高山都の日々、うつわ。

#6 カップの数だけ、いい時間がある。

 
#6 カップの数だけ、いい時間がある。

自分では気がついていなかったけれど、
友人いわく、私の家にはマグカップがたくさんあるらしい。
たしかに食器棚のほかにキッチンの引き出しのひとつが
マグカップ専用のスペースになっているし、
言われてみれば、毎日違うマグカップでお茶を飲んでいる、かも。

どうしてこんなにたくさんのマグカップが集まってしまったのだろう。
改めて考えてみると、それはきっと、日々の生活のなかで、
お茶の時間がとても大切だからなんだと思う。

#6 カップの数だけ、いい時間がある。
#6 カップの数だけ、いい時間がある。

たとえば夏の盛りがすぎて、朝にふと涼しい空気を感じたとき。
昨日までのグラスではなくて、あたたかみのある赤の、
それもたっぷりとコーヒーを入れられるマグカップを手に取る。

何度も読み返している好きな本のページを出鱈目(でたらめ)にめくって、
目についたページからゆっくりと読む。
ひさしぶりに訪れた、さわやかな朝の時間。
マグカップが季節の変わり目を教えてくれる。

しばらく会っていなかった友人が、
「仕事で近くに来たから」と部屋に寄ってくれた日。
少し繊細なデザインが施されたティーカップに、
旅先で買ったハーブティを入れて出す。
ひとりのときとは違った、よそゆきのティータイムも好き。

#6 カップの数だけ、いい時間がある。
#6 カップの数だけ、いい時間がある。

仕事やプライベートでいろいろあって、
気持ちを落ち着かせて、
明日からのことを考えたいときには、
日本茶や中国茶がいい。

まずは急須を湯であたためておいて、
茶筒から茶葉をすくって湯を入れ、茶葉が開くまで待つ。
ていねいに、ていねいに。
その時間が、そわそわしていた気持ちを静かに収めてくれる。

お気に入りの茶葉を入れた茶筒には、真鍮(しんちゅう)の茶匙(さじ)が入っていて、
「都」と、立派な刻印が入っている。
以前京都を訪れたとき、一生ものの茶匙が欲しくて作ったもの。
自分の名前をまじまじと見ることなんてあまりないけれど、
この文字を見るたびに、「自分は自分でいい」と思えてくる。

東京で暮らして、仕事をして、恋をしたり、遊んだり。
それはとても恵まれていて、幸せなことだけれど、
欲張りになればなるほど、疲れてしまうこともある。

そんなときは、お茶で一服。
今、自分は何がしたいのか。どんなふうに過ごしていきたいのか。
ほんの数十分立ち止まって、心を整理してみるといい。
もちろん、それはお風呂の時間でもベッドの中でもいいけれど、
おいしいお茶とおやつがあれば、なおさらいいじゃない。

#6 カップの数だけ、いい時間がある。

今日のうつわ

青木良太さんのカップ
数あるカップのなかで、一番たくさん持っているのが陶芸家・青木良太さんのもの。岐阜県で制作を行う青木さんは、金や銀、プラチナなど、さまざまな素材や釉薬(ゆうやく)を使って、これまでに見たことのない器を作る気鋭の作家さん。カップの表情もさまざまで、工房や個展に足を運ぶたび新しいものを持ち帰ってしまいます。毎日、何げなく手に取って使うカップですが、じつはそこにときどきの気持ちが反映されていて、なんだか「カップ占い」みたいですね(笑)。

    ◇

写真 相馬ミナ 構成 小林百合子

PROFILE

高山都

モデル 1982年、大阪府生まれ。モデルやドラマ、舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広い分野で活躍。フルマラソンを3時間台で完走するなどアクティブな一面も。最近は料理の分野でも注目を集め、2作目となる著書『高山都の美 食 姿2』では、背伸びせずに作る家ごはんレシピを提案。その自然体なライフスタイルが同世代の女性の共感を呼んでいる。

高山都の日々、うつわ。

丁寧に自分らしく過ごすのが好きだというモデル・女優の高山都さん。日々のうつわ選びを通して、自分の心地良いと思う暮らし方、日々の忙しさの中で、心豊かに生きるための工夫や発見など、高山さんの何気ない日常を紡ぐ連載コラム。

バックナンバー

#9 器を買いに。
#8 秋を飾る。
#7 おひつがくれた小さなしあわせ。
#5 お弁当づくりから学んだこと。
#4 旅と器のいい関係。
#3 夏の麺と沖縄のガラス。
#2 雨の日の花しごと。
#1 青いプレートとジャムトースト。

#5 お弁当づくりから学んだこと。

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#7 おひつがくれた小さなしあわせ。

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