花のない花屋

17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

〈依頼人プロフィール〉
樋口弘美さん 47歳 女性
愛知県在住
看護師

     ◇

今から17年前のこと。結婚のごあいさつで夫の実家に伺ったとき、とてもステキな笑顔で迎えてくれたのが義父母でした。緊張が一度にほぐれ、一目で2人が大好きになりました。

長男を授かり、つわりで苦しんでいたときは、カブの酢漬けを作ってくれたり、においに悩まされていると言えば、消臭効果のある竹炭を送ってくれたり……。いろいろと気遣ってくれ、そのときのことを思い出すと感謝しかありません。

子どもが大きくなって保育園に通いだしてからは、息子の体調が悪くなるたびに、嫌な顔ひとつせず、電車を乗り継いで駆けつけてくれました。もちろん私の両親も助けてくれましたが、長期間になると両親にも疲れが出てきます。私たち夫婦も仕事が休めるのはせいぜい週に1日。そんなときは本当に頼りになりました。その後娘が2人生まれてからもお世話になりっぱなしです。

義父母は、海と山に囲まれた自然豊かな場所に住んでいます。2人は地元で生まれ育ち、出会って結婚しました。

義母は昔、民宿を営んでいたので、お料理がとてもうまく、煮物や炒め物などは本当に絶品です。「私は田舎料理しか作れないから……」と言いますが、義母の煮しめが食べられるのがうれしくて、私はお正月に帰省するのを心待ちにしています。今年80歳になる義父は、定年退職後に塩作りを始め、今も現役。道の駅のような場所で塩を売っています。野菜作りの名人でもあります。

子どもたちもおばあちゃんとおじいちゃんが大好きで、学校や塾、部活動の合間を縫って子どもたちだけで電車や自転車に乗って会いに行くこともあります。

そこで、お世話になりっぱなしの義父母へ「いつも私たち家族を気にかけてくれてありがとう」「新鮮な海産物や野菜を持たせてくれてありがとう」「子どもたちにこっそりお小遣いを渡してくれてありがとう」「私のグチを聞いてくれてありがとう」「おかずたくさん作り過ぎちゃったからと言って、本当はわざわざ余分に作って持たせてくれてありがとう」……と数えきれないこれまでのありがとうを込めて、花束を贈りたいです。

私たち家族と義父母、二つの家族の架け橋を象徴するような、「虹」をイメージした花束だとうれしいです。

17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

花束を作った東さんのコメント

今回はご希望通り、まさに「虹」のアレンジです。自然なグラデーションになったのは、多種多様な花を使って一つの色を表しているから。たとえば、下記のような感じです。

紫:アスター、クレマチス、ビバーナムティナス

ブルー:リンドウ、デルフィニウム、ブルースター

グリーン:オオニソガラム、グリーンローズ、セダム、ナデシコ、ヤツデの実

イエロー:スプレーバラ、カラー、トリトマ、フリージア、カンガルーポー

オレンジ:ダリア、ガーベラ、ケイトウ、マリーゴールド、バラ

赤:ジニア、ケイトウ、トウガラシ、ガーベラ、バラ、カーネーション

ピンク:バラ、カラー、ガーベラ、ブバルディア、カーネーション

少なくても3種類、多いと6種類も使っていますので、同じ色の中でもグラデーションができています。枯れた花を抜くときに初めて「あ、こんな花もあったんだ!」と気づくかもしれません。それほどたくさんの花を使っています。

少し低めのテーブルに置いて、上からのぞき込んで虹色を楽しんでいただいてもいいですし、昼間は暖色系、夜は寒色系といった具合に、花の正面をくるくる回して楽しんでいただいてもいいかもしれません。これからもすてきな関係が続くといいですね!

17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

(&編集部/写真・椎木俊介)

>>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み


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    「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
    こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
    花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
    詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    17年前の笑顔から、数え切れないありがとう 義父母へ架け橋の虹を

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。

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    http://azumamakoto.com/

    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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