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【東京発 実力派ブランド:前編】ミュベール(中山路子)/アカネ・ウツノミヤ(蓮井茜)

設立10年前後の実力派東京ブランドが、百貨店やセレクトショップで人気だ。個性的でありながら、リアルに着られる服を、地に足をつけて作っている。4人のデザイナーに、服作りやブランドへの思いを聞いた。2週にわたり掲載する。

ミュベール、中山路子 ビンテージになる服めざし

【東京発 実力派ブランド:前編】ミュベール(中山路子)/アカネ・ウツノミヤ(蓮井茜)

ミュベールの2020年春夏コレクション=ブランド提供

動物のモチーフや花柄に、刺繍(ししゅう)やパールビーズをあしらったデザイン。着ると気分が明るくなり、ほっと肩の力も抜ける。ミュベールの服にはそんな魅力があると思う。
シンプルなスカートの裾からオーガンディのプリーツをのぞかせたり、カーディガンにはボタンのようにビジューを配したり。遊び心にあふれた世界観を生み出す。

2020年春夏コレクションは植物画で知られる、フランスの宮廷画家ルドゥーテに焦点を当てた。デザイナーの中山路子は「彼の植物愛に満ちた視線にひかれた」と話す。「昔からクラシックなモチーフが大好き」で、映画や音楽、手芸といった子どもの頃から好きなものがアイデア源だ。

18歳を過ぎてファッション好きに。大学に通っていたが退学し、服飾の専門学校に入り直した。卒業後はアパレル会社のデザイナーアシスタントとして働いた。「作っていることがエネルギーになる」と、週末は独自の服作りに励み、07年にミュベールを設立。当初はクラシックな作風だったが、3シーズン目に動物園をテーマにして方向性が定まった。

【東京発 実力派ブランド:前編】ミュベール(中山路子)/アカネ・ウツノミヤ(蓮井茜)

ミュベール 中山路子

韓国や台湾でも人気が高まる。シャネルやエルメスに合わせる女性が多いという。「上品でエレガントなスタイリング。ウィットに富んでいて、私の方が刺激をもらう」。

「将来ビンテージになってほしい」と思いを込める。「ぱっと見てわからなくても、着ると何か発見のあるものを作りたい」。やわらかい語り口が、洋服が醸すあたたかみと重なった。(松沢奈々子)

アカネ・ウツノミヤ、蓮井茜 素材と色の魅力、遊び心乗せ

【東京発 実力派ブランド:前編】ミュベール(中山路子)/アカネ・ウツノミヤ(蓮井茜)

アカネ・ウツノミヤの2020年春夏コレクション=ブランド提供

アカネ・ウツノミヤの服は、わくわくする。独特の色づかいに、思いがけない柄の切り替えやボタン使い。デザイナーの蓮井茜(37)は「人が着るものだから、説明的な服は退屈。遊び心のある服でありたい」と言う。今年からフレッドペリーと協業するなど活躍の場を広げている。

2020年春夏コレクションは、蓮井が「良き昭和のイメージで、パワフル」と感じている写真家須田一政の作品から着想を得て、ヘビ柄やギンガムチェックを多用した。

服作りのベースは、生地にある。原点はロンドンでの5年半だ。日本の大学で心理学を1年勉強した後、プロダクトデザインに興味を持ち渡英。様々なアートを学ぶ中で、テキスタイルにひかれ、セントラルセントマーチンズ美術大でニットを専攻した。ニットは機械を使うことが多く、「工学的なところが面白い」。

【東京発 実力派ブランド:前編】ミュベール(中山路子)/アカネ・ウツノミヤ(蓮井茜)

アカネ・ウツノミヤ 蓮井茜

生地はオリジナルで作ったり、イタリア産を使ったり。「生地と糸を発注しておき、そこから何を作ろうかということが多い。イタリアの糸は独特な色感があって好き」と話す。
帰国後、アトウを経て09年にブランドを立ち上げた。今は海外進出への思いを強くする。「日本でずっとやっていると、どんなものが売れて求められるのか何となく感じて、良くも悪くもその方向に行く。もう少し幅を広げたい。10年続けたいと思ってブランドを始めたので、もう10年続けられるように頑張りたい」

良いものを作りたい、というぶれない軸。海外への挑戦もその延長線上にあるのだと、腑(ふ)に落ちた。(神宮桃子)

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