ほんやのほん

古く素敵なモノとの出会い『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅 』

古く素敵なモノとの出会い『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅 』

撮影/猪俣博史

今回ご紹介する『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅 』の著者おさだゆかりさんは、年に3回は北欧へ買い付けに行き、過去に40回以上は北欧を旅しているという言わば“北欧のエキスパート”です。

北欧雑貨を愛してやまないと言うおさださんは、大人気の北欧雑貨店「SPOONFUL」をオンライン中心に運営されているほか、毎年「北欧雑貨をめぐる旅」ツアーを企画・実施されています。

私が初めておさださんにお会いしたのは2018年6月、前作『わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ』のトークイベントへご登壇いただいた時でした。シンプルでありながらも、洗練された北欧のイメージとどこかつながるような、飾りすぎることなくありのままの北欧の魅力を丁寧に伝えてくださる姿が印象的だったことを覚えています。そして今回、2度目となるトークイベントにて『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅』についてご本人が語ってくださる機会がありましたので、その内容も踏まえながらご紹介していきたいと思います。

“いつかは行ってみたい国”ではなく……

おさださんが初めて北欧を訪れたのは1999年、今から20年ほど前に訪れたスウェーデンでした。その時はまさか、その後40回以上も北欧を旅することになるとは想像できなかったそうです。“北欧”と聞くと、“どこか遠くて、いつかは行ってみたい国”というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか? さらにその土地でヴィンテージ雑貨を探しに行くとなると、少しハードルが高いように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

アンティークとヴィンテージの違いは? どのようなお店に行けばいいのか? 値段交渉はできるのか? 購入した雑貨はどうやって日本まで送るのか? 持ち帰ることができない家具を送る際に、梱包(こんぽう)材はどこから調達すればいいのか? 慣れない土地で効率よくお店を回るためには?など、素朴な疑問がいくつも頭に浮かんできそうです。

おさださんは本の中で、ヴィンテージ雑貨を探す方法として①フリーマーケット②アンティークショップ③セカンドハンドショップの三つを挙げています。ページを進めるとスウェーデン、デンマーク、フィンランドの順に、国ごとに買い付けエピソードが紹介されており、それぞれの活用法や醍醐(だいご)味が異なってくることが分かります。同時に少しずつ素朴な疑問が解消され、ハードルが低くなっていくように感じられます。

また、この本の楽しみの一つとも言えるのが、いくつもの写真です。シンプルでありながらも丁寧なモノ作りと、ひとつひとつのラインが美しく、デザイン性が高い貴重なヴィンテージ雑貨の写真の数々には心が躍ります。表紙には、おさださんが美しいトランクを見つけたら必ず手に取るというフィンランド独自の手工芸の一つである曲げ木のトランク、そしてホワイトと“北欧ブルー”が美しいコーヒーポットの写真が使用されています。

おさださんは北欧での買い付けの旅には、たくさんの楽しみがあると言います。スウェーデンでは合間に楽しむフィーカと呼ばれるお茶の時間、気心が知れたアンティークショップオーナーとの会話、なかなか目にすることがないお目当ての逸品に出会えたときの喜び、店主との会話、北欧の街めぐり。そして印象的なのは、洗って磨くお手入れの時間。本の中では、「何十年も前につくられ、お店の片隅でほこりをかぶっていたモノに再び光をあてる」「まるで新しい命が吹き込まれたよう」と紹介されています。この時間がとても好きなのだ、と。

日本から北欧への直行便はフィンランドのヘルシンキ、またはデンマークのコペンハーゲン行きとなります。どちらも10時間前後の空旅です。“どこか遠くて、いつかは行ってみたい国”であった北欧へ、ちょっとした準備とヒントがあれば私たち旅行者でも、気軽に楽しくヴィンテージ雑貨を探す旅を楽しむことができるのだと、旅先での新しい過ごし方を提案してくれているようにも感じる一冊です。

(文・藤井亜希子)


  •    

    幸せってなんだっけ?『世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと』
       

       

    幸せってなんだっけ?『世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと』


       


  •    

    多和田葉子作品でしか体験できないこと。『地球にちりばめられて』
       

       

    多和田葉子作品でしか体験できないこと。『地球にちりばめられて』


       


  •    

    コンシェルジュから本の贈り物(1)「おっ、と思う国の小説を」
       

       

    コンシェルジュから本の贈り物(1)「おっ、と思う国の小説を」


       

  • >>おすすめの本、まだまだあります

    PROFILE

    蔦屋書店 コンシェルジュ

    12人のブックコンシェルジュの皆さんに、
    そのとき一番おすすめの本を、週替わりで熱くご紹介いただきます。

    ●代官山 蔦屋書店
    間室道子(文学)
    ●二子玉川 蔦屋家電
    岩佐さかえ(健康 美容)/大川 愛(食)/北田博允(文学)
    嵯峨山 瑛(建築 インテリア)/中田達大(ワークスタイル)
    松本泰尭(人文)
    ●湘南 蔦屋書店
    川村啓子(児童書 自然科学)/藤井亜希子(旅)
    羽根志美(アウトドア)/八木寧子(人文)
    若杉真里奈(雑誌 ファッション)

    藤井亜希子(ふじい・あきこ)

    湘南 蔦屋書店 旅コンシェルジュ。旅行会社勤務時代は、海外ホテルやオプショナルツアーなど現地への手配を担当。その経験を生かし、ハワイ・北欧・フランス・イギリスなどを中心に、旅行書の選書をはじめ世界各国の自然や文化、人々の暮らしなどその土地にまつわるフェアや旅行イベントを提案。プライベートでは、自他ともに認めるハワイラバー。

    どうか、生きて。『9月1日 母からのバトン』

    一覧へ戻る

    女性誌で初。一冊まるごとSDGs特集『FRaU OCEAN』

    RECOMMENDおすすめの記事