朝日新聞ファッションニュース

【東京発 実力派ブランド:後編】アキラナカ(ナカアキラ)/タロウホリウチ(堀内太郎)

本格的な海外進出や新たなラインの服作りに挑戦している東京発の実力派ブランドたち。今回は、ともにベルギーの名門アントワープ王立芸術アカデミーで学んだアキラナカ、タロウホリウチのデザイナーに話を聞いた。

アキラナカ/ナカアキラ はっとする独創性、チームで

【東京発 実力派ブランド:後編】アキラナカ(ナカアキラ)/タロウホリウチ(堀内太郎)

アキラナカの2020年春夏コレクション=ブランド提供

柔らかさと大胆さを併せ持ち、はっとするようなデザインに心が動く。腰の位置で切り替えがあるニットのワンピースは、体になじむシルエットで、動くと裾が揺れてエレガント。幾何学的な柄や左右非対称の袖も、独創的でモダンだ。

クリエーティブ・ディレクターのナカアキラ(46)が追求するのは「着た時に女性の気持ちを高めてくれる服」だ。デザインチームは4人で、ナカ以外は全員女性。タイ出身のデザイナーもいる。「化学反応が起きないと偏る」と自分のアイデアよりもディレクションに注力する。このチームでの服作りこそがクリエーティブの核で、ブランドの強みだと納得した。アトリエも、彼女らに「リラックスした環境で働いてほしい」と明るい自然光と緑あふれる場所に構える。

2020年春夏コレクションは、1930年代の欧州古典主義に目を向け、クラシックな上品さを表現した。ランダムな水玉模様や、リラックス感のあるリネン素材など現代風にアレンジした。

【東京発 実力派ブランド:後編】アキラナカ(ナカアキラ)/タロウホリウチ(堀内太郎)

デザイナーのナカアキラ

米ビジネススクール留学中にテーラーと出会い、デザインの道へ。29歳でアントワープ王立芸術アカデミーに進んだが、新人の登竜門、イエール国際モードフェスティバルに参加するため中退。アントワープでニットデザイナーに師事し、06年に帰国した。前身ブランドを経て09年春夏シーズンからアキラナカとして展開する。2年前から東欧出身の営業担当と共に、海外でも展示会を開く。取引先は増加し、手応えを感じている。

アントワープで学び得たチームワークの重要性と、限られた資源を生かす創造力が今、存分に発揮されている。「名だたるブランドと並ぶためには規模も歴史も足りない。僕の代ではないかもしれないが、世界で戦うためにブランドの哲学や文化を残していきたい」

(松沢奈々子)

タロウホリウチ/堀内太郎 長く愛されるシンプルな美

【東京発 実力派ブランド:後編】アキラナカ(ナカアキラ)/タロウホリウチ(堀内太郎)

タロウホリウチの2020年春夏コレクション=ブランド提供

設立10年のタロウホリウチは、変化の時を迎えている。デザイナー堀内太郎(37)は昨年の秋冬シーズンから、男性向けブランド「ティーエイチ」を立ち上げた。その相互作用で、女性向けの服作りへの意識も変わってきているという。

アートから着想を得て、ひねりをきかせつつ普遍性を持つ服は、モード好きだけでなくコンサバ派にも受け入れられてきた。「美術や音楽は生活を豊かにする要素。ファッションが入り口になればいい。日常で着てもらえることが一番重要」という。

2020年春夏コレクションでは、ヴォルフガング・ライプの作品からインスピレーションを受け、自然を感じさせる色や生地を使った。堀内が「生命の根源のような素材」と感じている、花粉などを使うアーティストだ。

【東京発 実力派ブランド:後編】アキラナカ(ナカアキラ)/タロウホリウチ(堀内太郎)

デザイナーの堀内太郎

15歳で渡英して写真などを学んだ後、好きなマルタン・マルジェラが学んだアントワープ王立芸術アカデミーを選んだのも、アートとファッションの両方をかなえる場所で勉強したかったから。「自分の芯にある思いをどういう手法で落とし込むか、服作りそのものを考える授業。ファッションが揺らいでいる時代に強い教育だったと思う」。パリで約1年働き、09年にブランドを立ち上げた。

女性服は想像しながら作る「霧のようなもの」だが、「自分が着たい服。ストイックで黒い世界」と言うティーエイチを始めたことにより、シンプルなものの美しさに気づいたという。女性服も「トレンド性を薄め、長い時間愛してもらえる服にしていきたい」と前を見すえる。

今後、同じく東京ブランドのマメ(黒河内真衣子)と都内で縫製工場を始め、製品の一部を作る。「日本で、しっかりしたものづくりができる環境を残したい」。業界の未来にも真摯(しんし)に向き合う。

(神宮桃子)

 

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