このパンがすごい!

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

外観

 格子窓と板張りの外観。引き戸を開ければ、石畳の床から立ち上がった平台に、いかにもやわらかそうなパンがずらーっと。パン屋には似つかわしくないけど、根津という町のイメージにはぴったり、という和テイストの店。その名もずばり「根津のパン」。

 かわいい丸パンがたくさん。見た目だけで、ぽわぽわした食感が想像できる。その中のひとつ「はちみつジンジャーロール」。もっちりの権化。もわんと愛くるしく沈んで、ふにゃあととろける。はちみつが甘く、しょうがひりひりという、自家製ジンジャーエール的相性に、マスカルポーネが初恋的な甘さ、ミルキーさをにじませる。

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

はちみつジンジャーロール断面

 かわいさ、食べやすさ、もっちり感、甘さ、口溶けよさ。子供からお年寄りまで、万人受け要素をセットで取り揃えた「ずるい」パン。生地や具材を変えつつ、形はすべて丸、というパンたちが、7種類も並んでいる。

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

(後列左から)オリーブフロマージュ、はちみつジンジャーロール、オレンジミルクティーロール
(手前左から)ちびフロマージュ、ちびくろまめ、はちみつロール、ミルクロール

 いま谷根千界隈でパンの盛りあがりがすごい。以前はベーカリーが多い地域ではなかったが、ここ2、3年で話題店が続々と登場している。そんな流れの起点は、野口将義さんが立ち上げた「カヤバベーカリー」。同店撤退後、野口さんが根津に居残ってはじめたのが、「根津のパン」。豆腐屋だった物件をそのままパン屋として引き継いだ。

「この町はおもしろい。群馬の奥のほう出身なんですが、似ている感じがして、親しみがあります。東京にある村。人と人とのつながりが濃くて、僕の田舎の人たちみたいだなって」

 さっきパンを買いにきたおばあちゃんが再び現れ、「道で会った人にパンをあげちゃったから、また買いにきたよ」。あるいはランドセルを背負ったままの小学生が小銭を握りしめて。根津散歩の観光客と地元民入り乱れ、客足が閉店まで尽きることがない。

 小腹を満たすパンには事欠かない。「チーズのミニ山食」も2口、3口で食べきれるかわいい食パン。表面の焼けたチーズが、鼻がひりひりするぐらい香ばしい。皮は極薄でぱりぱり。特に角の部分のほろほろ感、香ばしさがたまらない。中身はエアリー+しっとりで、「はちみつジンジャーロール」同様にふにゃあととろける。バターの甘さがチーズの癖のある香りを和らげる好バランスだ。

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

チーズのミニ山食

 国産小麦を使用、水分を多めに入れて、もっちりしっとりなパン。長時間発酵の温度は冷蔵が一般的だが、高めの15~16℃に設定。「冷蔵発酵より旨(うま)みと風味が出る気がします」。

 ひとつの生地に複数のパン種を加えて、風味の奥行きを出す。前述の「チーズのミニ山食」に使用されるパンドミ生地には、レーズン種とポーリッシュ種。レーズン種は甘さを、ポーリッシュは熟成香で小麦の風味を引き出す。

 同じくパンドミ生地を使った「ぶどうパン」は、いわゆるレーズン食パン。加水多めの生地がぷるんぷるん、北海道産小麦のミルキーな甘さがとろける。と同時にレーズンがジューシーに弾け、ぶどうジュースと麦ジュースが交錯するのはなんとも甘美。トーストすれば耳が香ばしく、ばりっとなるからたまらない。

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

ぶどうパン

 おいしいパンを作る上で、野口さんがなにより重視するのがタイミング。

「(生地のかたまりをひとつ分のパンの大きさに)分割するタイミングがちがうだけで味気なくなっちゃうんですよね。成形するタイミング、焼くタイミングもそう」

“谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

ベーコンエピ、大葉チーズベーコンエピ、バゲット

 風味へのこだわりを皮が物語っていた。「大葉チーズベーコンエピ」を食べたときだ。フランスパン生地の皮がとんでもなく香ばしくて驚いた。しかも超ぱりぱり。小麦の旨みとベーコンの旨み、それをシソがさっぱりといなす、豚シソチーズ巻きを思わせる和の相性。やっぱり根津によく似合うパンだ。

根津のパン
東京都文京区根津2-19-11
10:00~19:00(売り切れ終了)
月曜木曜休
https://www.instagram.com/nezunopan/?hl=ja

>>店内やパンの写真をもっと見る ※写真をクリックすると、拡大表示されます

こんなお店もおすすめ

  • “谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

    名物は食パン。次の「パン飲み」はここから始まる!/Cise


    東京都・台東区

  • “谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

    Instagramで世界のトップベイカーと交信して作りあげた最先端ベーカリー誕生/ VANER


    東京都・台東区

  • “谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

    「はやりの小さなパンの真逆を(笑)」豪快に笑う店主のパン/ベーカリーミウラ


    東京都・文京区

  • “谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

    5日がかりのふわふわ 伝統製法のパネトーネ/パーネ エ オリオ


    東京都・文京区

  • “谷根千界隈”の起点! かわいい丸パンと皮パリパリのフランスパン/根津のパン

    懐かしくて新しい 食いしん坊シェフの総菜サンド/ロワンモンターニュ


    東京都・北区

  • >>まとめて食べたい!「このパンがすごい!」記事一覧

    >>地図で見る

    PROFILE

    池田浩明

    佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
    日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)
    http://panlabo.jugem.jp/

    これはおにぎりではないか! 総菜ベーグルという新境地/123ベーグル

    一覧へ戻る

    さすが草加のバゲット! 旧街道の町に最新技術の「ぐっとくる」新店/おーぐぱん

    RECOMMENDおすすめの記事