカフェで、ドラッグクイーンたちが子供のためのストーリーテリング(本の読み聞かせ)をするそう。朝、起きてみて皆の様子を見つつ、氣が向いたら、行ってみようかな。

UAさん「新学期。いま娘と息子が好きなことと、嫌いなこと」

結局行きました。ドラッグクイーンによるストーリーテリング(子供たちがたくさん見てるもの)

はい、もうすぐ日本です。
東京は三井ホールで2デイズ。
お席ご用意してお待ちしています、よ。

うーこ

PROFILE

  • UA

    1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。α-STATION(FM京都)の番組「FLAG RADIO」にレギュラー出演中。

  • 野村友里

    料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』『春夏秋冬 おいしい手帖』(マガジンハウス)、『Tokyo Eatrip』(講談社)、共著に『TASTY OF LIFE』(青幻舎)がある。
    http://www.babajiji.com/

野村友里さん「“ともだち”のために、今できること」

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