CROSS TALK ―クロストーク―

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

様々な世界で活躍する男女2人よる対談連載「クロストーク」。
今回登場するのは日本舞踊の最大流派「花柳流」の舞踏家、花柳凜さんと人気ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のベーシスト、休日課長さんです。

ラジオ番組で共演して以来、親交が深いという2人に語り合ってもらったテーマは次の二つ。それぞれの対談を「&M」と「&w」に掲載します。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

普段の暮らし方や自分が好む過ごし方、人生観・価値観・習慣など、自分のスタイルを持って表現者として自由に生きる2人のルーツやライフスタイル、創作の秘密をめぐる話はどこまでも広がっていきます。

 

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?
花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

花柳凜(はなやぎ・りん)

日本舞踊家。幼少期より、祖父、故花柳稔に師事。2歳で初舞台。2006年、16歳で名取免許取得。11年、21歳で師範免許取得。豊かな表現力と、古典を重んじた繊細かつ伸びやかな技術で注目を集める。音楽やアートとのコラボレーションなど、ジャンルを超えた活動も展開する。

 

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

休日課長(きゅうじつかちょう)

ベーシスト。2012年、川谷絵音に誘われ「ゲスの極み乙女。」に加入。14年までは一般企業に勤めながら、バンド活動を展開。17年に「DADARAY」、18年に「ichikoro」にベーシストとして加入。


花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

それぞれのルーツ、それぞれのライフスタイル

花柳凜(以下、凜) 課長さんって百万回聞いているかもですが、おいくつでしたっけ?

休日課長(以下、課長) 百万回は聞いてないでしょ!(笑)。32歳です。

 そうでした。見た目は年相応でも、心が成熟しているというか、落ち着きというのか、優しさというのか、ふわっとした感じで。それは、家庭環境から? それとも大人になってから? 何かきっかけがあったんですか?

課長 いやいやわからないですよ。でも、親ですかね。父親がジャムおじさんにそっくりなんです。私のとげを全部抜いたら親父になる気がします。それくらい優しいですね。

たぶん、私を形作っているというか。音楽がものすごく好きなんです、父は。ライブに週3回も行ったりして。私じゃないメンバーのソロのライブで、隣におやじがいたなんてこともありましたね。えっ、なんでいるのみたいな(笑)。

そう考えると今の考え方とか生き方には、父親の影響がでかいのかな。“物事はしっかり考えろよ”っていう教えは常にあったんです。

あとは会社員時代の上司の影響もありますよ。私が今も大切にしている、上司から言われた言葉に「良さそうなことにだまされるな」という一言があって。それが私の考え方に根付いている。今、なんとなくアンチとか、とりあえず文句を言えば正論ぽく聞こえて、そうやってストレス発散している人が、多いと思うんですよね。

でもそれは、本当に考えての結論なのか。メリット・デメリットを考えた結論なのか。なんとなくアンチ、なんとなく肯定、なんとなくオーガニック。そういったことが多すぎる。そうじゃなくて、反対の意見も考えないといけないかなと。私は、よく考えている人の方が、自分と真逆の考え方をしていても話していて面白いですね。

 そもそもご両親から受け継いだ人格や性格なんですかね、やっぱり。

課長 はずかしいですね。

 いや、でもそれってすごく気になります。30代前半は一番ぎらついている年代かもしれないですよね。ギラギラギラみたいな(笑)。仮に課長さんの中にあっても、それをコントロールできる力を持っているってすごいことだと思うんです。

課長 腹黒いとはよく言われますよ、ほんとに。

 やはりそういう部分もあるんですか、ご自分の中に。

課長 あります、ありますよ。だって、興味がないことにはドライだし。ごはんに行く相手をすごく考えてしまうとかもそうだし、屈折した部分があると思うんですよね。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

 それをコントロールできるようになったきっかけがあるんですか? 小さい頃からなのか、お勤めの経験の中で培われたもの?

課長 小さい頃からかな。この前も中高の同級生と話をしていて「おまえ先生から好かれていたよね」と。中身は屈折しているくせに人当たりはいい……ごますり上手というか(笑)。

 こういうことを飾らずに言える余裕ってすごくないですか!! きっとかっこつけたいところだと思うんですよ。

課長 理屈では生まれない商売をしているからでしょうね。それに、私がかっこつけていたらすごく気持ち悪くないですか(笑)。

 そんなことないですよ! お会いするたびに思いますが、課長さんは素直というか、受け入れる力が強いと思うんですよね。すごく柔軟で平等に意見を聞いてくださるし、変なこだわりがないからなのかも。

私のことも普段からすごく気にしてくださるじゃないですか。お店を移動して歩いている時も「足元大丈夫ですか?」「寒くないですか?」みたいに。

でも、だからといってイヤらしくない(笑)。レディファーストとかでもなく、本当に気にしてくださっているのが伝わってくるんです。

課長 え、はずかしいなぁ(笑)。実際は、フットワークが重いんですよね、私。

 ええ本当ですか!? 夜中2時くらいから呑みませんかって、めちゃめちゃ軽いですよ(笑)。

でもそれも適当じゃない(笑)。論理と直感をバランスよく持っていらっしゃるという感じがします。

課長 決断するときは考えますね。それがいいのか悪いのか。直感で進む人と、うーんと考えて止まる人とか。私は考えて動くタイプっていうだけですね。

あれなんの話でしたっけ(笑)。

仕事とプライベート、両方を楽しむ

課長 私には仕事とプライベートという区切りがあんまりなくて。仕事で音楽やっているっていう感じも、良いのか悪いのかあんまりなくて。

いまだに高校の時にギターを弾いて学園祭に出たときのマインドと変わっていないんですよね。もちろん意識は全然変わっていますよ。あの時は下手でも平気でしたけど。音楽やることに対しての気持ちは、根本的に変わっていない気がする。

まあさっきも少し出ましたけど、夜誰かと飲みに行くとき、刺激的な人と呑(の)みたいなと思っちゃいますね。人と呑んだり、ごはんを食べたりすることが、ただ腹を満たすだけじゃなくて、もしかしたら今後の活動や人生を変えるきっかけにもなりうる。

そういう時はなんだろ? 楽しみたいって気持ちもあるし、自分の今後の活動にもつなげたいという思いもあります。この前、佐賀、福岡旅行に行った時に、アテンドをしてくれた方が、ベースのコレクターだったんですよ。それで、結局は最後ベースを弾いている、旅行の最後の日にね。結局、仕事とプライベートは切り離せないかなという気がします。凜さんはどうですか?

 

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 まったく同じです。結局、休みに旅行へ行っても踊りのイメージが頭の中に湧いてきちゃう。だから課長さんと一緒ですね。好きで始めているから、最終的にそこに行き着くのかな。

やっぱり意識的にオフの時間を決めないといけないなとは思うんですよね。でもイメージが湧いてくるということは、ある程度、疲れが癒やされて、活力が生まれているはずなんですよね、きっと。

課長 別に切り離そうとしなくても、ストレスがたまらないっていうのはありますね。

 東京にいることについてはどうですか? 私、最近それが悩みで。もう田舎に行きたい。

課長 心の問題? それとも、舞台に立つ身として田舎に行ったほうが何かを得られるから?

 心の問題かもしれないです。舞踊家というより、もっと、もう一歩手前、人としてなのかな。よく、踊るために生まれてきたんですね、とか言われますが、逆で、生きるために踊っているという感じです。

呼吸をしているんです、踊ることで。それと一緒で、人間らしくいるということが自然の中じゃないと無理なのでは? と最近思う。自然の中にいると余計なことが気にならなくなるんですよね。北海道は大好きでよく行きますが、その度に、「ああ、こういうことだったな。忘れていたな」と思ってしまう。

課長 確かに自分も田舎に一軒家があって、東京に寝泊りする小さい部屋があってみたいな生活がいいなと考えていますね。

いろんな音楽を聴いていると、その音楽を作った人が見た情景を思い浮かべたくなる。それは、情景を見ている人でないと出てこない音だったりするんだろうなと思うから。例えば西海岸の音楽を東京で聴いているときと、西海岸で聴くときとまた違うんだろうなって。

あと、少しリセットしたいっていうのもあるかも。自分の中にいらないと思うものがたまっていたりするので。家にモノが多すぎるみたいな。まっさらな状態になりたいですね。

 わかります。今年の2月に北海道へ行ったんですよ。「えっ? なんで2月に行くの? 雪しかないよ」とみんなに言われました。確かに一面雪しかないんですけど、でも見るたびに違うんですよ、景色が。毎日ちゃんと違う。「本当に同じ場所?」と思うくらいに違う場所に見えて。

そこにあった草が、私が寝ている間に動物の足で折られていたり、飛んでいたりして景色が変わっている。それを俯瞰で見たときに、いろんな場所で同じようなことが起きていくから、毎日違った景色に見えるんですよね。だから、全然飽きないのかもしれない。

実際に住むとなると色々と大変かもしれないし、だから観光客の目線での話になるけど、自然の中にいるっていうことが一番無駄のないことなのかなと思うんですよ。

 

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課長 その話を聞いて思い出したんだけど、そば屋に行くと冷たいそばも食べたいし、あたたかいそばも食べたいし、この欲をどうしたらいいのって、ずっと悩んでいて。そうしたら、ある雑誌に両方食べればいいって書いてあったんですよ。そりゃそうだ、二つ食べればいいんだ!と腹に落ちたときに救われて。これから二つ食べようって(笑)。

家も、これまでは一つという考え方だったけど、二つあっても別にいい。田舎の方が土地もあるし、意外と現実味のある話だと思った。

 いつか二拠点生活を。私は16歳のときに家を出ているんですよ。両親が舞踊家になることを反対したから、家を出たんです。でも、ひとり暮らしを始めて1年ほど経って、舞台を見た父に「せまいところで稽古しているのがわかるね」って言われたんですよ。

はっとしましたね。ひとり暮らしの家は狭いじゃないですか。身体が環境に合わせてしまって、踊りが向こうまで続いていなかったんです。だから自然の中でお稽古できたら、本当は一番いいだろうなって思いますね。

課長 うん。そういうライフスタイルはもろに出ると思います。表現に。

謙虚な気持ちを忘れちゃいけない

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

 私の表現は祖父(師匠)の影響が大きいです。祖父は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と世阿弥の「初心忘るべからず」という言葉を毎日、口にしていたんです。普通、毎日は言わないですよね(笑)。

実力がつけばつくほど、みなさんが頭を下げてくださるようになればなるほど、自分はそれよりさらに頭を下げるということが大事という教えだと思っています。祖父にとっては、日常の当たり前のこと。

私が祖父のお付きで劇場の廊下を歩いていると、ずらっと人が出てきて、祖父が通るときに、みんなが頭を下げるんです。おはようございますと祖父は1人1人に頭を下げるので全然先へ進まなくて。80歳で亡くなるときまでずっと「私も舞踊家として卵ね」と言っていました。そういう祖父の姿を見てきたので、私も謙虚でいられる人間でありたい。

謙虚ってどういうことかと考えると、思いやりがあって、想像力があるから謙虚なんですよね。“俺はこんなにやってる、やってきた”ではなくてね。あの人はがんばっているな、優しい人だな、心がきれいだなって、周りの人のことをちゃんと見て気持ちを想像できているかなと考えると、あ、自分はまだまだ出来ていないなと思える。

そこは祖父に感謝しています。いつも祖父が言っていたことは絶対忘れちゃいけないなって。

課長 だから凜さんは、謙虚ってことに対して感度が高いんですね。

 めちゃくちゃ高いですね(笑)。
自分自身は、がちがちに頭で考える人間で、この仕事をしていると感性の人だと思われますが、全然そうではありません。行動を見て分析するのが好きですし。だから 「ウェ~イ!」ってノリであいさつする人はそれで別に良いと思いますけど、その人の立場や背景を知った時に態度が変わるとか、年齢を知ったら態度が変わるとか、私、そういうのが大っ嫌いなんです。

どんな人にも、子供にも大人にも、どっかの大統領にも、同じように接するべきだと思っているので「ウェ~イ!」というノリで、この人どこまでいけるのかなと。トランプさんにもできるのかなって思っちゃう(笑)。

どうして自分の尺度で相手を値踏みして、人によって態度を変えるのか。本当によくわからないなって思いますよね。

実は、課長さんと初めてお会いした時、今、売れているミュージシャンの方はそういうノリかもと勝手なイメージがありましたが、本当に謙虚な方だと思いました。課長さんからしたら、よく知らない小娘だったと思いますが。

課長 いや全然、小娘だなんて思ってないですよ。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

 あの時に、手作りのカレーを食べさせてくれましたよね。それがものすごくおいしくて、びっくりしました。食べ物は愛情と思っているから、すごく愛情の深い方なんだと。

私、なんの気なしに、レシピを聞いたんですよね。軽く「これはこんな感じです」くらいだと思うじゃないですか。そうしたら、レシピ本みたいなメッセージが届いて、こんなマジメな人なのかと。それこそ出版できるようなレシピで分量も細かく小さじ1とか、本当に丁寧なメッセージをくださったんですよね。

課長 そういうのはなるべく正確に伝えたいんですよ。でも、まさかそんな分析しているとは思わなかった(笑)。

 ちゃんと見て接したいんです。一挙手一投足を受け止めたいというか。

課長 じゃあ一緒にフレンチとか行けないですね。この人ずっと水菜を取ろうとしてるけど、フォークでうまく刺せてないみたいなこともバレそうだし(笑)。

 わかる、水菜困りますよね、どうしたらいいんですかね。

課長 深追いしないのがいい。

 深追いしないって決めた瞬間を見られるのも恥ずかしいですよね。あ、いま諦めたな、みたいな(笑)。

課長 (笑)。そういう観察力は悪い意味じゃなくて、職業病ですよね。だってそこを表現しなくちゃいけないから。分析したことが糧になる。境界線がないかもしれませんね、仕事とプライベートとの間に。

 常に自分のことも客観的に見ちゃっているのかもしれないですね。

課長 生きることが舞踊というか。

 引くときもありますもん、たまに自分で。腹黒いじゃないですけど。すごくつらいことがあって泣いている時に、今どんな顔しているのか鏡を見にいかなくちゃって。お芝居の時にこの顔で泣くわけですから。そういう冷静な自分がいたりしますよね。やっぱりそういう意味では境目はないかもしれない。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

課長 人から見られていることを意識している。

 泣く芝居の時にこの顔をすればいいんだなって。ああ、こんな風に泣いているんだ。

課長 すごいライフスタイルですね。私もベースライン思いついたときに、忘れないように、ずっと口ずさみながら家に帰るときがあって。で、鍵あけた瞬間、あれ?なんだっけって(笑)。今はスマホのボイスメモとかあるから便利になりましたけど。

今は私も日常と仕事の境目はないですね。会社員時代は、土日は割と切り離していたような気もしています。それで土日に音楽をやってみたいな。

 それ、音楽一本ってなったときに切り替えってうまくいきました?

課長 楽しくて仕方なかった。「やったー!」みたいな。朝起きて寝るまでベース弾いていてもいいわけじゃないですか。長い夏休みに入ったみたいな感じでした。

 その感じはうらやましいな。私も1回、就職しようかな。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

自分の“機嫌”を保つために

 私、動物が大好きなんですよ。不機嫌な時でも動物を見たらもうコロっと気持ちが変わります。家に猫が4匹いて彼らに触れ合うと……もう、私の不機嫌はどこかへ行ってしまいます。簡単ですよね(笑)。課長さんは?

課長 私は、ごはんがあればご機嫌ですね(笑)。

 私、もう動物が好き過ぎて、近所のおじさんが飼っている亀にまでポセイドンって名前を勝手につけたりして。ポセイドン、おはよーと声をかけています。

課長 えっ! その亀はどこにいるんですか?

 おじさんが家の外の水槽で飼っています。私が行くとわーい、来た来たみたいな感じです。もうすっかりなついています。

課長 亀は、なつくんですね。

 もしかしたら、ごはんをくれる人と思っているだけかもしれませんね(笑)。私は、動物の役をやるのでめちゃくちゃ研究しています。

課長 動物を表現しているところを見たいですね。

 え、今ここで?

課長 いやいや! そんな安売りする必要ないですよ!(笑)。

 いや、やろうかなって思った(笑)。「鷺娘(さぎむすめ)」という代表作が日本舞踊にあって、鷺が人間の男の人に恋するんです。でも動物界では人間に恋すると地獄に落とされてしまうんですね。鷺のきれいな娘の姿から鷺娘、それが地獄の責め苦にあって最後死んでいくという踊りがあります。踊りの随所に鳥の所作があるんですけど、やろうと思いました。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

課長 動物の特徴や所作は見て学ぶんですか?

 見て学びますね。鷺を見に、鴨川とかに行って。脚がぺたーんとなるんですよ、あの人たち。飛ぶときに脚を後方へ伸ばしてぺたーんと。それがものすごくきれいなんです。私も足首を柔らかくして、鷺の脚のように伸ばしてみたり、鷺の目の動きも観察して学びます。鳥である鷺が、娘に姿を変じて踊るのですが、娘から鳥になる瞬間があり、身体だけではなく、目も鳥に変わる動きを出さないといけないんです。

課長 今の話を聞いたら、それ見に行きたくなっちゃう。凜さん、動物園に行ったら疲れませんか? 分析が始まってしまって。

 楽しいハイな分析なので。疲れはないかもしれないですね。

課長 演じる上で、この動物役はできるかな、困ったなみたいな動物はいましたか?

 私たちには当たり役というものがありまして、私に熊の役はこないんですよね、似合わないから。自分の体形とか感じと違う役がきたときは、困りますよね。たぬきとかは難しいだろうなと思いますね。

課長 見た目を完全に排除して表現するにはどうしたらいいか。

 それはやっぱり難しい。人間みたいに感情でやればいいわけじゃなくて、動物ってある程度見た目もそう見えないとお客様に伝わらないから。演目で、たぬき、きつね、うさぎ、とり、ヘビの役は多いですね。きつね役だったら私でもやりやすいのかな。

課長 きつねはヤバそうですね。

 きつねはありますね。美女にばけているとか、人間を殺しちゃうとか。

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

課長 おお……今ぞくぞくっとした。違うんですよ、動きがすでに、普通の人と。架空の動物とかっているんですか。

 ぬえとか妖怪も。私、妖怪か菩薩の役って言われていて、それが当たり役だって。

課長 でもそれ分析しようがないじゃないですか。

 型もあるし、あとはもう想像です。妖怪なら、こうなったら怖いだろうなって。役作りは意外と面白いんですよ、泥臭くて。私すごく短気なので、精神的な部分は動物を見てコントロールしています。よくも悪くも感情が激しいんですよね。

課長 そうあるべきなんですかね。

 いや未熟なだけなんですけど。すごく怒るんで、すぐに顔に出ちゃいます。

課長 非常に奥深い世界。まずは、動物を分析しているお姿を拝見したいです。動物園に行ってついでにそばを食べにいく会みたいなのをやりたいですね。

 ぜひ、お願いします!

(構成/&w編集部 撮影/南 阿沙美)

花柳凜(舞踊家)×休日課長(ベーシスト) 仕事とプライベート、切り替えなくてもいいんじゃない?

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「カッコよさ」と聞いて2人が思い浮かべることとは――。対談ではお互いが考える「カッコよさ」と仕事へのこだわりをじっくりと語り合います。

★対談の続きはこちら
休日課長×花柳凜 葛飾北斎を見て進化したベーシストと、日本舞踊をカジュアルにする舞踊家

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