朝日新聞ファッションニュース

カラフルに、希望を体現 豊かな発想力、意表つくパフォーマンスも 20年春夏、NYコレクション

2020年春夏のニューヨーク・コレクションが9月11日まで開かれた。20年代の幕開けとなるシーズン。大御所ブランドが存在感を見せ、勢いのある新進ブランドは鮮やかな色使いや多様性を体現するスタイル。新たな時代への希望が感じられた。

カラフルに、希望を体現 豊かな発想力、意表つくパフォーマンスも 20年春夏、NYコレクション

トモ・コイズミ

8月に破産申請した老舗セレクトショップ、バーニーズニューヨークの斜め向かいでショーを開いたのは、日本の新進トモ・コイズミだ。業界に垂れ込める暗雲を吹き飛ばすかのように、鮮やかなカラーのチュールを使ったボリューム感満載のドレス7着を発表。1人のモデルがゲストの面前で着替える、という意表をつくパフォーマンスで、初日を盛り上げた。

カラフルに、希望を体現 豊かな発想力、意表つくパフォーマンスも 20年春夏、NYコレクション

(左)ラルフ・ローレン、(右)トム・フォード

ラルフ・ローレンはウォール街にある旧銀行ビルをアールデコ調のナイトクラブに仕立て、すぐに着られる秋冬コレクションを見せた。メンズのタキシードに着想を得たイブニングスタイルは、1920~30年代のグラマラスなハリウッドスターを彷彿(ほうふつ)させる。

今は使われていない地下鉄構内でショーを開いたのはトム・フォードだ。デザイナーは今年6月、CFDA(米ファッションデザイナーズ協議会)会長に就任。アンディ・ウォーホルとそのミューズだったイーディ・セジウィックがマンホールから顔を出している60年代の写真などから発想を広げた。紳士服調のジャケットに、あえてショートパンツを合わせ、豪華さとカジュアルさを共存させた。

カラフルに、希望を体現 豊かな発想力、意表つくパフォーマンスも 20年春夏、NYコレクション

(左)マイケル・コース、(右)コリーナ・ストラーダ

マイケル・コースは海軍の造船施設などがあったブルックリンのネイビーヤード地区でショーを行った。星条旗の赤、白、紺を基調色にした米国らしいスポーティーなラインナップは、肩のラインにポイントを置いたジャケットやドレス、セーターが目をひく。

新進のコリーナ・ストラーダは多彩なセクシュアリティーや体形、年齢のモデルをそろえた。新しい家族や愛の形を体現するかのような彼らが着用したのは、タイダイ染めやハンドペイントが施された服。水彩画のようなトーンの詩的なデザインだが、野菜や花を手に取りながらのショーからは環境や政治に対するメッセージが伝わってくる。

カラフルに、希望を体現 豊かな発想力、意表つくパフォーマンスも 20年春夏、NYコレクション

(左)マーク・ジェイコブス、(右)パイヤー・モス

パイヤー・モスはデザイナーの地元ブルックリンの古い劇場が舞台に。毎シーズン、黒人の歴史や文化を創作の源としており、今季は特にロックの母と言われながら、音楽史では見過ごされてきたシスター・ロゼッタ・サープを追悼するコレクション。後半はリーボックと協業した服やスニーカーなども発表された。

最終日の11日は米同時多発テロから18年。トリを飾ったマーク・ジェイコブスはテロで失った友人や、今年他界したカール・ラガーフェルドに対する追憶もインスピレーションとした。

フルレングスのゴージャスなドレスから、ダンディーなパンツスーツ、カジュアルなボーダーTシャツなど、実に多様なスタイル。虹のようにカラフルに彩られた全61体は、ファッションを愛する人々全てのために存在している、という声明のようだった。ショーの終わりにはデザイナー本人もスキップしながら登場、新たな時代への希望を全身で表現していた。(ファッションジャーナリスト・市川暁子)

<トモ・コイズミは市川暁子撮影、他は大原広和氏とRunway-Photographie撮影>

ゴルチエ企画展、グッズ限定販売も

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ナチュラルに、サステイナブルに 20年春夏、ミラノ&ロンドンコレクション

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