このパンがすごい!

これはおにぎりではないか! 総菜ベーグルという新境地/123ベーグル

これはおにぎりではないか! 総菜ベーグルという新境地/123ベーグル

ケースの中に並んだベーグル

 「総菜ベーグル」という新境地を切り開く店が、日本橋小伝馬町にある。客足は引きも切らず、極小店舗の窓口前に、いつでも数人が並んでいる。営業中ずっと焼きつづけており、まだほのあたたかいベーグルにあたることもしばしばだ。

 こんがりとダークブラウンに焼きあげられ、ぴかぴかと光沢を放つ。まるでハード系のように厚い皮を持つ“甲殻”ベーグル。実は、小麦と米粉(島根県・岩田農園の「仁多米」)のハーフ&ハーフで作られている。ベーグルというと手ごわいイメージだが、グルテンのない米粉だけに、そうはならない。皮はばりばりと割れ、瓦せんべい的な心地よい甘さ。中身はもっちり、弾まず、やさしく沈む。ちゅるっと溶けて現れる、清らかな甘さの中に、ごはんのしみじみとした風味と、小麦の香り両方が。小麦とお米による呉越同舟の共同作戦が繰り広げられるのだ。

これはおにぎりではないか! 総菜ベーグルという新境地/123ベーグル

プレーン

 だから、クリームチーズやサーモンをはさむNY的な食べ方だけでなく、和の味付けを懐深く許容する。「鶏そぼろ肉味噌&しそチーズ」はスタミナの塊。鶏そぼろで作った肉味噌と大葉を生地に巻き込む。もちもちと噛(か)みつけば、ぷにゅりはみだす肉味噌にお米の甘さが結びつき日本人のDNAをびんびんと揺さぶる。これはおにぎりではないか! こってりな味噌を大葉がさわやかにし、山椒(さんしょう)が後味をさっぱりと締める。

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鶏そぼろ肉味噌&しそチーズ

これはおにぎりではないか! 総菜ベーグルという新境地/123ベーグル

鶏そぼろ肉味噌&しそチーズ断面

 「123ベーグル」の店主、内田真人(まさひと)さんは、なぜベーグルを米粉で作りはじめたのか。

「もともとお米が好きで。家内の実家がある奥出雲でお米を食べて、すごくおいしいなと。パンブームで、パンの消費が増えている。お米の消費量は低迷。パンを食べる人にお米を訴求できないかなと思って、米粉で食パンを作ったり、いろいろ試したら、ベーグルがいちばんフィットした。ベーグルは、生地自体に油脂、卵、乳製品を使わず、ヘルシーですし」

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内田真人さん

 もともとメーカーの営業だったが、「お米が好き」の一念で未経験のまま転身。亀有のアパートの一室からベーグルショップをスタートさせた。

「学校も行ったことなければ、パン屋に勤めたこともない。まったく作り方がわかりませんでした。成形はyoutubeを見て覚えた。丸くならなくて、カブトムシの幼虫みたいなのになりました(笑)」

 ベーグルを横半分に切り、トーストするのも、皮のぱりぱり感が倍増しておいしい食べ方。「粒マスタード ポテトピザ」は、オーブンの炉床に当たった底がかりかり、上のポテトサラダはふわふわ、チーズがとろり。粒マスタードは酸味とマヨ的ななめらかさも与えて、ベーグルとの相性をよくしている。 

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粒マスタード ポテトピザ

 「ハモンセラーノ&カルピス発酵バター」。パンの王道の食べ方だが、ごはん味との出会いで、一周回って新鮮。焼きこんだ皮はむしろハード系的で、ばりばりーっと一気に噛み切れるため、意外にも「そう、これこれ」となる。内部は、お米でんぷんの甘さと麦の香ばしさ、生ハムからとろける脂の三つ巴。分厚く切ったカルピスバターがミルキーさを加速させる。

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ハモンセラーノ&カルピスバター

 「イベリコ豚の厚切りベーコンとマッシュルーム&チェダーチーズ」も納得のボリューム感。ぶるんぶるんのベーコンの噛みごたえがたまらない。お米と小麦の口溶けに、豚の脂とマヨがちゅるちゅる合流。しめじとベーコンの豪快な相性は、家でも試したい組み合わせだ。

 充実のサンドイッチは、注文後ひとつひとつ丁寧に作る。サバや、タンドリーチキン、テリヤキチキンなどボリュームのある具材をがっつりはさんで、誰でも大満足。ローストビーフ丼が一斉を風靡(ふうび)するように、ごはんと肉食の組み合わせは時代をつかんでいる。ジャパニーズベーグルの快進撃がつづく予感だ。

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外観

123BAGEL (ヒフミベーグル)
東京都中央区日本橋小伝馬町10-6
11:00~17:00(土曜は15:00まで)
日曜月曜祝日休み
https://www.instagram.com/123bagel/

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    PROFILE

    池田浩明

    佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
    日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)
    http://panlabo.jugem.jp/

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