高山都の日々、うつわ。

#8 秋を飾る。

 
#8 秋を飾る。

長い海外ロケに出かけたり、とにかく忙しかった夏。
全速力で駆け抜けた日々がひと段落して、
久しぶりにほっとひと息つけた休日。
壁に掛けておいたいただきもののブーケが、
自然にドライフラワーになっていたことに気づいた。

ずぼらのなせる業なのだけれど(笑)
「ああ、きれいだなあ」とぼんやりと思った。

夏の間、
時間があれば近所の花屋で季節の生花を買い求め、
明るく、生命力に溢(あふ)れる花々を部屋に飾っていた。
気づけば花屋の軒先にも、
渋い色みの秋の花が並ぶようになって「もう秋ですよ」と教えてくれる。

季節の変わり目といっても、
自分の暮らしは地続きで、
仕事や生活に追われていると、その境界はぼんやりしてしまう。
そんなときは自戒の念も込めて、暮らしに季節を取り入れてみる。

#8 秋を飾る。

#8 秋を飾る。

せっかく美しく変化したドライフラワーを、
ブックラックとして使っていたビンテージの木箱に、
ざっくりと飾ってみる。うん、いい感じ。

生花のときには鮮やかだった花。
赤やピンクはこっくりと深いワイン色に。
緑だった葉は黄金色になって、まるで秋の野山の風景みたい。

思えば、秋には選ぶ器の色も渋く、濃くなってくる。
夏の終わりからおいしくなるイチジクやシャインマスカット。
あまりに美しいので、食べるだけではもったいないと、
食卓に飾ってみることにした。

そのとき選んだのも、やっぱり渋い赤の高台。
夏の間は食器棚の奥底にしまっていたのだけれど、
秋風が吹き始めると「あ、そうだそうだ」と思い出して
久々に風にあてたのだった。

#8 秋を飾る。

#8 秋を飾る。

東京には季節なんてない、という人がいる。
じっさい、かつての自分もそうだった。
でも不思議なことに、
何かをきっかけに季節の流れを感じると、
自分の中の「季節を感じる心」が目を覚ます。

色や香り、風の感じ方、食べ物の味。
それはすべて季節に沿って変化していて、
人だって、それとは無関係ではいられない。
そんな当たり前のことに、ふと気づける瞬間がある。

今朝、急いで着替えをしようとしていたとき、
無意識に濃く、真っ赤なワンピースを手にしていた。
大丈夫、私の中にもちゃんと、秋はめぐっている。

#8 秋を飾る。

今日のうつわ

友人に譲ってもらった古い高台
しばらく前、実家の整理をしていた友人が見つけたという古い高台。使わないからと譲り受けたもので、産地や年代はわかりませんが、色や佇(たたず)まいが気に入って大切にしています。お料理を盛るには少し大げさなので、ふだんはフルーツを盛って食卓に置いています。ただでさえ色と形が美しい秋の果物。これに盛るとその造形が際立って、なんだか食べるのがもったいなくなってしまいます(食べちゃうけど!)。

    ◇

写真 相馬ミナ 構成 小林百合子

PROFILE

高山都

モデル 1982年、大阪府生まれ。モデルやドラマ、舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広い分野で活躍。フルマラソンを3時間台で完走するなどアクティブな一面も。最近は料理の分野でも注目を集め、2作目となる著書『高山都の美 食 姿2』では、背伸びせずに作る家ごはんレシピを提案。その自然体なライフスタイルが同世代の女性の共感を呼んでいる。

高山都の日々、うつわ。

丁寧に自分らしく過ごすのが好きだというモデル・女優の高山都さん。日々のうつわ選びを通して、自分の心地良いと思う暮らし方、日々の忙しさの中で、心豊かに生きるための工夫や発見など、高山さんの何気ない日常を紡ぐ連載コラム。

バックナンバー

#10 あたらしい器、いつもの料理。
#9 器を買いに。
#7 おひつがくれた小さなしあわせ。
#6 カップの数だけ、いい時間がある。
#5 お弁当づくりから学んだこと。
#4 旅と器のいい関係。
#3 夏の麺と沖縄のガラス。
#2 雨の日の花しごと。
#1 青いプレートとジャムトースト。

 
【インタビュー】


  •    

    高山都さんの手放した考え方と、新しく始めた習慣。
       

       

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  • #7 おひつがくれた小さなしあわせ。

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    #9 器を買いに。

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