リノベーション・スタイル

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

【S邸】  
Sさん夫婦(夫42歳、妻32歳)
神奈川県/73.73平米/築21年/

奥様のご実家のマンションをリノベーションして住むことになった、Sさんご夫婦。インテリア好きのSさんが、こだわって集めた家具が映えるようなシンプルな家を作りたいというのが、最初の希望でした。

3LDKだった間取りを、広めのリビングダイニングとベッドルーム、大きめのウォークインクローゼットに変更。シンプルな間取りだからこそ、暮らしやすいような工夫をしました。

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

グレーの壁がアクセントになっている寝室。左手の室内窓の向こうは玄関

例えば、リビングダイニングは、今は2人で広く使い将来は仕切って子ども部屋にできるように。また、ウォークインクローゼットは、ベッドルームから水周りに通り抜けられるように回遊式になっています。

ご夫婦の気持ちを変えるきっかけはタイルでした。家の主役は家具なのでリノベーションのこだわりは最小限にというご夫婦に、素材としてタイルを提案したところ、ショールーム巡りをするほどタイルにはまってしまったのです。

シンプルな家という全体のコンセプトは変わりませんが、タイル、モルタル、真鍮(しんちゅう)、木など使う素材をこだわることによって、Sさんらしさが表現された家になりました。

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

トイレの壁面は、小さなタイルをヘリンボーン柄に貼った。見切り材は真鍮(しんちゅう)

例えば、キッチンの設備は、色はグレーでデザインもスッキリしたもの。でも、素材は、木、モルタル、メラミンの異素材を組み合わせました。扉は積層材(薄い板を重ねたもの)を使い、取っ手としてカットした部分は、板の層が見えるようにしました。

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

キッチンはモルタルで造作。壁の黒いタイルが、水周りをぐるっと囲む

リビングダイニングの床は、リビング部分はヘリンボーンのムクのフローリング、ダイニング部分は木目調のタイルを使いました。そして、リビングの窓側のスペースにインナーバルコニーを作りました。ヘリンボーンの模様に合わせてジグザグの形にし、天然石の六角形のタイルをはったのです。

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

インナーバルコニーと脇に置いたチェア

実は、ここは奥様がこだわったスペース。タイルを見ているだけでも楽しくなるようにと、グレー、ブラウン、グリーンなど、家の中のインテリアが集約しているような絶妙な色合わせになっています。小さいスペースですが、この家を象徴するような場所になりました。たくさん持っていたグリーンをここに並べて、楽しんでいるようです。

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

インナーバルコニーには天然石のタイルを

住む人らしさが表現できるのが、リノベーションのだいご味です。間取りを大きく変更する、家具を造作する、壁に色を塗るなど、できることは色々あります。今回は、間取りやインテリアはシンプルにし、素材選びにこだわりました。床や壁などの素材を変えると、家の雰囲気が大きく変わります。「自分らしい住まいとは?」を考えるときに、参考になるお宅です。

Sさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A

1 今回のリノベーションで一番大切にしたことはなんですか?

日々を快適に過ごすために空間をなるべく広く、明るくしたいと思いました。家全体はシンプルに、個性は質感で表現しました。これで完成ではなく、今後に余地をもたせることも大切にしました。

素材選びにこだわって、シンプルな家が個性的に

夫婦で寝転がれる大きなソファに、人工大理石のテーブル。リビングの一角にはインナーバルコニーが

2 ご自分が想像していたリノベーションとの違いはありましたか? 
 
以前に住んでいた物件が、いずれも天井が高いデザイナーズマンションだったため、天井が低くなることで狭くならないかと懸念していました。でも、広く明るい空間になったので、気になりませんでした。日々をカフェにいるような気分で、快適な自宅の時間を過ごせるようになりました。
また、オープンキッチンの油跳ねや換気のにおい残りが不安でしたが、実際に暮らしてみたら問題ありませんでした。

実際には、照明のレイアウトが完成するまでイメージできず、考えるのが難しかったです。あと、食器洗い機は意外と使うことがなかった。今後、家族構成が変わると使うのかな……。

3 リノベーションのプロセスで楽しかったことは?

シンプルな中に個性を出すために海外の住まいを調べたり、ショールームを回ったりしました。新しいものを見つけてはリストを更新して、それに合うインテリアを考えてCGで作り、完成を妄想するのが楽しかったですね。

(構成・文 大橋史子)

リノベーションの写真のつづきはこちらへ
写真をクリックすると、各部屋の詳細をご覧いただけます。

関連記事

  • 飲み屋のような家にしたい! 好きを突きつめた家作り

    飲み屋のような家にしたい! 好きを突きつめた家作り

  • リフォーム済みの物件。ちょっとのリノベでもっと心地よい空間に

    リフォーム済みの物件。ちょっとのリノベでもっと心地よい空間に

  • 組み合わせを楽しむ。間取りの知恵と暮らしの工夫

    組み合わせを楽しむ。間取りの知恵と暮らしの工夫

  •   
    >>リノベーション・スタイルのバックナンバーはこちら

    PROFILE

    石井健

    「ブルースタジオ」執行役員
    1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
    ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
    http://www.bluestudio.jp/

    制約のある物件で実現した、やりたいことがギュッと詰まった暮らし

    一覧へ戻る

    「自分らしい暮らし」をもう一度考えるイベント、RENOVATION EXPO JAPAN TOKYO×FARMER'S MARKET

    RECOMMENDおすすめの記事