料理家・冷水希三子の何食べたい?

旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は旬の白菜のおいしさがぎゅっと詰まった煮込み料理を教えていただきます。

    ◇

―― 冷水先生、こんにちは。冬らしくキンと冷えた日があると、なんだかうれしくなってしまうのは私だけでしょうか(笑)。

冷水 今年は暖冬気味らしいですが、たしかに寒い日は「冬!」という感じがしてちょっとうきうきしてしまうこと、ありますよね。

―― 寒い日があるからこそ温かい料理がおいしく感じるものです。おでんとか、まさにそうですよねえ。

冷水 そうそう、冬といえば煮込みですから! やっぱり煮込みは寒い日に食べたくなるものですよね。

―― じゃあ、今回は冬ならでは煮込み料理なんてどうでしょうか? おでんやシチューはみなさんおなじみだと思うので、上品な煮込みとか。

冷水 食材はどんなものを使いたいかしら?

―― そうですね~、あっ! そしたら冬が旬で、なんだかんだで全部使いきれずに残ってしまう野菜シリーズはどうですか!?

冷水 「長いタイトル」シリーズですね(笑)。では白菜はどうでしょう?

旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

白菜は半分にカットしてお鍋に。白菜がピッタリ入る大きさのお鍋を使うと、水分がお鍋全体に回って、効率よく煮ることができます

―― 白菜! たしかに、お得だと思ってひと玉買うと、だいたい余ってしまいます。旬の白菜は甘くておいしいんですけど、鍋が続くと飽きちゃうという悩みがあります。

冷水 そうしたら、洋風の煮込みにしてみる? サフランを使っていつもとは少し違った風味に仕上げると、白菜のまた違った魅力を感じられると思いますよ。

―― ぜひ!

冷水 まずは鶏肉の準備から。塩とレモン汁、コリアンダーパウダーで30分ほどマリネしておきます。これは主に臭み抜きのためです。

―― 鶏肉の余分な皮や脂を取り除くことも忘れずに!ですね。これは鶏肉料理の基本ということで、マスターしました!

冷水 素晴らしい(笑)! では、次に主役の白菜です。切った白菜をお鍋に入れて、少しの水とバターを加えて煮ていきます。

―― 白菜は半分に切るだけですか? 豪快ですね~。

冷水 白菜は煮込むとくたっとしてくるので、あまり小さく切ると形がなくなってしまうから、味や食感を楽しみたいときは大きめに切って煮込むといいんですよ。

―― なるほど! あと、白菜の量に対してお鍋がややこぶりな気がします。ぎゅっと詰め込むような感じですね。

旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

サフランは高級品ですが、ひとつまみで風味がアップします。ぜひお料理に取り入れてみてください

冷水 余裕を持ち過ぎた容量のお鍋を使うと、余分なスペースが多くて白菜から出た水分がうまくお鍋全体に回らないので、白菜がピッタリ入るくらいのお鍋を使うのがおすすめです。今日は量に合わせて18cmのお鍋ですよ。

―― お鍋のサイズも大切なんですね、メモメモ。あれ、それはそうと、鶏肉は一緒に煮込まないんですか?

冷水 最初から一緒に煮てしまうとお肉が硬くなっちゃうし、おいしいお肉のうまみが出きってしまうんです。鶏肉を「出し汁」として使うときは最初から一緒に煮込みますが、今回は具材として食べるので、お肉が一番おいしく仕上がるタイミングで加えます。

―― 「出し汁」用の鶏肉か「食べる」用の鶏肉か。そんなの考えたことありませんでした!

冷水 今回の煮込みはあくまでも白菜が主役。白菜の甘みをスープに移して、「白菜スープでチキンを食べる」という感じですね。白菜はじっくりと煮込んで甘みを引き出しましょう。

旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

鶏肉は煮込む前に焼いて、しっかりと肉汁とうまみを閉じ込めましょう。皮にほんのり焼き目がついたら裏返して軽く焼いてください

―― う~ん、やっぱりお料理は奥が深いですね。どの食材がどういう役割を果たすのか、それをしっかりと考えて調理するのが大切なんですね。

冷水 さあ、白菜が煮えてきたら、次にサフランとドライトマトを加えます。これで風味とうまみがぐっと増します。

―― サフランってひとつまみ加えるだけでこんなにきれいな黄色になるんですね~。

冷水 風味も上品になるので、おもてなし料理にもおすすめですよ。白菜をさらに煮込んでいる間に鶏肉を焼いていきましょう。

―― おっと! 煮込みなのに焼くんですね。

冷水 はい、肉汁を閉じ込めてジューシーに仕上げるために、先に軽く焼いておきます。煮込むのは最後の10分程度かな。

―― 皮に焼き目がついておいしそう! 白菜と一緒に長時間煮込んでいたらこうはなりませんね、納得です。

旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

鶏肉、白菜、ごはんを別々に盛って、最後のたっぷりスープを回しかけましょう。立派なメインディッシュになりますよ

冷水 鶏肉の両面を焼いたら、白菜の鍋に加えます。ここから少し煮たら完成です。

―― ところで鶏肉も一枚を半分に切った大きめサイズですね。煮込む時もこのサイズのままお鍋に入れていいんですか?

冷水 そうですね。小さく切ると熱が伝わりやすく、すぐに硬くなってしまうので。切らずに調理するのも鶏肉を柔らかく、ジューシーに仕上げるコツです。食べるときにナイフで切って食べましょう。

―― なるほど、その方が見た目にも豪華ですね~。

冷水 仕上げに塩で味をととのえれば完成です。お皿に鶏肉と白菜を盛って、たっぷりスープをかけて召し上がれ。今日はバターライスを添えましたが、パンでもクスクスでもよく合いますよ。

―― うわ~、サフランのおかげでスープが黄金色に輝いています! 鶏肉が大きいので、煮込みというよりこれは立派なお肉料理みたいに見えますね。

冷水 まずは白菜のスープを味わってみてください。

―― わわわ、なんですかこの甘みは! しみじみと染み入ります(涙)。調味料は塩くらいしか使っていないのに、どこまでも奥深い風味がします!

冷水 ふふふ、それが旬のお野菜の実力です。白菜の甘みだけだとやや単調になりがちですが、サフランのおかげで風味に奥行きが出ているでしょう。

―― スープと一緒にチキンを食べるとよりジューシーで、たまりません!

冷水 余ったスープはごはんやパンに吸わせて食べると二度おいしいですよ。おなかも体も満たされるので、ぜひ寒〜い日に作ってみてください。

今日のレシピ

白菜とチキンのサフラン煮込み
◎材料(2人分)

白菜:1/4個 
鶏もも肉:1枚 
バター:15g 
水:50ml 
ドライトマト:5g 
サフラン:ひとつまみ 
塩:適量
オリーブオイル:適量

A
レモン汁:大さじ1 
塩:小さじ1/4 
コリアンダーパウダー:小さじ1/4

◎作り方

 鶏もも肉は余分な脂を取り除いて半分に切り、ボウルに混ぜ合わせたAで30分ほどマリネする。

 白菜は半分に切って鍋に入れ、ところどころにバターをのせて、塩ひとつまみをふってから水を加えて火にかける。沸いたら蓋(ふた)をして弱火で15分ほど煮る。

 の鍋にサフランとドライトマトを加え、さらに15分煮る。

 の鶏もも肉の水分を拭き、オリーブオイルを入れたフライパンで皮側から中火で焼く。表面が焼けたらひっくり返して軽く焼き、の鍋の白菜の上に置いて塩を少々ふり、蓋をして10分煮る。

 の塩味をととのえ、皿に盛る。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)

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    冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

    旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

    料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

     

    PROFILE

    • 小林百合子

      編集者
      1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

    • 関めぐみ(写真)

      写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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