リノベーション・スタイル

古き良き和の雰囲気を、今の暮らしに取り入れて

【OKUDO】
Oさんご夫婦(夫30代 妻30代)
東京都江東区 57.89平米/築46年

大正、昭和の古き良き家の雰囲気には憧れますが、一方で今の時代に合った暮らしは守りたいと思うものです。今回は、そんな新旧のバランスを考えた家づくりになりました。Oさんご夫婦は大正時代の雰囲気が好き、さらに、京都の「聴竹居(ちょうちくきょ)」(昭和初期に建てられた建築家の自邸)がお気に入りで、これらの空気感を家に取り入れたいというのが希望でした。

やりたいことがハッキリしている場合は、物件選びも重要になります。どんな家に住みたいかと明確にしつつ、実現できるかどうか考えながら物件も選んでいくことになります。

大きな特徴になったのは、古い建具です。新しいものとは違う趣があり、今回の家に合うと考えて私たちブルースタジオから提案しました。Oさんご夫婦も賛同してくれて、ご自身たちで昭和初期の建具を選ばれました。建具はインテリアを決める要になり、設計の段階から考慮する必要があるもの。早い段階から、雰囲気、サイズ、枚数など具体的に考えていきました。

古き良き和の雰囲気を、今の暮らしに取り入れて

構造上動かせなかった壁を生かして、黒漆喰を塗ったニッチを造作。お香が置かれている

「家に合う古い建具は見つかるの?」と不安に思うかもしれませんが、和の建具は比較的リーズナブルで、おしゃれなデザインのものがあります。流通量も少なくはないので、探してみることをおすすめします。もし、同じように海外のアンティークを使いたい場合は、サイズが日本の住宅に合わないこともあるので、よく調べた方がいいですね。

古い建具を生かした家は、玄関を開けた瞬間からタイムスリップしたような空間が広がっています。まるで一軒家のようですが、マンションのリノベーションなのです。
とはいえ、古い時代のコピーではなく、随所に新しいアイデアを取り入れています。

例えば、Oさんからも「キッチンは、京都のおくどさんがある町家風の雰囲気がいいのですが…。でも、設備はシステムキッチンにしたい」というリクエストがありました。

古き良き和の雰囲気を、今の暮らしに取り入れて

壁付けしたステンレスのキッチン。同じステンレスの作業台は、かっぱ橋で購入したもの

一見、正反対のリクエストですが、毎日の暮らしやすさを考えると納得できること。おくどのある「お勝手」っぽい雰囲気を大切にしながら、システムキッチンを導入しました。

もう一つの特徴が、リビングにある小上がりです。Oさん宅ではごはんを食べたり、くつろいだりと、暮らしの中心になっています。

一般的に畳が敷かれただけのシンプルな小上がりが多いですが、縁に艶(つや)のある木を使って囲炉裏のような雰囲気にし、ここだけで完成された空間に仕上げました。

古き良き和の雰囲気を、今の暮らしに取り入れて

小上がりの縁は、ツヤのある木を取り入れた

また、床の間のような棚や天袋のような収納を作ったりと、古い雰囲気は生かしつつ、実用的で使いやすくしています。天袋のふすまに貼ったものは、奥様がこだわった京からかみ。伝統的な製法で作られていますが、現代にも通じる柄がおしゃれで、小上がりのアクセントになっています。

古さと新しさが、ちょうどよくミックスされたOさん宅。今の暮らしに合う、古き良き日本が表現されています。

Oさんご夫婦にきく
リノベーションQ&A

1 リノベーションで想像以上のことはありますか?
リノベーションをする価値は、施主である自分たちが全てを決める自由さにあると思っていました。でも、実際は、プロにリードしてもらい、意思決定の要所で的確なアドバイスをもらえることは、想像以上に価値がありました。
マンション購入を決めたとき、まだ結婚していなかったのですが、不慣れなローンの手続きからベストな結婚のタイミングまで(!?)アドバイスをもらいました。
また、「こうした方が便利だから、こういう設計にしたけれど大丈夫ですか?」など色々と提案もあり、限られた時間の中で理想の住まいを実現する手助けをしてもらいました。実際に住んでみると、想像以上に風通しがいい、理想の過ごし方ができる住まいになりました。

古き良き和の雰囲気を、今の暮らしに取り入れて

間取り

2 リノベーションのプロセスで楽しかったことは?
打ち合わせのとき、自分たちが想像しなかった提案をしてもらい、いろいろな気づきや発見がありました。夫婦でお互いにどうしたいかを話し合うきっかけになり、突き詰めていくことができたので、とても有意義でした。
キッチン、お風呂、洗面、建具、鏡、カウンター用の木材など、詳細な仕様を決めるために短期間でショールームやショップ巡りをしたのは楽しかったです。でも、体力的に真夏のショールーム巡りは大変でした(笑)。

3 プロセスで大変なことはありましたか?
結婚前で同居もしていなかったため、二人の意見を合わせて、決定するのが大変でした。ブルースタジオさんとの打ち合わせを有意義にするために、事前にPinterestでキッチン、小上がり、洗面、建具というようにテーマごとにイメージを集め、共有して意見をまとめておきました。

(構成・文 大橋史子)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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