ダンスが織りなす青春ドラマ ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」

ダンスが織りなす青春ドラマ ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」

トニー(リチャード・ウィンザー)を中心に華やかなディスコダンスが繰り広げられる

回転するミラーボール、軽快に弾むサウンド、熱い風が巻き起こるこの空間。おお、これがディスコというものか! 東京国際フォーラム(東京都千代田区)で29日まで上演中の、イギリス発のダンスミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」。世界で大ヒットし、ディスコブームをもたらした1977年公開の同名の映画が舞台化され、イギリスのカンパニーが来日公演をしている。

観客たちは席を立って、出演者とともにダンス、ダンス、ダンス。ユーロビート、EDM、トランス、ハウス、テクノ、クラブ、ヒップホップ……現代に至るダンス音楽のもとをたどれば、なるほど、必ずディスコを通るのか。

挫折、そして恋と成長の物語

開幕直前、ニューヨークの喧噪(けんそう)が聞こえてくる。開幕と同時に流れ込んでくるのが、ファルセットの高音が耳をつんざく「ステイン・アライブ」。70年代後半以降のビージーズの代表曲で、米ビルボード誌のチャートで破竹の勢いをみせたメガヒット曲だ。

映画は、平日はペンキ店員、土曜の夜にはディスコの華に変身するジョン・トラボルタ扮するトニーの青春の挫折を中心に描く。ディスコで、向上心豊かな女性ステファニーに巡り合い、心を変化させてゆく青年の恋と成長の物語でもある。

ダンスが織りなす青春ドラマ ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」

芝居の場面で、ウィンザーは心の揺れを繊細に表現する

映画公開40周年を機に、舞台化された。舞台でトニーを演じるのは、英国の俳優・ダンサーのリチャード・ウィンザー。鬼才マシュー・ボーンが振り付けた「スワン・レイク(白鳥の湖)」などで注目された。

舞台は、ほぼ映画の進行に沿う。ビージーズ役も出演し、3人のボーカルが「ナイト・フィーバー」「モア・ザン・ア・ウーマン」などを次々披露する。曲に合わせたダンス、直後の芝居、またダンス、芝居……。この目まぐるしい場面転換にもかかわらず、出演者たちは呼吸を乱さず、ダンサーとして俳優として、それぞれの表現に打ち込んでいく。ダンスシーンではフロアも様々な色光を発し、大きなミラーが下りてきて、客席を向くダンサーの背中も鏡越しにみせる。

ダンスが織りなす青春ドラマ ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」

バラード調の曲が流れれば、濃厚でしっとりしたダンスも披露される

ウィンザーは「ディスコのダンスはスタイリッシュに決めて、がんばっているように見せず、リラックスしているように見せるところがクールなのです」という。

後半の曲「イモータリティ」では、苦悩の描出にダンスで挑む。「トニーの将来の可能性のようなものを表現できれば」とウィンザー。本舞台の見どころの一つでもある。

「このドラマは人生の旅。ジョン・トラボルタの真似をすることはできない。映画と舞台の中間点を探るような気持ちで演じています。観客も交えた音楽の祝福になればいいと思います」

ダンスが織りなす青春ドラマ ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」

トニー(ウィンザー)は、ディスコで知り合った女性ステファニー(オリヴィア・ファインズ)に憧れていく。ダンスのデュエットに客席はうっとり

終盤のシーンで、トニーとステファニーの2人は手を握って未来に歩み出す。流れる曲は、名バラード「愛はきらめきの中に」。握り合う2人の手は青春の交差点を織りなす。格好良いダンスあり、演技中に着替えるシーンあり、希望に満ちたストーリーありで、閉幕のころには胸がジーンと熱くなる。

音楽で、ダンスで、一体になる会場

公演のアンバサダーを務めるのは、DJ KOOとアンミカ。ディスコ世代ど真ん中のDJ KOOは「舞台から得た元気をふだんの生活にフィードバックしてほしいです」と力を込める。

ダンスが織りなす青春ドラマ ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」

ゲネプロのカーテンコールでは、ウィンザー(前列左)らによる「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」のダンスに、アンバサダーのアンミカ(前列左から2人目)、DJ KOO(同3人目)も参加した。そろって「サタデー・ナイト・フィーバー」の決めポーズ

アンミカは「みんなと一つになれる」と、ディスコの魅力を熱弁する。その一体感は、今回の舞台でもきっと感じられるはずだ。「私はもう、ウィンザーの骨、肉、野性味溢れる目を、キャーキャーいいながら見たいですね。音霊(おとだま)も感じられると思います。出演者も観客も、一緒にディスコにいる感覚になれるはずです」

アンコールでは「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」が流れる。その時、舞台と客席は――。ぜひとも会場で体験してほしい。

(文・米原範彦 写真・ヒダキトモコ)

■info
2019年12月29日まで
東京国際フォーラム・ホールC(東京都千代田区丸の内3-5-1)
S席1万3千円、A席9千円など

ビル・ケンライト演出、ビル・ディーマー振付
生演奏・英語上演(日本語字幕あり)
「サタデー・ナイトフィーバー」公式サイト(朝日新聞社など主催)

平井かずみさん「人と植物のつながりを、もっと取り戻せるような花を」

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