ほんやのほん

一流シェフのおいしいエッセー『つかれた日には鍋にキャベツとホロホロ鳥を放り込み』

一流シェフのおいしいエッセー『つかれた日には鍋にキャベツとホロホロ鳥を放り込み』

撮影/馬場磨貴

今回は、ホテルオークラ福岡の総料理長である谷内雅夫さんのエッセー『つかれた日には鍋にキャベツとホロホロ鳥を放り込み』をご紹介いたします。本書は、ホテルの食を博多から九州へ、そして全国へ発信したいという思いから作られた、同ホテルの情報誌「HAKATA spice」の連載を加筆、編集したものです。

私は、この本を同僚から紹介されました。新しい本の情報として「良い本な気がするから置いてみたら?」と連絡をくれ、ぜひ読んでみたいと思った一冊でした。その際に、本の写真も送ってくれたのですが、その愛らしさとタイトルに一目ぼれしたのです。

谷内さんは、アムステルダム、パリ、東京そして博多と、多くの都市で修行をし、料理人として生きてきた方。その多くの経験から、31編のおいしい厨房(ちゅうぼう)エッセーが生まれました。「かぐ、ふれる、きく、みる、食べる」谷内さんの様々な感覚が、料理を通して敏感に動き出します。

一流料理人の、青年のような初々しさ

一つの料理とその料理にまつわるお話が連なるエッセーですが、写真や分量がないだけで、立派なレシピとしても読める内容です。料理がお上手な方でしたら、谷内さんの料理に近いものを作れるのではないかと思わせてくれるほど、短文の中に料理の材料や工程が細かく記載されています。ただし、そこは、プロの料理人。その味を復元するのは、そう簡単ではなさそうです。

長きにわたり料理の世界に身を置いている谷内さんですが、その文章からは、年齢を感じさせないほど、料理に対する新鮮な目線を感じることが出来ます。素晴らしい食材に出会ったとき、新しい味を生み出せたときの感動は、料理をはじめたばかりの青年のような初々しさがありますし、どこまでも料理を愛しているのだなと感じずにはいられません。

食材と向かい合うときの目線や思いは、ひとりの人と対峙(たいじ)しているかのような表現でつづられ、食材の良さ、味を最大限に引き出してあげるにはどんな調理法が良いのだろうか、と考えあぐねます。きっと谷内さんは人に対しても、その人の良いところが伝わるように、生き生きと過ごせるように、どうしてあげるべきかを考えているのではないかと感じました。料理を通して、谷内さんの作り出す味と共に、そのお人柄を知ることが出来たように思います。

そして、この本の魅力をより引き立たせているのは、谷内さんの描いた料理の挿絵です。挿絵というにはあまりにも素敵で、この絵がなければこの本の魅力はきっと半減してしまうに違いないと言い切れるほど。恐らく多くのレシピを生み出す中で、その画力も身についていったのではないでしょうか。

文章と絵を通して、想像力たくましく、この「おいしい厨房エッセイ」を楽しんで頂けたらうれしいです。

(文・大川 愛)

40の本屋に出会える。「二子玉川 本屋博」が開かれます

一流シェフのおいしいエッセー『つかれた日には鍋にキャベツとホロホロ鳥を放り込み』

約40の個性あふれる本屋が⼀堂に会し、本屋の魅⼒と可能性を発信するフェス「⼆⼦⽟川 本屋博」が2020年1⽉31⽇、2⽉1⽇の2⽇間、⼆⼦⽟川ライズ ガレリアで開かれます。企画は「ほんやのほん」でもおなじみ、⼆⼦⽟川 蔦屋家電の北⽥博充さん。もちろん、⼆⼦⽟川 蔦屋家電も出店します。心ときめく「唯一の本屋」を探しに、出かけてみませんか。 

■info
⽇時:2020年1⽉31⽇(⾦)11:00〜20:00、2⽉1⽇(⼟)11:00〜19:00
場所:⼆⼦⽟川ライズ ガレリア (⼆⼦⽟川駅直結〈東京都世⽥⾕区⽟川2-21-1〉)
参加費:無料
イベント公式サイト


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    蔦屋書店 ブックコンシェルジュからあなたへ、本の贈り物

    &wでは、「ほんやのほん」のブックコンシェルジュがあなたのために本を選び、お届けする企画「蔦屋書店 ブックコンシェルジュからあなたへ、本の贈り物」を行っています。

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    蔦屋書店 コンシェルジュ

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    ●代官山 蔦屋書店
    間室道子(文学)
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    八木寧子(人文)/若杉真里奈(雑誌 ファッション)

    大川 愛(おおかわ・あい)

    二子玉川蔦屋家電、食コンシェルジュ。
    書店・出版社で、主に実用書や絵本の担当を経験。
    本に囲まれている環境が、自らにとって自然と感じる。

    いくつもの失敗が重なった街?『渋谷の秘密』

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    「無意識」なのは、体が覚えているから 『記憶する体』

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