このパンがすごい!

さすが草加のバゲット! 旧街道の町に最新技術の「ぐっとくる」新店/おーぐぱん

さすが草加のバゲット!  旧街道の町に最新技術の「ぐっとくる」新店/おーぐぱん

おーぐフランス

 松尾芭蕉も歩いた、埼玉県草加の旧日光街道。どこまでもまっすぐに伸びる道を北へ歩いていく。ときどきある古い建物に旧街道の趣が残る。せんべい屋が多くなるエリアの少し手前。和風の建物が意表をつく「おーぐぱん」が、「心にぐっとくる場所」をテーマに、11月22日にオープンした。

 草加生まれ、草加育ちの小倉拓馬シェフが、埼玉県民の誇りを胸に、埼玉県産小麦「ハナマンテン」を使って作るバゲットが「おーぐフランス」。さすが草加のバゲットである。せんべい的なざくざく感。板が割れるように爆裂する。中身はしっとりもっちりで、後味でも小麦のフレーバーがしっかり鼻腔へと駆け上がる。

さすが草加のバゲット!  旧街道の町に最新技術の「ぐっとくる」新店/おーぐぱん

おーぐフランス

 数々のコンテストで受賞経験のある実力者。バゲットのレシピは、小麦の特徴を捉えたものだ。

「ハナマンテンを補うため、灰分(ミネラル)の高い粉と50%ずつ合わせています。ハナマンテンは吸水が遅いところがあるので、湯種を使い、こねる前に粉と水を合わせて1時間おいています」

 そのかいあって、しっかりと焼き込んでいることもあり、砂糖を入れたかのような超甘い皮が実現している。

 同じ生地にラードを加えて歯切れのよさをだした「ミルクフランス」は、せんべいにつづく草加名物になりそうだ。こちらは浅く焼いているせいで、かえってハナマンテンの埼玉的土着っぽい香りが表現されている。そこへ甘さ控えめのミルククリーム。ミルクの風味は芳醇(ほうじゅん)なのに、味わいはあっさり。ゆえにすいすい食べられて、ハナマンテンの風味とも響き合う。甘さの引きが早いので、バゲットの後味の旨味(うまみ)まで味わえる。

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ミルクフランス

 さわやか系ミルククリームの秘密は材料にある。

「バター、粉糖。それから、練乳を使わず、脂肪濃縮乳を使用。甘さを出さないで、コクや香りを出すことができます」

 クリームといえば、「クリームパン」も忘れてはならない。やわやわである。ふさっとあっけなくちぎれ、勝手に溶ける。クリームがとろとろ、押し寄せるバニラの波が生地をあっというまに飲み込んでいく。

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クリームパン

 これだけとろとろなクリームを包むのもたいへんであろう。と同時に、これだけやわらかく、クリームと同じぐらい口溶けのいい菓子パン生地を作るのはもっとたいへんであろう。

「油脂を多めに入れることで歯切れをよくしています。ミキシングの前にバターをホイップして、グルテンができあがる前に入れる。生地になじみやすいのでミキシングにも時間がかかりません」

 バターがグルテンを切ってくれるので、やわらかく口溶けのいい生地ができるというわけだ。

 リボン型の「クロワッサン」は、細身のイケメン。細いだけに皮の比率が多いのも手伝って、驚きの超ぱりぱり、超かりかり。にもかかわらず、じゅっとバターがにじみ、ミルキーに香りまくる。

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クロワッサン

 「カレーパン」にまぶした、バゲット生地、食パン生地という自家製のパン粉2種が、かりかりとさくさくのツープラトンで爆裂。マッシュポテトを混ぜた生地はタピオカ的もちもち感。濃厚な黒カレーの中にはレンコンがしゃきしゃきと。

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カレーパン

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カレーパン断面

 ここまで読んでいただいて、お気づきだろうか。紹介したパンすべてが、ネタモノでも飛び道具でもなく、どこにでもある極めてオーソドックスなパン。だが、どこかにアイデアや、おもしろい食感や、食べやすくするための工夫がビルトインされている。これこそが小倉シェフの考える「ぐっとくる」パンだ。

「主張はしないように、でも、ちょいちょい工夫を入れて。工程は増えるし、たいへんではあるのですが、でも自分のお店ですから、勤めていたときにはできなかったことをやりたい」

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外観

 古めかしいパンが、ぱっと見にはわからないけれど最新の技術と工夫で作られる。おかげで、おーぐぱんは、お年寄りや子供で早くも大にぎわい。江戸時代からつづく町ににぎわいがやってきた。

おーぐぱん
埼玉県草加市神明1-2-31
048-959-9202
https://ogupan.com
9:00 – 19:00(売り切れ終了)
月曜休

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    PROFILE

    池田浩明

    佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
    日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)
    http://panlabo.jugem.jp/

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