猫が教える、人間のトリセツ

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

人間を思うがままに操る、飼い猫たちの実例集「猫が教える、人間のトリセツ」。
月に1回、「猫と暮らすニューヨーク」の筆者、仁平綾さんとイラストレーターのPeter Arkle(ピーター・アークル)さんでお届けします。

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人間にとってもヒーリング効果があるとか言われている猫のゴロゴロ。そういえば、愛猫のゴロゴロ音を携帯電話に録音し、仕事場で聞いてニヤけていた猫好きの知人もいましたっけ……。はちみつ料理研究家の河村千影さんと暮らす愛猫グーちゃんの場合、ゴロゴロは大音量、しかも四六時中。どうやら普通のゴロゴロとはちょっと違うようなのです。


今から14年ほど前、たまたま買い物に出かけた二子玉川で、動物と触れ合えるレジャー施設に立ち寄った河村千影さん。併設のペットショップで、子猫にしては大きくなってしまった(つまり売れ残ってしまった)、仏頂面のブリティッシュショートヘアのオス猫を見つけたのだそう。兄弟猫はみな行き先が決まった模様で、「これは放っておけない!という母性が働いて、抱っこさせてもらったんです。渋い顔をしたままゴロゴロいうので、もうかわいくてかわいくて」

当時、3歳になるオス猫を飼っていた河村さん、ダンナさんとも相談の末、その日はそのままペットショップを後にしたと言います。それでも猫が気になり、翌週に友人と再訪したところ、仏頂面の猫はまだそこに。

「家に連れて帰ることにしました」

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

仏頂面のグーちゃん、14歳。趣味は段ボールやポリ袋の端っこをかじること

河村さん一家に加わったグレーのオス猫、グーちゃん。先住猫のにゃーちゃんと遊びたい一心でちょっかいを出すも逃げられる日々。時には2匹でケンカもしたけれど、穏やかな性格のため、威嚇の「シャーッ」を繰り出すことはゼロ。

「爪切りなど、嫌なことにはシャーッと怒るにゃーちゃんを見ていたので、ケンカをしてもシャーッを言わないグーちゃんが不思議でした」と河村さん。

残念ながらにゃーちゃんは、2年前にホルネル症候群という病にかかり闘病の末に天国へ。「クローゼットの中ににゃーちゃんが隠れていて、それをグーちゃんが探す、ということをよくしていました。にゃーちゃんが亡くなった後も、グーちゃんがクローゼットを“開けて、開けて”と催促するのが悲しかったですね……」

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

河村さん夫妻にとって初めての飼い猫だった、先住猫のにゃーちゃん。享年17でした

シャーをしないグーちゃん。代わりに繰り出すのは、大音量のゴロゴロ。低音から高音までを奏でるゴロゴロは、「喉(のど)を鳴らすというよりは、全身からブルブル聞こえてくる感じ」。ごはんを食べる時もゴロゴロ。ブラッシングが大好きで、ブラシを見ただけで体をくねらせゴロゴロ。「寝ているとき以外、基本的にはしょっちゅうグルグル、ゴロゴロしています」

ある時、ワクチン接種を受けに動物病院へ行ったところ、診察台の上に乗ったとたん、逃げ腰になりながらゴロゴロを始めたグーちゃん。

「獣医さんは“ゴロゴロしていい子ですね~”と褒めてくれましたが、多分病院が嫌だったんです。注射が終わるとキャリーケースに率先して入りましたから」。ちなみに獣医師がグーちゃんのお腹(なか)や背中に聴診器をあてても、あまりのゴロゴロ音で何も聞こえず……。

ゴロゴロは、気分や体調を安易に見抜かれないための作戦なのでしょうか? 

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

「テンパってる時にもゴロゴロいっちゃうのが愛らしい」と河村さん。人懐っこいゴロゴロキャラで、たまに滞在する動物病院のホテルでも人気者

機嫌がいい時だけではなく、苦手なシチュエーションでもゴロゴロするグーちゃん。河村さんは、そんなグーちゃんの気分を見極めるのにいつも必死なのだとか。飼い主を攪乱(かくらん)するゴロゴロに、「今思えば、始めから翻弄(ほんろう)されていたのかも」と河村さん。

実は、グーちゃんがいたペットショップは、その後すぐに突然の閉店。河村さんが家に連れ帰っていなければ、グーちゃんはどうなっていたことか……。自分の行く末を案じ、持ち前のゴロゴロで河村さんにアピールをしたのではないか、とうわさされるグーちゃんなのでした。

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

明け方に枕元で鳴くというグーちゃん。早朝でも起きて、グーちゃんに「どうしたの?」と愛敬を振りまく河村さん。「そんな猫中心の生活をもう10年以上送っています(笑)」


河村千影
はちみつ料理研究家。一般社団法人日本はちみつマイスター協会理事。漢方スタイリスト・養生薬膳アドバイザー。フラワーデザイナーから、はちみつに出会い食の世界に入る。ただ甘いだけではないはちみつの味わいや活用法、その健康や美容への効果などを、協会主宰のセミナーやブックカフェでのワークショップ、薬膳料理教室、カルチャーセンターで教えている。『アロマトピア』156号(フレグランスジャーナル社)、特集「アピセラピーとミツバチの世界]で、はちみつと薬膳について執筆、レシピを寄稿。
https://www.instagram.com/chikagekawamura/

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

(c)フレグランスジャーナル社

次回は、1月下旬の配信予定です。

『猫と暮らすニューヨーク』が本になりました!!

ゴロゴロで翻弄する。by グーちゃん(飼い主・河村千影)

『ニューヨークの猫は、なぜしあわせなの?
75匹の猫と飼い主のリアルな暮らし』

仁平 綾 (著) 朝日新聞出版

猫と暮らすニューヨーク』として連載していたものから、
“猫の飼いかた”の部分に注目し、さまざまなアイデアや実践をセレクト、再編集した一冊。
個性豊かで愛らしい、NYの猫たちの写真が満載で、猫好き必読の書。

1760円(税込み)

>>「猫と暮らすニューヨーク」まとめ読みはこちら

PROFILE

  • 仁平綾

    編集者・ライター
    ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、『ニューヨークおいしいものだけ! 朝・昼・夜 食べ歩きガイド』(筑摩書房)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
    http://www.bestofbrooklynbook.com

  • Peter Arkle(イラスト)

    ピーター・アークル スコットランド出身、ニューヨーク在住のイラストレーター。The New Yorker、New York Magazine、The New York Times、Newsweek、Timeなど雑誌や書籍、広告で幅広く活躍。著書に『All Black Cats Are Not Alike』(http://allblackcats.com/)がある。

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