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佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

  
一見すると清楚。でも、その実態は……。愛されたいのに傷つくことを恐れ、男心を弄ぶ“ビッチ”なひろみがやがて大切な人と出会い、新たに一歩を踏み出す。コミックエッセイ「“隠れビッチ”やってました。」が映画化されました。

ヒロイン・ひろみには今作が映画初主演となる佐久間由衣さん。一途なバツイチ男性や真面目すぎる草食系男子、単純でノーマルな文化系男子にIT企業勤務の肉食系男子など、幅広いタイプの男性たちを翻弄する“隠れビッチ”な役に挑んだ。

そんな佐久間さんが映画公開を前に、ひろみが友人の彩(大後寿々花)と住むシェアハウスのオーナーで、バイセクシャルのコジを演じた村上虹郎さんと対談。二人に役柄から恋愛観まで幅広く語ってもらった。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

―― 佐久間さんはひろみが観客に共感を持ってもらえるように、どのような役作りをされましたか。また、村上さんが演じるコジは、同居する二人の女性を見守るような役ですがいかがでしたか。

佐久間 台本を読んでいた時は、「この子が主人公で果たして応援してもらえるキャラクターになるのかな」という不安はありました。撮影中は監督から何回も「(ひろみとして)まだ振り切れていない」と言われ続けていたので、自分を壊していくことで演じる自分の痛々しさがひろみの痛々しさになっていけばと思っていました。小器用に演技することではなく、一生懸命演じている姿が「この子って滑稽だな」と見えるのかもと。気づいたのは終わった時でしたが。やっている時はとにかく振り切って、がむしゃらにやるしかなかったですね。

村上 でも、楽しんでましたよね?

佐久間 楽しかった! ひろみみたいな役が来ることなんて滅多にないから(笑)

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

村上 僕の役、コジの年齢は自分より年上なんです。彼は大変な女子二人を同居人にしていて、彼女たちの守護天使的なところもあれば、お母さん的なところもあります。コジはバイセクシャルという設定ですが、彼のアイデンティティーは僕の中ではゲイ(同性愛者)だと思っていて。僕も三木康一郎監督もその点について詳しくはないので一緒に作り上げていきました。ゲイの友人が、新宿二丁目に連れていってくれたり、僕に似合うパンツを選んでくれたり。

―― ご自身と演じたキャラクターとの共通点はありますか。ご自分とは全く違う役を演じる時はどのように役にアプローチしていくのでしょうか。

村上 ひろみと佐久間さんとの共通点は、ひろみで言えば「モテたい」「好きって言われるところまでの承認願望を満たしたい」「幸せになりたい」という成し遂げたい欲望があって、そこにひたむきに努力している。いい意味でその姿は佐久間さんと変わらないと思いますね。アウトプットする方法が違うだけであって、熱量の持ち方は変わらないんじゃないかなという印象があります。

佐久間 ありがとうございます。虹郎くんとコジの共通点は……。性格的な話だと、虹郎くん本人は自由奔放。なんて言うんですかね、「感覚モンスター」みたいな感じです(笑)。でも、どこか包容力がある方。コジはそもそもそういう存在ですが、虹郎くん自身も困っている人に対して放っておけないところがあるでしょ?

村上 あるかもしれない。

佐久間 そういうところが共通点なのかな。映画でコジに説教されるシーンがあるんですが、私の中ですごく説得力がありました。

村上 でも、説教好きなわけじゃないですよ(笑)。映画の中の「ちゃんとした人間になりなさい」という台詞は、僕としては「よく言うな、お前」って感じでした(笑)。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

佐久間 どうすれば役になれるのか、役にアプローチしていくって難しいですよね。でも、私は「素のままの自分でいてください」と言われる方が苦手かもしれない。

村上 なるほどね。そう言われることって多いよね。

佐久間 多いですね。仕事の時に意識しないことなんて一つもないのに困ってしまいます。多分いい意味で言ってくださっていると思うから、そう言われるのは嬉しいんですが。

村上 確かに。でも、この映画に限らず、佐久間さんは演じる時に、他の作品を見たり本を読んだりそこから演じる役にインスピレーションを受けることはありますか。役に似ているような人に会うこともありますか。

佐久間 私は本が多いですかね。「(このキャラクターって)あの小説に出てくるあの子みたい」とか。映画やドラマだと俳優の方がお芝居しているわけだから、自分とは違うし、その人と比べたりしてしまうので難しい。ただ、私の周りにこういう似た子がいる!って思ったら、その子に会って観察します。

村上 作品の参考にって言わないの?

佐久間 言わない! こっそり研究しています。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

―― ところで、佐久間さんご自身は、ひろみのように男性を振り向かせたくなるタイプですか。

佐久間 私は、私に向いてくれない人に興味がそそられるかもしれません。

村上 追いたいんだ!? わかる(笑)。

佐久間 自分に好意を寄せてくれる人のことを、どちらかというと疑ってしまうんです。本当かな? みたいな。虹郎くんは?

村上 僕は追いたいなぁ。追う方じゃないと恋愛じゃないというか……。僕はものすごくモテたことがないのでよくわからないですけど(笑)、基本は男性の方からいくと思うんです。動物的にいったらそうじゃないですか。ただ、いまの時代は女性からというイメージもあります。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

佐久間 確かにそうですね。私の理想ですが、男性は積極的であってほしいな。虹郎くんは実際にひろみみたいな女性と会ったことはありますか。

村上 あるのかな。実被害を受けたことがあったとしても無自覚ですね。ひろみのような女性なら無自覚もあり得るじゃないですか。知らずにハマっているという怖さはあります。彼女のような女性に自分が恋をすることになったら困ります。他人を見ているだけなら面白いですけど。

佐久間 コジみたいにね(笑)。私は自分の友だちがひろみのようだったら、説教してしまうかもしれません。友だちでなかったらそこまではしないな。距離を置いてしまうと思います。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

村上 “隠れビッチ”な女性って、あからさまな場合はわかると思いますが、ひろみの場合は本当に上手。映画の最初の方で騙されている男性たちはみんな上手に騙されている。そういうことは実際にあると思います。でも、逆に佐久間さんに聞きたいんですが、今回出てきた男性たちの中でアプローチするのが難しかった男性っているんですか。

佐久間 えー!? みんな一瞬だったからどうかなぁ。

村上 でも、それぞれの好みってあるじゃない?

佐久間 そうね。アプローチということではないけれど、(タクシーに押し込まれて連れて行かれそうになる)片桐仁さんが演じたIT企業勤務の肉食系はスリリングではありました。すごく。

村上 たぎってましたからね。でも、佐久間さん理想の積極的な男性ですよ。

佐久間 違う違う。彼はちょっとガツガツしすぎです! 相思相愛だったらいいけど(笑)。実は私、監督から受けた指導は、前半の“隠れビッチ”を演じている時の方が多かったんです。20回くらい撮り直したシーンがありました。

村上 誰とのシーンですか。

佐久間 戸塚純貴さん演じる真面目すぎる草食系男子とのデートです。美術館のチケットを受け取ったあと、本当は美術館に行くまでにエレベーターに乗るシーンがあったんですよ。そこで戸塚さんが一人残されたあとに、私が悪女面をするという。これがとても難航しまして。結局使われませんでした。悔しかったですけど、監督が選んだものが全てなので、この物語にこのシーンは必要なかったんだと受け留めました。現場ではいい経験させてもらえたと思いましたし。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

―― 最後に、お二人がこの映画に出演して得たことやプラスになったことを教えてください。

佐久間 いっぱいあります。私は三木監督との出会いが大きかったです。映画が出来上がった時に、いろんな人の愛情を感じたんですが、特に三木さんは全てにおいて厳しいことも正しすぎて困ることも含めて、いろいろなことを言っていただきました。初主演映画ということもありますが、みんなに支えてもらって神輿担ぎされて終わった感じです(笑)。

村上 三木監督は面白い方です。現場に行くまでのキャラと現場に入ってからのキャラが結構違うスタイルと言いますか。僕も若干そういうところがあるんですが、普段ふわふわしていて、「やる時はやる」という方だと思いました。

佐久間 え、そんなこと思ってたの?

村上 いま、あえて言っています(笑)。

    ◇
 
佐久間由衣
さくま・ゆい/1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。2013年ViVi専属モデル公開オーディションでグランプリを受賞。翌年「人狼ゲーム ビーストサイド」で映画初出演。15年「トランジットガールズ」(フジ系)でドラマ初出演にして初主演を務める。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17年)でヒロインの親友役を演じ、一躍脚光を浴び、結婚情報誌『ゼクシィ』の10代目CMガールに抜擢。その他、主な出演ドラマに「明日の約束」(フジ系)、「チア☆ダン」(TBS系)ほか。現在はNTV系ドラマ「ニッポンノワール -刑事Yの反乱-」に出演中。映画に「あの日のオルガン」(19年)など。「屍人荘の殺人」が12月13日から公開

村上虹郎
むらかみ・にじろう/1997年3月17日生まれ、東京都出身。2014年、第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作「2つ目の窓」で俳優デビュー。15年に「書を捨てよ町へ出よう」で舞台初出演、初主演を飾る。主な映画出演作に、「ディストラクション・ペイピース」(16年)、「武曲 MUKOKU」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(以上17年)、「犬ヶ島」「銃」(以上18年)、「ある船頭の話」「楽園」(以上19年)など。主演映画「ソワレ」が20年に公開予定。2020年2月より初のミュージカル出演となる「ウエスト・サイド・ストーリー」Season2の公演を控える。

佐久間由衣さん×村上虹郎さん「恋愛は追われるより追いかけたい」

「“隠れビッチ”やってました。」
一見清楚だが、実は男心を弄ぶーー。そんな“隠れビッチ”なヒロインが、人を愛することを知り、自分自身と向き合い成長していく物語。監督・脚本:三木康一郎 原作:あらいぴろよ『“隠れビッチ”やってました。』(光文社刊) 出演:佐久間由衣、村上虹郎、大後寿々花、小関裕太、森山未來ほか。全国公開中。
© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社
 

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