高山都の日々、うつわ。

#13 食器棚を整える。

#13 食器棚を整える。

新しい年が始まった。

年末はぎりぎりまで仕事が入っていたりして、
結局今年もバタバタ。
やろうと決めていた大掃除もなかなかできず、
ほんのひととき、実家での家族団欒(だんらん)を楽しんで
また東京の暮らしへと戻ってきた。

生まれ育った実家は居心地がいいけれど
やっぱり今の生活がある東京の部屋に戻ると
心の底からほっとする。

お正月、毎日おいしいものに満たされた
胃袋を休めたくて、キッチンに立つ。
やっぱりこの場所が落ち着くんだなあ。

今日はどの器を使おうかと食器棚の前に立つ。
そのとき、思い立ってしまった。
まっさらな1年のスタートに何かしたい。
そうだ、この部屋で一番大切な器たちを整えよう。

改めて食器棚に真剣に向き合ってみると、
この1年ですごく量が増えていたことに驚く。
「我ながら欲張りましたねえ」と笑ってしまった。

自慢ではないけれど、私は整理整頓が大の苦手だ。
自分で買い集めた器の山を前に、
どこから手をつけたらいいものかと途方に暮れる。

#13 食器棚を整える。

#13 食器棚を整える。

とにかく、棚に残すものとストックルームに移すもの、
ざっくりこの2チームに分けることにする。

ひとつひとつ器を手に取って、自分に問いかけてみる。
「この器は今、そばに置いておきたい?」
イエス、ノー、やっぱりイエス……。
整理整頓下手とはつまり、優柔不断なのだ。

こういうときは、まず整頓のルールを決めるのがいい。
この段はこういう用途・種類の器のスペースと定めてしまえれば
毎日の器選びもスムーズになる。名案だ。

一番上の段は毎日使う器たちの特等席にしよう。
二段目は去年から夢中になっているフランスのアンティークなど
白いお皿と、それによく合う古伊万里など日本の骨董(こっとう)の場所に。

三段目にはパーティーなどオケージョン用の大皿や取り皿。
加えて使用頻度にかかわらず、そばにあると心躍る
「何はともあれ好き」な器も少しだけ残すことにした。

整頓し終わると、器の量は半分ほどにまで減っていた。
少し引いて棚全体を見ると、心なしか大人っぽく、
上品な佇(たたず)まいになったような気がする。
たぶんそれはここ数年、惹(ひ)かれる器の雰囲気が変わってきたから。

#13 食器棚を整える。

#13 食器棚を整える。

5年ほど前、本格的に器に魅せられ始めた頃は、
日本の作家ものばかりに興味が向いていた。
作家ごとに個性が出る色や柄、それに合う料理を考えるのも楽しみだった。

でも最近はもっぱら白い器に手が伸びる。
同じ白でも、新しいもの古いもの、
作る人や生まれる場所によって、ひとつとして同じ白はない。
その奥深さを、もっと知りたいと思う。

そして、もうひとつ気が付いたこと。
生まれ変わった食器棚には以前よりずっと余白があって
どの器もゆったりとして、のびのびして見える。

あれもこれもと欲張ることは、ときに大切だ。
でも、ずっとそれでは息が詰まってしまうだろう。
そんなときは、一度立ち止まって考えてみればいい。

今、自分にとって必要で、大切なものは何か。
欲張りな気持ちを捨てたとき、そこには心地いい余白が生まれて、
そこにまた、新しい何かが生まれるんだと思う。

#13 食器棚を整える。

今日のうつわ

大嶺工房のオーバル皿

沖縄の読谷村で読谷山焼を作る大嶺工房は、器を集め始めた頃から大好き。中サイズのオーバル皿はサンゴ色と浅葱(あさぎ)色の色違い。春巻きやから揚げなど茶色いおかずを盛るととてもおいしそうに見えて、友人を招いて開催する「居酒屋みやちゃん」でもいつも大活躍。白いお皿が好きになった今でも、この二つは本当によく使っていて、これからもずっとなくてはならない存在です。

    ◇

写真 相馬ミナ 構成 小林百合子

PROFILE

高山都

モデル 1982年、大阪府生まれ。モデルやドラマ、舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広い分野で活躍。フルマラソンを3時間台で完走するなどアクティブな一面も。最近は料理の分野でも注目を集め、2作目となる著書『高山都の美 食 姿2』では、背伸びせずに作る家ごはんレシピを提案。その自然体なライフスタイルが同世代の女性の共感を呼んでいる。

高山都の日々、うつわ。

丁寧に自分らしく過ごすのが好きだというモデル・女優の高山都さん。日々のうつわ選びを通して、自分の心地良いと思う暮らし方、日々の忙しさの中で、心豊かに生きるための工夫や発見など、高山さんの何げない日常を紡ぐ連載コラム。

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