料理家・冷水希三子の何食べたい?

ほくほく、ねっとり。秋の食感を楽しむ、かぼちゃと柿の黒酢マリネ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回はみんな大好き、秋の味覚かぼちゃと柿を使ったお料理。かぼちゃのほくほく、柿のねっとりした食感を味わい尽くすマリネをご紹介します。

    ◇

―― 冷水先生、こんにちは。なんだか一日ごとに秋が近づいているような毎日ですね。本格的な食欲の秋に向けて、おなかの準備は万端整いました!

冷水 それはそれは、お料理を学ぶにはとてもいい姿勢ですね(笑)。

―― 秋にはおいしい食材があって、毎日何を食べようか迷ってしまいます。

冷水 あら、食べることだけですね!

―― ハッ! そうでした……。9月に入って、読者のみなさんからのリクエストも秋の食材に関するものが増えまして、中でも多いのがお芋や栗、かぼちゃのお料理。この三つは「秋のおいしい三銃士」ですからね!

冷水 三銃士(笑)! たしかに、秋になると食べたくなるものばかりですね。じゃあ今日はかぼちゃを使ったお料理を作りましょうか? 私も大好きです。

ほくほく、ねっとり。秋の食感を楽しむ、かぼちゃと柿の黒酢マリネ

ひと口大に切ったかぼちゃを蒸します。蒸しあがりの目安は竹串がスーッと通るくらいです。

 

―― かぼちゃ、とってもおいしいんですけど、めちゃめちゃ硬くて切るのが大変だし、そもそも煮物以外に料理が思いつかなくて……。もっぱらお総菜を買って食べちゃってます、スミマセン。

冷水 いえいえ、そういう方、もしかしたら多いかもしれませんね。じゃあ今日は、煮物とはまた違ったおいしさを感じられる、かぼちゃと柿のマリネを紹介しましょう。

―― マリネですって! しかも柿もジョインなんて、秋の味覚が盛りだくさん~。

冷水 せっかくだから、思い切り秋を楽しんじゃいましょうということで(笑)。柿は食感も面白いですし、マリネにすると優しい甘みが際立って、とても馴染(なじ)みがいいんですよ。。

―― この連載では何度も言っていますが、料理にフルーツを使う人は本物の料理上手だと私は思っています!

冷水 じゃあ今日から料理上手の仲間入りですね! しかも今日のマリネは本当に手軽ですから、きっと上手に作れますよ~。

ほくほく、ねっとり。秋の食感を楽しむ、かぼちゃと柿の黒酢マリネ

こちらも秋の味覚、柿。柿は最後に加えるので、使う直前に皮をむいてカットしましょう。

―― 完璧にマスターして、ドヤ顔で友人知人に振る舞うのが楽しみです(笑)。

冷水 じゃあまずは苦手意識のある人も多そうなかぼちゃの準備です。まずは食べやすい大きさにカットします。たしかに硬くて切るのが大変ですが、皮の側からゆっくりと包丁の刃を入れていきましょう。あとはかぼちゃのほうを動かして、じわじわと刃を進めていくと切りやすいですよ。

―― なるほど~。包丁でスパーンッ! と切ろうと思わないで、じわじわと、ですね。いつも力任せに切ろうとしていたので、手が滑ってあわや大惨事ということもしばしばでした(涙)。

冷水 そうですね、かぼちゃと真正面から戦っちゃダメですね、危ないですから(笑)。さて、かぼちゃをひと口大に切ったら、蒸し器に入れて蒸していきます。あ、あと具材に使う芽ひじきを水で戻しておきましょうね。

―― あのう……、恥を忍んで伺いますが、どうせ蒸すなら、かぼちゃを蒸して柔らかくしてから切るのではダメなんでしょうか?

冷水 うーん、だめじゃないんですけど時間がかかるのとかぼちゃは小さく蒸しても大きくても味わいがそこまで変わらないので、切ってからで!

ほくほく、ねっとり。秋の食感を楽しむ、かぼちゃと柿の黒酢マリネ

芽ひじきにマリネ液を吸わせてからかぼちゃと柿を和(あ)えると、全体的に穏やかな酸味に。手で混ぜるとかぼちゃが崩れず、仕上がりがきれいです。

―― あっ、たしかに! 浅はかでした……。

冷水 じゃあ気を取り直して(笑)。かぼちゃを蒸している間にほかの具材の準備を進めましょうね。まずは赤玉ねぎをみじん切りにして水にさらし、水気を絞っておきます。

―― これは普通の玉ねぎだとダメですか?

冷水 今回は玉ねぎの辛みをあまり前面に出したくないので、辛みが少ない赤玉ねぎが理想ですね。

―― はい!

冷水 次に芽ひじきは、20分ほど水で戻すと柔らかくなると思いますが、念のため十分に柔らかくなっているか確認してください。固いままだと茹でても柔らかくならないので。

―― そうなんですね~、注意しなくっちゃ!

冷水 戻した芽ひじきは熱湯で2分ほど茹でます。茹でている間に赤玉ねぎと合わせ調味料をボウルで混ぜて、その後に水気を絞った芽ひじきを加えます。

―― 芽ひじきを加えるタイミングは何か注意が必要ですか?

ほくほく、ねっとり。秋の食感を楽しむ、かぼちゃと柿の黒酢マリネ

マリネが完成したら、ラップをして冷蔵庫へ。冷やすことで味が引き締まり、それぞれの具合の風味が際立ちます。

冷水 茹でたての熱々を加えることです。その方が芽ひじきに調味料の味がよく馴染(なじ)みますから。今回はマリネ液を直接かぼちゃにかけるのではなくて、一旦(いったん)芽ひじきに吸わせて、それをかぼちゃと柿に和えていくんです。芽ひじきが和え衣になるんですね。

―― 和え衣!?

冷水 かぼちゃも柿も優しい甘みが魅力ですから、マリネ液の酸味を直接野菜につけない方が風味が際立つんです。

―― なるほど、芽ひじきがワンクッションあると、酸味が穏やかになるんですね。

冷水 そうそう、その方が味のバランスがいいんです!

―― 和え衣という考え方、いろいろな料理に応用できそうですね。また一歩料理上手に近づきました!

冷水 さあ、かぼちゃが蒸しあがったので、柿をむいて和えていきましょう。

―― わ~、かぼちゃも柿もきれいなオレンジ色で、秋真っ盛りという感じですね~

冷水 お料理は見た目も大切ですからね。秋色です。さあ、召し上がれ。

――― おお~、かぼちゃのホクホクと柿のねっとり、ふたつの食感が楽しいですね! マリネ液の酸味もたしかに穏やかで、いい感じにかぼちゃと柿の甘さを引き立ててくれています。

冷水 マリネはそこの塩梅(あんばい)が命ですからね。ぜひ“和え衣”の技、挑戦して見てください。

今日のレシピ

かぼちゃと柿の黒酢マリネ

■材料(4人分)

かぼちゃ 200g 
柿 1/2個 
芽ヒジキ(乾燥) 10g 
赤玉ねぎ 1/6個

A
黒酢 大さじ1
濃い口しょうゆ 大さじ1
ごま油 大さじ1
砂糖 小さじ1/2

作り方

 かぼちゃは2㎝大に切って、軟らかく蒸す。
 芽ヒジキは水で戻しておく。赤玉ねぎはみじん切りにして水にさらし、その後、水気を絞る。
 戻した芽ひじきを熱湯で2分ほど茹(ゆ)でてザルに上げ、水気を切る。ボウルにの赤玉ねぎを入れて混ぜ合わせ、その後、芽ひじきも加えて混ぜる。
 のかぼちゃ、一口大に切った柿を加え混ぜる。冷蔵庫で冷やして食べましょう。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)


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PROFILE

ほくほく、ねっとり。秋の食感を楽しむ、かぼちゃと柿の黒酢マリネ

冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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